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アーマード勇者育成記 最強強化外骨格チートで異世界蹂躙! 男の娘勇者を育てて神をぶっ殺す件  作者: からくり8


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第118話 俺、航行する

 テントから出ると外は三日月が地表を照らし、満天の星が輝いていた。

 周りに人は居るがピークが去ったのか、だいぶ少なくなった印象を受ける。


 夜だからだいぶ減ったな。俺がダンジョンをいじくり回した時の爆発力は相当なものに思えたんだが。やはり中世の人間にハクスラの魅力を説こうと言うのが土台無理な話だったか。ちょっとあいつに聞いてみるか。


「おい、ちょっと聞きたんだが」

「ん? 何だよ。変な格好の兄ちゃん」


 呼びとめたのは酷く歪な格好の大柄な男性の戦士。背中にゴツいライオンの顔が刻印された青い甲冑を着込んでいるが、下半身は普通のプレートを着用している。不意に俺に呼び止められ、苛立ったのかバイザーの隙間から見える目は明らかに俺を睨んでいる。


「一時期よりだいぶ人が減ったな。皆飽きたのか?」

「ハァ? ハハァン、さては乗り遅れた奴か。ここ以外にも同じ様なダンジョンが世界各地に出没する様になったんだよ」


 どうやらダンジョンがここの影響を受け始めたか。だが、まだだ。そんなもんじゃない。俺が施した治療はこっからが本番なんだ。


「なるほど。お前は何故まだここにいるんだ? 他の奴らの様に他のダンジョンヘ行かないのか」

「へへへェ、そこが味噌よ。おっと危ねぇ。口を滑らせる所だったぜ。今着てる甲冑はここの隠し部屋のさ。まだ上半身しか揃ってないがな」


 ほう、どうやらこいつはダンジョンの特性に気付きつつある様だ。


「ある一定の周期に特定のアイテムや装備の種類に傾向(・・)がある事に気づいたか」

「なッ……」

「いい事教えてやる。今お前がやってくる行為こそ正しい在り方だ。他のダンジョンに浮気せず、ひたすら潜れ。やり込みは決して裏切らない」

「なんで兄ちゃんはそんな事知ってんだよ。例の医者の仲間なのか? 確か医者はその辺のテントで休んでたって聞くが、まさか――」

「そのまさかだったらどうだってんだ? 良いか、この言葉は真理だ。ひたすら愚直に行け」

「なぁ今の情報を仲間内で流していいか?」

「好きにしろ。拡散させるも隠匿するもお前の自由だ。良いか、今は不完全だが装備一式を集めることで強力無比なパッシブスキルを手に入れる事ができる。いつか必ずお前の努力が報われる時が来る」

「あぁ、わかった。ありがとな、変な格好の兄ちゃん!」


 中途半端な格好の戦士は意気揚々と俺の横を通り過ぎていった。


 俺はテントから出て皆が集まっている中央の大きな焚き火の燃えカスがある辺りまで歩いていく。


「おはようございますお師匠様!」


 アーサーの元気ハツラツとした声が俺の耳に届いた。


「オッハー! と、ズレにズレてる挨拶もそこそこに新しい国に行きまーす。蒸気都市エルイーザです」

「スチームパーンク!」


 アルジャ・岩本が白衣を翻し両手を天高く掲げる。


「はい、夜だからねー。申し訳ないが叫ぶのはNG」

「時代錯誤上等なファンタジーに蒸気機関に歯車! 早く行こう! 今すぐ行こう! さぁ行こう!」


 うわ、うぜぇ。こいつ自分の好きなもの語る時、早口になってまくし立てるタイプか。


「じゃ、外格着装するからちょっと待って。外着!」


 例によって例の如く、魔法陣が頭上に現れ、そこから漆黒の外格が顕現し、軽い衝撃と共に俺と重なる。


「ゲイン様、ご機嫌麗しゅう」

「あぁ、ネメシス。良し、じゃ俺の後付いてきて」

「蒸気……都市」


 俺が歩きだすと、幾人かが共に歩きだした。しかし画面端に映し出されている銀色のポインタが、一向に動こうとしない。銀のポインタはエスカだ。あいつどうしたんだ?


「エスカ行くぞ」

「お兄様わ、私その……熱いのは苦手で」

「ん? 何か言った?」

「い、いえ、何でもありません! すいません。ちょっと考え事を……」

「ふーん、大丈夫か?」

「は、はい問題ありません」


 特に何もなかった様なので再び歩を進め、入口に向かいそのまま左右にある鬱蒼とした森の中へと入っていく。


「何で森の中行くのよ? 森突っ切って行く訳?」

「良いから付いてこい」


 しばらく森の中を進み、程よく森に囲まれた所で足を止める。


「良しまぁこんなもんかな。超絶弩級戦艦ムサシ改三千を起動っと」


 大地に地響きが鳴り響き、地中から黒く超巨大な砲身が俺達の間に現れ、徐々に空へと俺達を乗せたまま上がってく。


 俺とリン以外の者達はその規格外のスケールに声を出すのも忘れ、呆然と立ち尽くしているようだ。


「270度回頭、超絶弩級戦艦ムサシ改三千航行を開始しろ。ネメシスあとの処理はお前に一任する」

「承知致しました。快適な空の旅をお楽しみ下さい」



「こ、この凄く巨大で真っ黒な物はなんですか!?」


 アーサーが俺の元へ駆け寄ってきた。


「超絶弩級戦艦ムサシ改三千」

「ねぇ……」


 グイグイと引っ張られる感覚にため息を噛み殺し、目線を下にやると目を輝かせたエルがマフラーを引っ掴んで離さない。


「あのーエル……」

「速くできる!? ビューン……って」

「やろうと思えばできるけどその……マフラー引っ張るのやめて?」

「うぉ〜……どの位速くできる?」


 手離して……本当に頼む。まさかのスルー。本当にデリケートだから思いっきり掴むのやめて欲しい。


「ネメシス速度を上げろ」

「承知しました」


 速度が上がると彼女はマフラーを掴んでた手を離し、外に向かって歩きだした。


「おぉ〜! 凄い」

「おい、落ちんなよ!」


 一段落付いたインベントリを開き、タバコ選択。現れたタバコを右手の人差し指と親指で掴む。口に運び無詠唱で指に火を点ける。俺はヘッドを外し吸い込み、白い煙を吹き出す。


「ふぅ〜」


 くつろいでいるとアーサーが俺の隣へ来た。


「なぁアーサー、あとどの位で目的地ヘ着く?」

「そうですね、このスピードだと大体1時間位でしょうか。あの1つ聞きたいことがあるんですが」

「ん? なに?」

「どうして目的地の名前がわかったんですか?」

「ふぅ〜……」


 ハイ来た。いつものこのパターン。


「えっとね、セリーニアがいた教団の教王とかいうデブのおっさんから悪魔の情報をあらかじめ聞き出しておいたんだ」

「セリーニアの……」

「そう。そいつは鳥の顔面をした悪魔らしいぞ」

「やっと使命が果たせそうで嬉しいです」

「王都は何故悪魔を倒す事をお前に課したんだろうな。勇者の使命だと言われたら終わりなんだが、何の意味があるのか」

「世界の平穏を保つ為に必要みたいです」

「ふぅん」


 これは何か裏がありそうだな。そもそも悪魔を倒すって途方も無い話だ。一概に悪魔と言ってもその種族、種類は多岐に渡る。そもそもあの王女、俺がエスカを下さいと言った時眉1つ動かさなかった。事前に俺の事を知っていた? あり得る。エスカと王女はすげぇ仲良い雰囲気だったしな。


「な~んか胡散臭いんだよなぁ」

「何がですか?」

「いや、ちょっとな」


 航行は何事もなく進んでいく。新たな大陸へと差し掛かるのだった。

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