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幸運の護衛獣と愉快な少女達(仮)  作者: 直木
1章 銀髪ヨウジョと護衛獣
6/12

お姫様の帰還

 東門の近くには、大勢の兵士が居た。

 近づいて行くと一人の兵士が俺に気付き、指をさしながら声をあげた。

「あ! あいつだ! 城門破りが戻ってきたぞ!」

 途端に、兵が俺を囲み槍を向けてくる。

 ただでさえ追放の沙汰を受けているのに、ここで暴れまわったら処刑にまで行くんじゃないか。

 困って動けずに居ると、モミジが俺の腕から降りて周りを見回し、怒りの籠った声をあげた。

「私はイロハ・モミジ。ケテルの第一王女である。この者は私の護衛獣で拐われた私を救ってくれたのだ。危害を加える事は、私の名において許しません。すぐに槍を収め、下がりなさい」

 モミジの勢いに押され、兵達は槍を収めるも囲みを解こうとはしない。

 街娘の格好をしているので、本物かどうか怪しんでいるのかもしれない。

 さて、どうしたものかと考えていると、奥の方から高そうな服に身を包んだ太った男性が数名進み出てきた。

 男達はモミジの前に膝まづくと、頭を下げた。

「モミジ様、無事の帰還、嬉しく思います」

 一人が代表して声をあげる。

 嬉しく思うと言いながらも、嬉しそうな声色ではない。

「さ、お食事の準備も出来ております。参りましょう」

 そう言って、モミジを促す。

 俺とモミジは、男達の後について、城内に戻っていった。


 食事が終わると、見計らったかの様に、先程の男性がやってきた。

「幸也様、王様がお呼びです。王座の間へ参りましょう」

「はい」

 頷いて立ち上がると、モミジが服の裾を掴んでこちらを見てきた。

「私も行く」

 怖い目に遭ったばかりだし、俺と離れるのが怖いのかもしれない。

 じゃー行こうと、声をかける前に男性が答えた。

「幸也様お一人で、とのご命令です」

「なによ、私が居なくなっても何もしなかったくせに」

 モミジは目を潤ませていたが、歯を食いしばって泣くのを堪えていた。

「すぐ部屋に行くから、先に行って休んでて?」

 頭を優しく撫でながら声をかけると、モミジは無言で頷いてくれた。


 王座の間には、多くの人が集まっていた。

 大臣やらなにやら、地位の高そうな人達だ。

 迎えに東門まで来ていた人達も居る。

「まずは娘を救ってくれた事に感謝する」

 王様がそう言って目配せすると、袋が乗った台を大臣が運んでくる。

「これは感謝の印だ。受け取って欲しい」

 袋の中には、金貨が入っている様だ。

 ありがたく頂く事にする。

「代わりと言ってはなんだが、何があったのか最初から説明してはくれないか?」

 王様の言葉に頷き、今日の出来事を話す。


 話し終えた後、王様に質問をぶつけてみる。

「どうして兵はモミジ搜索に出てなかったのですか?」

「モミジを影から守るように、3人護衛に付けていたのだが、誰も帰って来ていない。恐らく殺されたのだろうが、報告が無かったので気付くのが遅れた。それに、東門の騎馬集団の報告は上がってきていない。城壁内を探す他無かったのだ」

 王様は渋い顔で答えた。

「それにしても、騎馬集団か……野盗の集団はいくつかある。どこの集団か示す様な物は無かったか?」

 王様の質問に、俺はふと思い出す。

「そう言えば、鎧の肩に鷹の絵が描かれていました」

 俺がそう答えると、王様は驚愕の表情で立ち上がった。

 周りも騒然となる。

 軍事国家、ネツァクの紋章だ、という声が耳に届いた。


 重臣達で話し合うとの事で、俺は王座の間を出てモミジの部屋に来た。

 ノックをした後、中の様子を伺うが反応も誰かが動く気配も感じない。

 ゆっくりとドアノブを回して開ける。

 モミジはベッドでこちらに背を向けた状態で横になっていた。

 俺も寝よう。

 モミジの左側に寝転がる。

 ふぅと息を吐いて目を閉じると、モミジが寝返りをうつ気配がした。

 それと同時に、服を掴まれる。

 体勢を横にして目を開けると、心細そうな目をしているモミジが居た。

 大人びているが、モミジはまだ10歳なのだ。

 まだ子供なんだ。

 この時初めて理解した。

 左手で服を掴んでいる手を握り、右手で頭を撫でてやる。

 大丈夫だよ、傍に居るからと、声をかけながら。

 モミジが寝付くまで、頭を撫で続けた。

ふざけたノリで始めた話ですが、結構真面目に書いてきています。

厳しい意見や感想なんかもお待ちしています。


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