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第三十三話 妹の記者会見

聖慈と雫が空港に到着すると雫を見送りしたメンバー、優慈、優奈、朝倉、彰人、大竹家族が迎えてくれた。

二人が近くに行くと優奈が雫に泣きながら抱きついた。


「しずく〜…」

「優奈ちゃん、ただいま」

「おかえり〜…」


優奈は泣いたまま雫に抱きついている。

雫は優奈の背中を撫でている。

聖慈は他のメンバーに声をかける。


「ただいま」

「おかえり」

「ちゃんと連れて帰ってきたな」

「あぁ」


優奈が泣き止んだのか優奈と雫が聖慈達のほうに近づいてきた。


「優奈ちゃん、もういいのか?」

「ええ。またいつでも会えますから」

「そうだな。これからはいつでも会うことができるんだから」

「しずくねーちゃん!」

「陸君。久しぶりだね」

「しずくねーちゃん。ボクのおよめさんになってよ」

「えっと…」


雫は急に誰かに引き寄せられた。

雫は引き寄せた人の顔を見たら聖慈だった。


「陸。悪いけど雫は俺の大事な人なんだ。お前には渡さないよ」


満面の笑みで陸に話しかける。

陸は悔しそうにしている。

他のメンバーは呆然としている。


「兄貴って…こんなキャラだったっけ?」

「私もこんな聖慈さん初めて見ました…」

「まぁ、いいんじゃない」

「そうだな」

「やっとこれで一段落ね」

「一段落着いてないわよ」


朝倉の言葉に皆が朝倉のほうを向く。


「そうですね。まだ世間には何も言って無いですし」

「どうするの?聖慈君はどう考えてるの?」

「雫とも話し合ったんですけど、全てを打ち明けることにしました」

「全てって?」

「俺と雫が本当の兄妹ではないこと。そして、俺達二人が恋人同士だということ。隠してたっていずれバレるんですから今話すべきだと思ったんです」

「じゃあ、今日の午後に会見を開いてもいいのね?」

「はい、私達のことを全て話します」


それから朝倉は事務所に戻っていった。

社長と相談してまた詳しい場所と時間を決めて連絡してくれるらしい。

とりあえず聖慈達は聖慈の部屋に行くことにした。

大竹と彰人は仕事に戻っていったが。


「ただいま…」

「雫、おかえり」


雫が呟いた言葉に先に入っていた聖慈が答えた。

その言葉に雫が泣きながら聖慈に抱きついた。

聖慈も雫を優しく抱きしめる。

そんな二人を皆優しく見守っている。


それから食事をしてみんなで久しぶりの話に華を咲かせていると朝倉から電話があった。

会見場が準備できたので聖慈と雫二人で来て欲しいということだった。


「じゃあ、行くか」

「うん」


聖慈と雫は残りのメンバーに留守番を任せ会見場に出かけた。

あの報道から何日間も姿を隠していた伊集院雫が会見を開くということでTVカメラが何台も入っていた。

控え室には朝倉と雫の事務所の社長が待っていた。


「朝倉さん、社長」

「社長さん、このたびはすいませんでした」

「いや、気にしないでいいよ」

「え?」

「雫は小さい頃から見ていたからね。もう娘みたいなものなんだ。だから、雫を傷つけたくないっていう君の気持ちはよく分かるよ」

「社長…」

「ただ、一つ文句を言うならばもっと早く言ってほしかったな」

「すいません」

「うん。次からは言ってね」

「はい」

「社長、雫。もう時間です」

「じゃあ、雫行こうか」

「はい」


社長と雫が会見場に向かう。

聖慈と朝倉は控え室で二人の様子を見ている。


社長と雫が会見場に入ると一斉にフラッシュが光る。

そして、雫の会見が始まった。


「この間報道されたことについてですが事実です。現在一緒に暮らしている兄とは血のつながりはありません。そして、現在その男性とお付き合いをしています」

「では、義理の兄と交際関係にあるということですか?」

「いえ、もう義理の兄ではないんです」

「どういうことですか?」

「実は両親がすでに兄を戸籍から抜いてくれていたんです。ですから、私と兄はすでに一人の男と女だということです」

「ですが、元々は兄と妹ですよね?」

「はい。その事実は消えることはありません」

「社長さんはそのことについてどう思いますか?」

「特に何も思いません」

「何故ですか?元々兄妹の二人が交際をしてるのですよ?」

「だからどうだと言うんですか?誰かを好きになるのにそんなことを気にしていたら何もできないと思います。雫は彼を兄だから好きになったわけではありません。彼も同じように妹だから好きになったわけではありません。ですから私は彼らを応援して行きたいと思います」

「私達は世間の皆様から何と言われても交際を続けていくつもりです。ファンの皆様には申し訳ありませんが私の気持ちを伝えたいので会見を開かせてもらいました」


そういって雫と社長は会見場から控え室に戻ってきた。

雫は聖慈の姿を見ると胸に飛び込んだ。

聖慈も雫を優しく抱きしめた。


「雫、よく頑張った」

「うん」

「社長さんもありがとうございました」

「いや、大変なのはこれからだよ」

「ええ。ですが覚悟の上で会見を開いてもらったんです。社長さんのほうこそ大丈夫ですか?」

「なんとかなるさ。さ、朝倉。私達は事務所に戻ろう」

「分かりました。聖慈君。裏口に車を用意してるからそれを使って」

「ありがとうございます」


聖慈達は朝倉が用意してくれた車に乗り込んだ。

その車で聖慈のマンションに着いて部屋に入ると優慈達が出迎えてくれた。

それから夕食を食べ少し話をして皆帰り、聖慈と雫二人っきりになった。

聖慈は雫の隣に座り肩を抱き寄せた。


「雫、今日は大変だったな」

「ううん。でもやっぱりちょっと疲れたかも」

「時差ボケもあるから今日は早めに寝ようか?」

「うん、そうだね。明日も何かあるかもしれないし」


そうして、聖慈は自分の部屋に向かおうとしたが何かに引っ張られた。

そっちのほうを向くと雫が聖慈の服を掴んでいた。


「雫?どうした?」

「えっと…一緒に寝ちゃ駄目?」

「え!?いや、まだ早いんじゃ…」


その聖慈の言葉に雫は慌てて自分の言葉の意図を伝えた。


「違うの!そうじゃなくて…」

「そうじゃない?」

「深い意味じゃなくてただ一緒に寝たいの」

「つまり昔みたいに抱きしめて寝たいと?」

「うん。日本に帰ったことを実感したいの」


聖慈は困惑した。

これはある意味生き地獄だ。

だが、雫は上目遣いに聖慈を見てくる。

この目に弱い聖慈はOKを出すしかなかった。

そして、聖慈が先に布団に入り後から雫が聖慈の胸に顔をつけるように入ってきた。

聖慈は平常心を保とうと必死だが、雫は嬉しそうにしている。

聖慈が平常心を保ちながら雫の頭を撫でていると雫はいつの間に眠りに就いていた。

雫の頭に口付けを落とし、聖慈も眠りに就いた。


あとがきはYAHOO!blogで書いております

興味があればお越しください

URL↓↓

http://blogs.yahoo.co.jp/in_this_sky

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