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第八話 弟の問題、兄の責任 

「誰だ?こんな早く。は〜い」


聖慈はドアを開けた。

そこには青い顔をした優慈が立っていた。


「兄貴・・・」

「優慈・・・?どうした?」


聖慈は優慈に何があったかを聞いてみた。

優慈は言いにくそうに口を開いた。


「家が・・・俺たちの家が・・・」

「家がどうした?」

「家が盗られた・・・」

「はぁ?何言ってんだ?。とりあえず中入れよ」


優慈が何を言ってるのか訳が分からないのでとりあえず家にあげることにした。

家に上がる際も優慈は足取りが重い。

優慈を適当な場所に座らせ聖慈は事情を聞きだした。


「で、なんだって?」

「だから、家を盗られた・・・」

「家盗られたってどういう意味だよ」

「知り合いに騙されて金をとられて・・・」


優慈の顔を見る限りどうやら本当らしい。

思ったよりも大きい問題なので雫には聞かせないほうがいいだろうと思い、雫に席を外すように言った。


「・・・雫」

「何、お兄ちゃん?」

「ちょっと外にいろ」

「どうして?」

「いいから。すぐに終わる」

「分かった」


雫が部屋から出たのを確認した後、聖慈は優慈に詳しい事情を聞いた。


「で、どういう風に騙されたって?」

「先輩がお金を借りるからっていうから」

「保証人になったのか?」

「・・・うん」

「でも、その年では無理だろ?」

「借りた店の人が先輩の知り合いで年をごまかして・・・」

「借りたのか?」

「・・・う、うん」

「金額はいくらなんだ?」

「一千万・・・」

「一千万!!おまえそんな事は早く言えよ!」

「それで、そんな金額払えないって言ったら店の人がじゃあこの家売れって・・・」

「それでか・・・」

「どうしよう、兄貴・・・」

「はぁ〜」


かなり問題が大きい。

聖慈はどうするか悩んだ。

さすがに一千万程のお金を用意するのは不可能に近い。

聖慈の悩んでる顔を見て優慈は申し訳なさそうにしている。


「悪気はなかったんだ」

「当たり前だろ!」


このことを両親は知ってるか優慈に聞いてみた。

こういうことはやはり親の力を借りれたら心強いからだ。


「親父たちは知ってるのか?」

「いや、まだ旅行から帰ってこないから・・・」

「いつ帰ってくるんだ?」

「明後日・・・」

「明後日か。難しいな」


明後日ではどうしようもない。

とりあえずその先輩と連絡はとれないのだろうか。


「その先輩の携帯は?」

「掛けてもでないんだよ」

「そりゃそうだろうな」


両親が駄目なら次にお金を貸してもらえそうなのは事務所だ。

事務所に頼んでみるように優慈に言ってみた。


「事務所に金借りれるだけ借りてみろよ」

「それが・・・」

「駄目って言われたのか?」


事務所もこういうことにはお金を貸してくれなかったらしい。

ということは聖慈と優慈の二人でどうにかするしかない。

とりあえず今二人で準備できるお金がいくらかを計算してみる必要がある。


「そうか・・・。お前今金いくらある?」

「百万ぐらいしかない」

「俺のと合わして二百万ちょっとか・・・」

「どうしよう・・・」


よくよく考えてみたら事情がおかしい気がしてきた。

確かに保証人になったのは優慈だ。

だが、まず14歳の優慈に保証人を頼むこと自体が怪しい。


「もしかしたらその先輩とその店員はグルだったかもな」

「え・・・」

「考えてみろよ。いくら店の人でも未成年を保証人にはさすがにできないだろ?」

「でも・・・」

「お前その先輩になんかしなかったか?」

「いや、別に・・・」

「じゃあ、違うか。とりあえずあと八百万をどうするかだ」


聖慈も優慈も途方にくれてしまった。

今自由に使えるのは自分達のお金だけだ。


「さすがに雫の金や親父たちの金を使うわけにはいかんしな・・・」

「どうしよう・・・」

「とりあえず、その店に連れて行ってくれ」

「分かった」

「雫!」


聖慈は雫を部屋に入れた。

雫は少し戸惑いながら部屋の中に入ってきた。


「なに?お兄ちゃん?」

「俺たちちょっと出てくるから戸締りちゃんとして留守番してろよ」

「分かった。いってらっしゃい」


聖慈は雫に声をかけて優慈と共にその問題の店に出かけた。


その問題の店は裏道のビルの中にあった。


「ここだよ」

「いかにも怪しいな」

「とりあえず中に入るか」

「兄貴、大丈夫なの」

「大丈夫、大丈夫。なんとかなるさ」


聖慈と優慈は店の中に入ってみた。

ヤクザらしい人の姿もポツポツ見えてこれはいかにも怪しいという雰囲気が出ていた。


「怪しいな、この店」

「早く店から出ようよ」

「そうだな、ひとまず撤収だ」


二人はとりあえず店から出て表道まで戻った。

聖慈がこれからどうするか考えていたら優慈が話しかけてきた。


「どう、兄貴?」

「怪しいけど、証拠が無いから警察に行っても意味無いし。とりあえずその先輩といつ知り合った?」

「一ヶ月ぐらい前かな。めっちゃ後輩付き合いもいい先輩だったんだけど・・・」

「そうか。・・・分かった。」


1ヶ月間後輩と接して優慈をカモにして潰そうとしたのだろうと聖慈は考えた。

このまま優慈がお金を返せないのは問題がある。

そのとき聖慈の頭の中に一つの可能性が出てきた。

これで駄目ならもう駄目だろう。

聖慈の顔つきが変わったのが分かったのか優慈がまた話しかけてきた。


「兄貴?」

「俺がどうにかしてみるわ」

「兄貴。ホントか?」

「できるかどうかは分からんけどな」

「家で待ってろ」

「分かった」


優慈が聖慈の家に向かっていったのを確認して聖慈は決心した顔をしてある場所に向かって歩き出した。


「さてと、行くかな」



聖慈と優慈が分かれて半日後聖慈が残りのお金を持って家に帰ってきた。


「ほら、お金」

「兄貴!?このお金どうした?」


優慈に残りの八百万を渡した。

優慈はそのお金を見てビックリしているが顔は安心した顔をしている。


「そんなことはいいからはやく払って来い」

「ありがと、兄貴!」


優慈が約束のお金一千万を持って家を飛び出した。

優慈が出て行った後聖慈はリビングに横になった。


「ふう〜。疲れた」


すると雫が飲み物を持って聖慈の方に近づいてきた。


「お兄ちゃん。事務所から電話あったよ・・・」

「え・・・。そうか。優慈には内緒にしとけ」

「どうして?なんでお兄ちゃんがやめないといけないの?」

「優慈はまだ人生これからだしな。俺がやめれば一番早いんだよ。実際俺が一番辞めても支障が無いしな」

「お兄ちゃん・・・」

「俺はお前らの兄貴だからな・・・。まぁ、ほとんどは事務所のみんなから集めた金だから返さないといけないし」


聖慈と雫が話していると玄関から凄い音がして優慈が入ってきた。


「兄貴!今の話ホントか?」

「優慈!?お前聞いてたのか?」


どうやら玄関で今の話を聞いていたらしい。


「兄貴がなんで辞めるんだよ!辞めるならおれだろ!」

「いいんだよ。お前はその分事務所のみんなに金返せるように仕事しっかりやれよ!それより早く飯にしよう。腹減ったよ」

「兄貴・・・」


聖慈は夕食が並べてあるテーブルのほうに近づいていく。

その後姿を見て優慈は何も言えなくなった。

優慈の手を雫が握った。


「優慈兄ちゃん」

「雫・・・」


雫は優慈を安心させるように笑顔で言った。


「お兄ちゃんは優慈兄ちゃんのことを思ってやったんだよ。だから、優慈兄ちゃんはお兄ちゃんの分まで芸能界で頑張ってよ。・・・ね」

「そうだな。兄貴の気持ちに答えなきゃな」


優慈と雫が話してるのを待ちきれないのか聖慈が二人を呼んだ。


「おい!何してるんだ。早く食おうぜ!」

「あぁ」

「は〜い」


優慈と雫が席に座り兄妹3人揃っての食事が始まった。

食事を始めてすぐに優慈が口を開いた。


「・・・兄貴」

「うん?どうした?」

「ありがとう」

「いいって。それよりも俺の分まで頑張れよ!」


聖慈の想いを受け止めた優慈が涙を浮かべながら聖慈に答えた。


「あぁ。まかせとけって!」

「このやろ!調子に乗りやがって!」


優慈にいつもの調子に戻ったのが分かったので少しお仕置きをしようと聖慈は優慈に弱めのヘッドロックをかけた。


「参った参った!俺の負けだ!」

「まだまだ!」


聖慈も優慈もとても楽しそうに技のかけあいをしている。

雫もそんな二人の兄達を見て楽しそうに笑っている。

久しぶりに兄妹3人に前の笑顔が戻った。


その夜の深夜、聖慈は雫が眠ってるのを確認してからある話をするために優慈の部屋に入った。

あとがきはYAHOO!blogで書いております

興味があればお越しください

URL↓↓

http://blogs.yahoo.co.jp/in_this_sky

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