第二十四話 妹の熱愛報道
聖慈と雫が同居生活を始めて数ヶ月がたった。
聖慈と雫はいつもどおりの日常を送っていた。
いつもと同じ平日の朝、聖慈と雫は一緒に朝食を食べていた。
TVではあるアイドルの熱愛報道が放送されている。
聖慈はふと思ったことを雫に問いかけてみた。
「雫は誰か好きな人はいないのか?」
「え!?」
「いや、今TVで熱愛報道を放送されてたから雫はどうなのか気になったんだ」
雫は困惑している。
いきなり好きな人と言われても分からないのだ。
「わかんない…」
「いないならいいよ。早く飯を食べよう」
聖慈は朝食を再開した。
雫も気持ちを切り替えて食事を再開した。
TVが次のニュースを読み始めた。
そのニュースが二人の運命を変える。
『伊集院雫さんに恋人発覚!』
その言葉に聖慈と雫は呆然としている。
ついさっき話題に出たばかりで雫は「分からない」と答えたのに今ニュースで熱愛報道を放送しているのだ。
聖慈が雫のほうを見ると雫は未だに呆然としている。
キャスターがニュースの続きを読み始めた。
『記者によると雫さんは8歳年上の社会人の人と何度かデートをしている様子で、公園で仲良く子供と遊んでいる姿を目撃された方が多くいたようです』
そのニュースを見て聖慈と雫は顔を見合わせた。
聖慈が雫に話しかけようとしたとき聖慈の携帯が鳴った。
ディスプレイには『優慈』と出ている。
「もしもし」
「もしもし!兄貴か!」
「優慈、少し落ち着け」
「落ち着いてられるか!雫の熱愛報道を見たんだ。相手は誰なんだ!」
「あぁ〜、それがなんだな…」
聖慈は言いにくそうにしている。
優慈は待ちきれないようで聖慈に答えを急かした。
「なんだよ!知ってるなら早く言えよ!」
「恐らく…俺なんだ。その社会人って」
「へ?どういうことなんだ?」
「多分俺と買い物してたときを見られたんじゃないかな。子供は大竹先生の息子さんを預かったときのことだと思うし」
「なるほどね。そういえば兄貴と雫は8歳違うんだっけ」
「ああ。俺もすっかり忘れてたけど8歳違うんだよ」
聖慈は電話しながら雫のほうを見た。
雫も電話をしている。どうやら相手はマネージャーのようだ。
優慈が電話の向こう側から聖慈に話しかける。
「なぁ、兄貴…」
「ん?どうした?」
「兄貴の出生の事とかバレないよな?」
「多分大丈夫だとは思うけど」
「そっか。バレそうになったら連絡してくれ。こっちもなんか分かったらまた連絡するから」
「頼むな」
そういって聖慈は優慈の電話を切った。
そして聖慈は雫のほうを向くと雫が手で聖慈を呼んでいる。
雫の傍によると電話を渡してきた。
「もしもし?聖慈君?朝倉だけど」
「朝倉さん、今回はすいません」
朝倉とは雫のマネージャーの名前だ。
雫がデビューしてから変わっていないので聖慈とも知り合いだし、聖慈と雫が兄妹ということも知っている。
「いや、別に構わないんだけどあの相手の社会人って」
「多分俺のことだと思います。子供は知り合いの子供を預かったときのことだと思います」
「これからどうする?これ以上隠してたらいろいろ報道が大きくなりそうだし」
「俺と雫は兄妹だって言えば大丈夫なんじゃないですか?」
「じゃあ、今日各マスコミにFAX送るけどいい?」
「ええ、お願いします。」
「分かったわ。じゃあまた雫に変わってもらえる?」
聖慈は朝倉に言われたとおりに雫と電話を変わった。
雫は「はい、はい」と2回ほど返事をして電話を切った。
「雫、朝倉さんなんだって?」
「今日は学校には行かずに自宅待機だって。明日FAXの内容をニュースでしたらまた電話するって」
「それがいいだろうな。学校には恐らくすでにマスコミが行ってるだろうし」
聖慈が仕事に行く準備をしてるとまた聖慈の携帯が鳴った。
ディスプレイには『大竹先生』と出ている。
「もしもし、大竹先生?」
「おぉ、聖慈か?伊集院は今日どうするんだ?」
「はい、今日は学校を休ませます。今日雫のマネージャーが俺と雫が兄妹というFAXを各マスコミに送ってくれるので明日またそのニュースを見て決めるそうです」
「そうか。今学校なんだがもうすでにマスコミが来てるんだ。じゃあ今日は伊集院は休むんだな」
「はい、すいませんがよろしくお願いします」
そういって聖慈は電話を切った。
雫に今の電話の内容を話すと申し訳なさそうにうつむいた。
「みんなに迷惑かけちゃった…」
「気にすること無いさ。明日兄妹ってことが分かるんだからすぐにいつもどおりの生活が過ごせるさ」
そういって聖慈は仕事に出かけた。
雫も優奈とメールのやりとりをして、クラスのみんなが「早く学校に来れるようになるといいね」と言っていると知り元気が出たようで部屋の掃除を始めた。
聖慈が朝の騒動で弁当を忘れたので昼休みに社員食堂でとっていると彰人が近づいてきた。
「うっす、伊集院」
「よぉ、最近よく会うな」
「だな」
そういいながら彰人は聖慈の横の席に座った。
「でだ。朝雫ちゃんの報道見たぞ」
「お前もか…」
「『お前もか』って他にも言われたのか」
「弟の優慈と大竹先生からも電話もらったんだ」
「ということはあの社会人って」
「そ、俺のこと」
聖慈は彰人に自分の家のことや朝の詳しいことを喋った。
もちろん聖慈と雫が血のつながりがないことは言っていない。
「ふぅ〜ん、お前の家も大変だな」
「そうでもないよ。結構楽しくやってるし」
「じゃあ、俺先に仕事戻るわ」
「おぉ」
彰人は先に食事を終え立ち上がった。
聖慈の横を通る際に声をかけた。
「何かあったら電話しな。俺が力になれることは力になるから」
聖慈が彰人のほうを見ると手を振りながら去っていった。
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