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006

「さてそれでは、使い魔とは何か、と言うことだね。使い魔とは、私たち魔女がイロイロするときに補助をしたり、様々な用途で手伝いを担ってくれるモノ達だ。当然、呼び出される使い魔は術者の力によるところが大きいとされる。魔女によっては、やたら多い数を呼び出す奴もいるし、とんでもないモノを呼び出す奴もいる。まあ怜の呼びだしたのは、悪いものでは無さそうだけどね。しっかりと親交を深めることだね。それが重要で、肝要だ。そこを忘れないようにね」

 アリスさんは突然話出したと思いきや、捲し立てるように使い魔についてつらつらと語りだした。要は簡潔に言えば、イロイロ手伝ってくれる奴ら、変わった友人が出来たと思えば良いのか。そういえば、使い魔たちってどこから来ているのだろうか。

「アリスさん、使い魔たちってどこから呼び出されるんですか?」

 僕は当然ともいえる、気になることを質問した。

「彼らは次元の異なる世界、異世界から来るんだ。それに、最近漫画とかでよくある無理やり連れてくるってわけでも無いんだ。基本的には彼らは暇しているからね、陣が展開された時に近くいるモノが興味本位で入ってくるんだ。それに対価も渡しているし、無理やりではないから気にしないでね」

 なんか無理やりというわけではなくて良かった。やってしまってからというのもあれだけど。けれど、このことで気にしなくてよいのはほっとした。もし無理やりとかだったら申し訳ないし。

 それにしても異世界とかあるんだな。夢のある話だ。魔女の僕が言うのもなんだけれど、やはりそういった類のものはわくわくする話だ。機会があればぜひ一度行ってみたいものだ。せっかく魔女になれたのだから。

 そうだ魔女になれたのだ。なにか術でも教えて貰いたいものである今まで教わったものと言えば、基本的な魔力の扱い方と結界に使い魔の召喚くらいだ。どうせなら、何か面白いものを使えるようになりたいな。

 そうと決まれば善は急げ、である。アリスさんを探すか。

 ……居ない。一体どこにいるんだあの人。まったく、なんで必要な時に限って見つからんのだ。探し人の魔法でも教えてもらおう、うんそれが良い。

 そんなこんなで結局小一時間探しまわった結果、テラスで優雅にお茶をしていた。それはそれで、とても絵になる姿ではあったのだけど。って違う違う、そうじゃない。魔法を教えてもらおうと探していたんだから。

「アリスさんこんなとこに居たんですか。探しましたよ、もう。」

「うん? どうかしたの? それとも何か用かな?」

「そろそろ新しい魔法でも教えてもらおうかと思いまして。結構探したんですよ、まったく。というわけで、まず人探しの魔法でも教えてもらえませんかね。もうこんなに探しまわるのは勘弁ですよ」

「しようがないなあ。でも確かに、弟子にした割にはそんなに魔法を教えてないね。よし! 良い機会だ。猫の手もいらなくなるくらい魔法を教えたげる」

 なんだかちょっと怖くなるような笑顔で言われてしまった。ちょっと早まったか? なんて思っていると、すたすたとあっという間にどこかへ向かってしまっていた。

「あ! ちょっと待ってくださいよ」

 急いで着いていかなくては。たぶん行先は裏庭だろう。

 予想した通りアリスさんは裏庭に居た。せっかく教えて貰うんだ、なんか面白いのが良いな。

「ようやく来たか。さぁて、何から教えるのが良いかな? どんなのを知りたいの?」

 嬉しそうに、楽しそうにそう語りかけてきたアリスさんの顔は、やはり嬉しそうで、どこか楽しそうだった。

「……とりあえず人を探す魔法を。また今日みたいにアリスさんを探すの大変ですから」

「そっかあ。じゃあそうだねえ、簡単に紙を使って探す魔法かな。その人の居場所まで連れてってくれるんだよ。便利だろう?」

「先に……先に教えて欲しかったです。その魔法」

 僕の苦労は一体何だったのだろうか。そんな便利な魔法があるなら、本当に早く教えてほしかった。これも良い機会だし、便利そうな魔法を色々憶えておくのも悪くないだろう。

 それから、探し人の魔法を始めとして、失せ物探しに占い、変身等おなじみのものからとんでもないのまで教わった。その中でも一番凄かったのは次元移動の魔法という、トンデモ魔法だった。

 ……まあそのうち機会があれば使うこともあるだろう、機会があればの話だけれど。

 それはともかくとして、一番知りたかった人探しの魔法を憶えられて良かった。

「いやあ、これでアリスさんがどこに居ても分かるから楽になりますよ。この館で探すのって大変なんですよ」

「そうなのかい? それは面倒を掛けたねえ。早く言ってくれれば良かったのに。それか、ほらせっかく使い魔が居るんだから使い魔に頼むとかさ」

 ……すっかり失念していた。なんだか悪いことをした気分になる。やっぱりまだこういうことに慣れていない、ということなのだろう。早いうちにこういうことも慣れておかないとなあ。

「そうだ今度魔女の会合があるからよろしくね。まあ、ただの飲めや唄えやの騒ぎたいだけの集まりなんだけど。ヒトで言うところの女子会みたいなものだと思えばいいよ」

「そんなのあるんですか。っていうか僕が行っても良いんですかそんなの?」

「良いの良いの。大体怜も男とはいえ魔女だしね。で、今度のね満月の晩にあるから。いろんな魔女が来るから楽しみにしててね」

「ええ。楽しみにしておきます」

 そうして魔女の集まりである会合に出ることになった。話を聞く限りは、なんだか女子会に男一人で行くとかいう罰ゲームみたいなものだけれど、いろんな魔女というのは正直興味がある。僕の知っている魔女は二人だけれど、その二人も十分面白い魔女たちだから。

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