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幸運の護衛獣と愉快な少女達(仮)  作者: 直木
2章 エルフ少女と護衛獣
11/12

エルフは俺の護衛獣

 幸いモミジはすぐに見つかった。

 馬にエルフの子と一緒に乗っている。

「幸也も無事だったのね、よかった」

 モミジがこちらに気付いて、馬の足を止める。

「負けた。勝てそうもないから、逃げて来たんだ。追ってくるかもしれない、もっと奥へ行こう」

 俺が後ろを気にしながら言うと、モミジは頷き、また馬を走らせた。


 分かれ道は無く、一本道を走り続けた。

 30分以上走っているのに、まだ先はずっと道が続いているようだ。

 後ろを振り返ると、こちらも同じく遠く道が続いている。

 どうするか考えていると、道端に石碑が刺さっているのが目に入った。

「モミジ、止まって」

 モミジを止めて、石碑を示す。

「これ、なんて書いてあるの?」

 象形文字の様に、記号が描かれている。

「んー? 私にも読めないわ」

 モミジは首を横に振る。

「そっか。もうちょっと進んでみよう」


 10分後、また石碑を見つけた。

 嫌な予感がする。

 石碑の前に豆を数粒置いておく。

 10分後、石碑と豆を見つけた。


「なるほど、迷いの森ってこういう事ね」

 出られないという意味が、正確な意味で分かった。

「とりあえず、ここでちょっと休憩しよう」

 モミジもエルフの子も疲れているようだった。

 馬に乗っているだけでも、結構体力使うからな。

 石碑の前に腰をおろす。

 2人も近くに座った。

 エルフの子は怯えている様子。

 まぁ、黒髪だしな。

「やっぱり、異世界人だから怖い?」

「い、い、いえ、そ、そんな事は」

 俺が尋ねると、あからさまに狼狽している。

 改めてエルフの子を見てみると、モミジより頭一つ分程小さい。

 大人でも怖がってたんだ。

 こんな小さな子だと、それはそれは恐ろしいだろう。

「まぁ、自己紹介でもしよっか。俺は赤松幸也」

 俺が名乗ると、エルフの子は目を大きく見開いた。

「私はイロハ・モミジよ。貴女は?」

「わ、私、は、ハルニレ・コナスプリングフィールド」

 モミジの問いかけに、たどたどしくも、答えてくれた。

「コナスプリングフィールド? 長いな。コナって読んでいいかな?」

「「!!」」

 二人揃って驚いた顔でこちらを見てくる。

「貴方ね!」

 怒りが籠った様な声をモミジが上げるが、それをコナが遮る。

「は、はい。どうぞ、コナとお呼び下さい、ご主人様」

 コナの顔は真っ赤だ。

「いや、普通に幸也って呼んで」

 俺が戸惑いながら返すと、モミジは呆れたように言った。

「貴方ね、名前を付ける意味を前に話したの、もう忘れたの?」

 名前を付ける意味?

 どういう事だろう。

「はぁ。親以外が名前を付けるって云うのは、隷属させるって意味を持つのよ。召喚の時の様に正式では無いから強制力は無いけど、名前を与え、それを受け取るってことは、主従関係をお互い認めるって事なの。」

 そこまで言われた記憶はないぞ。

「ただ名前を短縮しただけだぞ?」

「それでも、本名以外を与え、本人が受け取った。それに変わりは無いわ。普通なら、襲われても文句が言えない程の無礼なんですから、気をつけて欲しいものですわ」

 やれやれとモミジは首を振る。

 コナは俯いている。

「えっと……いいの?」

 コナに確認を取る。

 ここでやっぱやーめた、なんて言ったらもっと失礼になる気がする。

「はい。私の命の恩人ですし。それに、赤松の姓を持つ者。私が断る理由は一つもありません」

 恥ずかしがりながらも、コナはきっぱりと言い放つ。

「えっと、赤松って姓だからって、どういう事?」

 命の恩人なのは分かるとしても、俺の苗字が理由なのは分からない。

「赤松様には、度々助けていただいていますので」

 ますます分からない。

「俺には、さっき助けた以外の記憶は無いんだけど……」

「あ、いえ、別の赤松様です」

 コナが慌てて訂正する。

 この世界には赤松って人がいっぱいいるのだろうか?

 でもそれって、俺とは無関係じゃ……。

 モミジを見ると、彼女も首を傾げている。

「と、とにかく、赤松様でしたら、問題ないでしょう。エルフの村にお連れいたします」

 コナはそう言うと立ち上がって、石碑に手をついた。

「――――」

 コナの声は聞き取れなかったが、俺の目の前は、光に包まれた。

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