第二十三話 兄と妹の自問自答
彰人は聖慈に近づくと昨日のことをもう一度謝った。
「伊集院、昨日は本当に悪かったな」
「もういいって」
彰人は雫の姿を見ると雫にも謝罪の言葉をかけた。
「雫ちゃんもごめんな。昨日あんな場所に連れてきて」
「いえ、私が悪いんです。お兄ちゃんにも言われたけど私が行かなければよかったんです」
雫は自分のせいだと、彰人のせいではないと言った。
それを聞いて彰人はまた謝罪をしようとしたが聖慈が止めた。
「雫の言うとおりだ。お前のせいではないし雫が行かなければいいだけの話しだったんだ。今度から気をつけてくれればそれでいいよ」
彰人はそれから聖慈と一言二言話してから雫の隣に座っている陸に目を向けた。
「で、話は変わるけどこの子は伊集院の隠し子か?」
彰人はからかうように聖慈に話しかけた。
聖慈は笑いながら彰人に答えた。
「そんなわけないだろ。こいつは陸って言って大竹先生の息子さんだよ」
「あぁ〜なるほどね」
彰人は聖慈と同じ高校だったので大竹のことも知っている。
そして聖慈と大竹の仲がいいことも知っている。
何度か聖慈に大竹と飲むから来ないかと誘われたこともある。
だが、彰人にとって大竹はそんなに仲が良いわけではないので参加したことは無い。
彰人は自分のテーブルに呼ばれて手を振りながら戻っていった。
聖慈と雫と陸は食事を終え彰人達よりも先に出ることになった。
陸を抱えてる聖慈が彰人に手を振る。
そして陸もつられて知らない彰人に手を振っている。
雫は聖慈の隣に立ち頭を下げる。
そして店を出て行った。
聖慈達が出て行ってから彰人は友達に質問を受けた。
「えらい若い家族だな」
「あぁ、それにあの夫婦。なんかもう熟年夫婦みたいに分かり合ってる気がするな」
「やっぱりお前達もそう思うか?」
彰人たちがそんな話をしてるとは知らない聖慈達は仲良く自分達の部屋に帰っていった。
部屋に帰ってゆっくりしてるとまた陸が寝た。
陸に毛布をかけてやり聖慈と雫がTVを見ているとインターホンがなった。
大竹夫妻が帰ってきたのだ。
寝ている陸を渡すと大竹家族は聖慈の家には上がらず帰っていった。
聖慈と雫はそれから風呂に入りそれぞれの寝床に入った。
だが二人ともすぐには眠れなかった。
二人とも昼間の自分の行動を思い出していたからだ。
聖慈は何故雫の唇に触ろうとしたのだろうか?
雫は何故聖慈の顔を触ろうとしたのだろうか?
結局答えはでないまま二人は眠りについた
二人とも夢を見た。
幸せな家族を持つ夢を。
自分と子供とその隣には自分がよく知ってる人が立っていた。
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