プロローグ
気が向いたら読んでみてください。
二人は静かに睨み合う。
一方は金色の長い髪を揺らし、サファイヤの様に青く澄んだ瞳をした、人々から『勇者』と呼ばれ慕われる存在。
もう一方は漆黒のマントを身に付け鋭い目つきを勇者に向ける『魔王』と呼ばれる恐怖の象徴。
二人は同時に深呼吸をすると、覚悟を決めた表情で互いに向き直る。まるで、次の一撃で決着を決める様に。
時間にして数秒、勇者の持つ剣が、魔王の右腕が、凄まじい波動を放ち衝突した。白い光が城内を一瞬城内を包み込み、爆音が響き渡る。
光が晴れた時、現れた光景は勇者にもたれ掛かる魔王。その腹部からは勇者の剣が突き抜けていた。
軍配は勇者に上がった。その紛れもない事実にも関わらず、魔王はどこか寂しげに笑みを浮かべていた。時期に命絶える身である筈なのに。
「……何故笑っているのですか、魔王」
「いや……な……」
魔王は最後の力を出して勇者に顔を向け、言葉を絞り出した。
「また……『お父さん』って……呼んで……くれないのかな……と……思っ……て……」
その言葉を残し、魔王は糸が切れた様に動かなくなった。
剣を引き抜いた勇者はその場に倒れた魔王を蔑む様に見つめその場を去った。
「馬鹿馬鹿しい、今も昔も貴方を父と思った事は一度もありません」
勇者は覚えていない。魔王と過ごし、育って来た事を。魔王を父と慕い、懐いていた事を。
――全ては約十年前に遡る――
初めましての方は初めまして。
というか初めまして。
GS70です。
なんかふと勇者と魔王の何かを書きたいと思い、ストーリーを考えたらこんな感じになりました。
これからも頑張って投稿していきますので、温かい目で見守って、時に厳しく感想をくれると助かります。