第三十話 妹の状態
雫は日本を離れ両親のところに来て、毎日日本人学校に通っている。
最初は何をするにしても無気力で日本を皆を思い出していた。
両親も何も言わずにそっと見守ってくれていた。
だが、両親の友達の娘に誘われ日本人学校に行ってみて勉強をしている間だけ日本のことを忘れることができた。
だから、日本人学校に通うことにした。
その日も雫は学校に通い、授業を受け帰宅していた。
「みんな、どうしてるかな…」
雫はふとした瞬間に止まって日本を思い出してしまう。
特に思い出すのは聖慈のことだった。
聖慈の部屋、聖慈の顔、聖慈の声、聖慈の何気ない仕草。
それらを振り切るように雫は頭を振り、また歩き始めた。
だが、その足取りは重い。
雫は家に帰りいつもどおり出された宿題をこなしていた。
両親はどこか出かけているようで車もない。
雫が宿題をしていると、玄関のインターホンが鳴った。
玄関のドアを開けると同時に誰かに抱きしめられた。
雫は突然のことで驚いて声を出そうとしたが、抱きしめている男の後ろに章吾と真美の姿が見えた。
二人は何も言わずに雫と抱きしめている男を微笑んで見ている。
雫が二人に助けの目を送ると章吾が男の肩に手を置いた。
「おい、もういいんじゃないか?雫も混乱してる」
男は章吾の言葉に従い抱きしめていた腕の力を緩めた。
やっと男の顔が見えたとき雫は驚いて声が出なかった。
抱きしめていた男は聖慈だった。
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