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育て親は魔王  作者: GS70
第一章
2/6

第一話『戦意のない敵意』

更新頻度をなるべく高くしていこうと思いました。

結局は自分とのやる気との格闘でした()


 魔王ダリスは酷く失望していた。

 と言うのも、訪れた町の人々に原因はあった。

 誰も敵意こそ見せるが、何もしてこない。闘いを欲していたダリスにとってはとんだ期待外れだ。

「貴様等……何故何もしてこない?」

 そう問いかけても人々は何も答えない。

「貴様等の目の前にいるこの俺は魔王だぞ?」

 人々は敵意の目を向けたまま何も答えない。

「俺に抵抗する意思を見せなければ町は滅ぶぞ?」

 何も答えない。

「貴様等だって無事では済まんぞ?」

 答えない。

「俺が見逃すのでも待っているのか?」

 何も。


「いい加減にしろよお前ら」


 ダリスは口調を悪くしそう言い放った。明確な殺意と怒りの気を纏わせて。

 しかし、町の人々は一瞬肩を震わせたが変わらずダリスに敵意の目を向けている。

「せめてどちらかにすればいいだろう!? ブルブル震えて尻尾巻いて逃げるか、捨て身覚悟で突撃でもしてくるか!」

 気づけば、ダリスの前には恐らく町の全住民であろう人数が一つの道に集まってきていた。それも、散り散りではなく集団となって、まるで裏で何か暗躍しているかの様に。

「――お前なんか」

 人々の誰かが口を開いた。

「お前なんか勇者様が倒してくれるんだ!」

 少年の声だった。

「そうだそうだ!」

「お前の行動を勇者様が許すものか!」

 一つの声をきっかけに溜まっていたものが溢れ出た様に人々からダリスへの怒声が次々と飛んだ。

「……そのくらいは出来るくらいの度胸はあったか」

 ダリスはそう呟き、さっきまであった怒りを沈め、素っ気無い態度になった。逆にそれ以上の事は出来まいと、そう思ったからだ。

「勇者? ジルドの事か? 俺に負けて前線から引いたあいつに今更何が出来る?」

 人々のその言葉にダリスは嘲笑いそう言った。

 勇者ジルドが前線から身を引いている、それは誰もが知る事実であった。しかし人々の怒声が途絶える事はなかった。ダリスは知らず人々が知る事実があったから。

 

 誰かが言った。

「勇者様がいなくともその子供がいる!」

 人々の怒声に紛れて放たれたその一言は霞む事なくダリスに耳に届いた。

「子供……? そうか、子供がいるのか」

 ダリスの呟きに人々の声は止んだ。

「誰が言ったかは知らんが」

 ダリスは不敵に笑った。

「そう言うのを『失言』って教わらなかったか?」

 町の人々の表情が明らかに焦りに変わった。それは更なる失言を生んだ。

「まずい、早くあの子を遠くへ!」

 明らかに人々の動きが誰かを守るように動き始めた。それもまた、ダリスにとっては有益な情報であった。

「居るんだな、ここに」

 人々は凍り付いた。魔王に気付かれた、それは最早逃げられないも同然の事実。

「そいつと闘いをしようと言いたい所だが、ジルドの子供ともなれば話は別だ」

 そう言いながらダリスは右手を前に出した。その右手から何かが渦巻き始めた。

「やめろ!何をするつもりだ!」

 苦し紛れの静止の言葉を町の人々はダリスに投げかける。

「安心しろ、貴様等もその勇者の子供もこの町諸共どこか遠くに行ってもらうだけだ!」

 ダリスの右手を渦巻く力がより強まった。

「『彼方へ消えよ、弱き者共』」

 その瞬間、ダリスの右手を中心に辺り一帯を強い光が包み込んだ。そして数秒後光が晴れた時、町もそこに住んでいた人々も全て、何もなかった様に消え去った。

 



 たった一人、勇者の子を除いては。

どうも、GS70です。

無事投稿することが出来ました。

今回も自分の思うように書いています故、誤字脱字、あるかも知れません。

そして、ここのシーンが云々もあるかと思います。

厳しい意見、その他感想はどしどし受け付けていますので、よろしくお願いしますm(_ _)m


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