ごめんね
長い式辞が始まった。
「卒業生の皆さんには、この学校で育った誇りを胸に
大きく成長し、広い世界に羽ばたいていってもらいたいと思います・・・」
そういえば・・・・
「瑞希ーー!!」
暑い今年の夏の一日。
友達の瑞希が私の机にやってきた。
「どうしたの?」
「あのね!私!好きな人できたかも!」
「ほんと!?」
「うん!隣のクラスの、瀬戸くん!」
「え・・・?」
突然飛び出した私の彼氏の名前に
自分の胸まで飛び出した。
朱里は私の彼氏だということを知らない。
どうすればいい...。
私は柄にもなく、彼を心底愛していた。
でもどうして彼なんだろう。
顔は10点満点で言ったらきっと4くらいだ。
朱里がもし彼の性格を好きになっているんだったら
どうしよう。
私以上に彼を愛していたらどうしよう。
そんな不安に襲われて
震えた声のまま朱里に聞いた、
「なんで瀬戸君?」
「昨日ね!たまたま帰りのバスが一緒になって!
混んでたから席隣になったんだけど、
そんとき喋ったらすんごい気が合ってね?」
「うん、それで?」
「好きな歌手とか、見てるドラマとか、ほとんど一緒で!」
「そうなんだ・・・」
そりゃそうだよ・・・。私と朱里は親友で、
気が合うから親友になった。
歌手もドラマも、共有してた。
同じように、私も彼と共有してた。
被るのは当たり前だよ・・・。
「今からメアド交換してもらいに行こうと思って!」
「え?」
「え・・・?なんかダメかな・・・?」
「いや、別に・・・」
「じゃあ行ってくるね!!」
「あ・・・うん・・・」
瑞希は私の返事を聞く隙間なく教室を飛び出していった。
10分後、彼女は満足そうに帰ってきた。
「どうだった?」
この声を搾り取るのにどれほど勇気がいったことか。
「うん!交換で来たよ!」
「そっか・・・。」
別にメアドぐらい、ほかの女のこともやってるんだし。
底辺まで落ちた心を自分でつくろうように
こう思い込ませた。
この日、彼にメールをした。
【裕翔、私たち、いつまで秘密にすればいいの?】
そう。私たちはなぜか、付き合って言ることを隠していた。
【なんで?話したい人でもいるの?】
【今日、朱里とメアド交換したでしょ?】
【したけど?】
【もし、私が彼女だって知らないまま、裕翔のこともっと好きになって言った
ら・・・】
【え?花野って俺のこと好きなの!?】
あ・・・。行ってしまった。
裕翔はこのことをしらなかった・・・。
でも・・・。言っておかなきゃ、裕翔はきっと
わたしのものじゃなくなる・・・。
【そう。好きだって・・・】




