第二話 選択
「海牙!おまえの番だぞ」
ボーっとしていたオレに陽太が声をかけてくれた。
「よし海牙、一番得意な魔法をつかってみろ」
そう、いまは魔法授業中だ。
魔法とは、オレ達がイメージしたものを現実化すること。
つまり手から炎がでるイメージをすれば、本当に炎がでる。ほとんど超能力だが『魔法』らしい。
もちろん個人差もある、人によって現実化できるものが違う。簡単に言えば炎を出せる人と出せない人がいるってことだ。
「ハイハイ」
オレはいまのところリアリティングできないものは無いが、
得意なのは武器具現化(召喚魔法の一種)と属性魔法(炎・雷・水・風など)だ。
どっちにしようか迷って、どっちもやってみることにした。
「よっと!」
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まず剣を現実化、ほぼ同時に剣から炎がでるイメージを・・・
ボン!!という爆発音と同時に刀身から炎が出る剣がオレの手に握られた。
「『マジックブレード』ってところか」
おおー、と周りから賞賛の声があがる。
ふと教師を見ると妙な顔をしていた、引きつった笑いと見開いた目、この表情は『恐怖』?
「どうしたんすか?先生」
オレの言葉に気づかず教師はブツブツと独り言を始めた。
「まさかこんなに早く合成魔法を使える者が出るとは、プロジェクトを開始するか?いやまだだ
しかしもうこいつらに真実を教えてもいいか」
プロジェクト?真実?なんのことだ。
わけがわからなかったが、この後話されたことはオレ達にとって認めたくない、残酷な事実だった。
授業後、魔法学校にいる全ての生徒が集められた。そして校長が出てきて『真実』を語り始めた。
「君たちに親はいない」
そんなことをいきなり言われても、理解できなかった。
「そもそもこの世界の人間ではないんだ、
16年前きみたちは赤ん坊の姿で地球のあちこちに出現した。
我々は君たちを『天の落とし子』と名づけ、
一般の家庭で中学卒業まで育ててもらうことにしたんだ」
この世界の人間じゃない!?そんなこと、あるわけが・・・
「ありえないと思っているだろう、だが君たちの魔法がその証拠だ!普通の人間がこんな力を使えるわけ無いだろう!」
なにも言い返せなかった。それは同時に自分がこの世界の人間じゃないと認めたようなものだ。
もう周りは大パニックだった、皆「嘘だ!」「信じるか!」と騒いでいる。
オレはそれすらできなかった、初めて自分の弱さを知った。ただ怖くて、わけがわからなくて震えていた。
「君たちに選択してほしい。ここに残り、魔法を極めていくか、ここを去り、魔法を使わないと誓い一般社会で生活するか。期限は明日までだ」