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アーマード勇者育成記 最強強化外骨格チートで異世界蹂躙! 男の娘勇者を育てて神をぶっ殺す件  作者: からくり8


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第117話 俺、魔王に無理やり起こされる

「おい! 人間起きろ!」

「なんだようっせぇな……」


 虚ろな気分のまま徐ろに上体を起こしベットから抜けで出て首を左右に傾け、骨の音を鳴らし一瞬起こるなんとも言えない快楽と共に覚醒を果たす。


「おい人間! 何故こいつらはマナを使わずに魔法が使えるのだ!? この巨大なゴーレム達は何なのだ!?」


 いつもとだいぶテンションの違う魔王が俺にBDプレイヤーの画面を押し付けてくる。


「ええい鬱陶しい! 何なんだ急に! それは主人公機のアーマードグレインだ! んで、対峙してんのはシュレイドールだ! それがなんだ!」

「フフフ……素晴らしい! マナも使わずこれ程の世界を創り上げるとは!」


 気持ち悪いくらいテンション上がってんじゃん。

 まぁいいや。特に問題はない。問題はこれからだからな。


 プレイヤーの電源ボタンを押すと画面がブラックアウトした。


「何をする。せっかく続きを覗いておったというのに」

「こんなもん後で好きなだけ見りゃいいだろ。大体なぁ……それは俺の魔力をコストに動いてんだよ! 見たきゃ対価を払え。タダより高ぇものはねぇんだよ!」


 魔王は俺の目を睨みつけるとすぐに視線を外した。


「良いだろう。して――我に何を望む?」

「お前の悪魔を蒸気都市とかいう土地に呼び出せ。それだけでいい」

「お前は確か悪魔を滅して回っているのだったか。何故その様な事をする?」

「アーサーの旅の目的だからだ。どういう理由かは知らんが、白い神の掲示により勇者になり王女から各地に巣食う悪魔の討伐を命じられたらしい」

「ふむ、律に飲み込まれしあの少年が勇者か。フフフ……」

「律に飲み込まれし……少年? 何だそれ……? どういう意味だ?」

「フフフ……それを今お前に説いたところで理解はできぬだろう。それと――」


 ()説いたところで? アーサーについて何か知っているのか。そういえばこいつアーサーに対してまるで執着がない。魔王はアーサーの何を知っている? 律に巻き込まれたって一体?


「聞いているのか?」


 目線を無意識に下に向けていた為前を向くと、魔王が無邪気な子供の様な表情で俺を覗き込んでいた。


「――いや、なんだ?」

「悪魔を召喚してやろう。好きなだけ滅するがよい」


 魔王の手のひらに青い炎が上がり、彼がそのまま手を握ると躰中に炎が這い上がる様にゆっくりと広がっていき、やがて全身が炎に包まれた。


「新たなる我が子よ。――この世に顕現するがいい――」


 魔王がそう言うと全身に燃え広がった炎が一瞬のうちにかき消え、いつもの様に魔王はニヤつきながら俺を見つめていた。


「終わったぞ。お前達もこうやってこの世に生を――いやお前は違ったな。フフフ……」

「よし、これでアーサーを蒸気都市に意識を向けられるな」

「なるほど。これが所謂(いわゆる)マッチポンプという奴か。面白い事を考える」

「人聞きの悪い事を言うな。ちょっと待て、お前どこでその言葉を覚えた?」

「我は新たな知識を得る事を史上の喜びと考える。お前から受け取ったアニメからこの知識を得た」


 嬉しそうにニヤつきながら牙見せやがって。服着ろこの野郎。グレイブルー色の乳首おっ勃ててんじゃねぇよ。


「言っとくがそんな大それたもんじゃないぞ。俺はアーサーと旅を続ける為に狼煙(のろし)を上げたに過ぎん」

「フフフ……そうか。では、あとはお前の好きにするがいい」


 そう言うと魔王はプレイヤーを手に持つと俺の前から消え去った。それと同時に俺の部屋の扉が勢いよく開き、アーサーが飛び込んできた。


「――お師匠様! ああああ、あくあく――」

「あれ〜? どったのアーサー?」

「反応が蘇ったんですうううううううううううう!!!」


 お、来たな。ここは平静を装うぞ。自然な感じで行こう。


「な、なんだってー!? それは本当かー!」

「ハイー! ここから西南300キロメートル先にある大きな島の中心です! 雲に隠れてるせいで詳細はわかりませんが間違いありません!」

「やったぜ。じゃあ朝飯食ってイクゾー!」

「ハイ!」


 よし、我ながら完璧な演技。

 やっぱ俺って間違いなく天才だわ。自分が怖い。


 俺はアーサーを伴い部屋を退室した。エントランスでは既に全員が集合していた。

 俺は階段を降り、皆の前に行くとリンが俺の前にやってきた。


「おはようございます先輩。で、今日は新しいところに行くんスよね」

「ああ、そうだ。まずは朝飯だ」

「了解ッス」


 全員で食堂へ赴き俺以外の皆が適当な席へと腰を下ろすのを確認し、俺は指を鳴らす。


 各々の前に溶けかけたバターとイチゴジャムの付いた凸4角形で程よく焦げめの付いたトーストと金の容器に乗ったゆで卵が現れた。続いてコップに注がれた牛乳と銀のバターナイフとスプーンが置かれる。


「食べて、どうぞ」


 皆好き好きなタイミングで食べ始める。俺はカウンター席に座り、手を(かざ)す。目の前には海苔の佃煮が入った容器に黒い箸とほかほかの白米が現れた。俺は箸を手に取り両方の親指の間に箸を挟み、手を合わせ目を瞑る。


「いたただきます!」


 目を開き、右手で箸を持ち容器に入った黒いジェル状になった海苔を白米にのせ、一気に口へと運ぶ。海苔の風味と佃煮の旨味、そしてご飯の甘みが口内で広がっていく。


「あ〜美味い。やっぱ――」

「ねぇちょっといいかい? 幸せそうなところ大変心苦しいんだけど」


 隣の席にアルジャ・岩本が座っていた。


「ん? なんだ? おかわりか?」

「いや、僕牛乳飲むとお腹が緩くなっちゃうんだ。他の物に変えてくれないかい?」

「良いぞ。――ン」


 アルジャ・岩本の席に向かって椅子を回転させ、手を翳すと彼の席に置いてある牛乳の色がみるみる橙色に変わっていく。


「サンキュー。いやぁ君って本当有能だね〜」

「当たり前だよなぁ?」


 彼はそそくさと席へ戻っていった。


 そんなこんなで全員が朝飯を食い終わり、俺達はエントランスへ戻る。


「次の目的地は蒸気都市エルイーザだ! イクゾー!」


 俺は全員を先に行かせ、ホームを出たのだった。

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