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タイトル未定2025/06/27 23:39

6話 水龍登場


半妖の人達が集まる場所にいた時のこと。

一人の男がフローナを見るや否や声をかけてきた。

水龍24歳、半妖。

水龍「!君可愛いね、俺水龍って言うんだ、君は名前何て言うの?」

フローナ「それはどーもありがとうございます、フローナです」

フローナは特に動じることもなくピッと手を小さく上げた。

水龍「ははは、フローナちゃんって面白いね、ねぇ、俺とデートしない?」

フローナ「えー、どうしようかなぁ」


 

レン「あれ、意外とフローナさん満更でもなさそうですね」

メリサ「フローナちゃんってなーぜか半妖にモテるよねぇ・・・隊長とかキリュウ君とか」

レン「うーん・・・」(否定できない)

 

水龍「いいじゃん♪行こうよデート」

シェル「良いわけないだろ」(ずいっ)

シェルが後ろから声をかけた。

フローナ「シェル!」

水龍「なに君、ひょっとしてフローナちゃんの彼氏?」

フローナ「あ、いえ、シェルは・・・」

水龍は怪訝そうな顔をしながらシェルを指差した。

シェル「違うよ」

水龍「じゃあ別にいいじゃん、俺が今フローナちゃんを口説いてんだから邪魔しないでくれる?」

シェル「いーや、隊長として仲間が変な男に引っ掛かるところを黙って見てる訳にはいかないな」

水龍「ふーん、隊長として、ねぇ・・・(ニヤニヤ)」


水龍はシェルを煽るように片眉を上げて言う。


シェル「・・・」

バチバチと目線の攻防が始まる。

フローナ「やめて二人とも!私の為に争わないで!なんちゃって!」

メリサ「フローナちゃん、君は呑気だねぇ・・・」

フローナ「一度言ってみたかったんですこの台詞」

レン「隊長が少し気の毒のような気もしますね・・・」


水龍「まぁまぁ、夜までにはちゃーんと返すからさ」

そう言ってイケメン半妖はある写真をシェルに見せた。

シェル「あのなぁ、え・・・なるほど、そういうことか」

水龍「ね!」

シェル「見ず知らずの奴にフローナを連れてかせるわけにはいかな・・・」


その時、フローナが後ろからシェルの裾を掴んでくいくいっと引っ張る。


シェル「ん?」

フローナ「この人、悪い人じゃないよ」

水龍「お、フローナちゃん話が分かるねぇ」

シェル「え、何でそう思うんだ?」

フローナ「感?」

シェル「感か・・・フローナはどうしたい?」

フローナ「私はデートくらいならしてもいいよ」

水龍「やったー!ありがとうフローナちゃん!」

シェル「フローナがいいって言うなら俺は何も言わない

けど、手だけは出すなよ」


シェルは水龍にビシッと指を刺す。


水龍「分かってるって、てか、今までも遊びで手出したことないけどねぇ」

フローナ「じゃあちょっと遊んでくるね」

シェル「くれぐれも気を付けてな、ちょっとでも危なくなったら叫ぶんだぞ?」

フローナ「うん、分かった」





水龍とフローナが並んで歩いて行く。

フローナ「あの、どこ行くんですか?」

水龍「あー、タメ口でいいよタメ口で」

フローナ「うん、分かった」

水龍「じゃあまずは街中お散歩しようか」

フローナ「うん」





しばらくして・・・。

とあるカフェの看板のケーキが気になったフローナは・・・。

水龍「このお店のメニュー気になる?」

フローナ「うん、ケーキ美味しそうだなって思って」

水龍「じゃあここにしよう」

フローナ「いいの?」

水龍「うん、俺はフローナちゃんと話したかっただけだから

場所はどこでも良かったんだ」

フローナ「ありがとう・・・」





過去。

ミリア「お兄ちゃん!私、ケーキ食べたい!」

水龍「分かった、一緒に食べに行こうな」

ミリア「うん!お兄ちゃん大好き!」

水龍はフローナの後ろ姿を見ながら昔のことを思い出していた。





フローナ「うわぁ、どのケーキも美味しそう〜!」

水龍「どれでも好きなもの頼みなさい」

フローナ「・・・」

フローナ"やっぱりこの人・・・"

フローナ「じゃあいちごタルト!と紅茶にしよう」

水龍「了解、そこの可愛い店員さん、いちごタルトと紅茶二つずつお願いね」

店員「は、はい」(イケメンに可愛いって言われた!キャー!)

フローナ「水龍君、私と同じので良かったの?」

水龍「うん」

フローナ「ところで・・・そろそろ教えてくれない?」

水龍「え、何を?」

フローナ「どうして私を誘ったのか」

水龍「ん?だから君が可愛かったからだって」

フローナ「私より可愛いコなんていくらでもいるでしょう?それに、水龍君モテるし、女の子には困ってなさそうなのにどうしてだろうって思って」


水龍「フローナちゃんって意外と鋭いんだね・・・可愛いって言われても全然自惚れないし、

うん、分かった、ここまで付き合わせておいて本当のこと言わないのはフェアじゃないしね

話すよ、俺がなぜ君を誘ったのか」

フローナ「うん」


水龍「その理由はこれさ」


水龍は一枚の写真を懐から取り出し、フローナに見せた。


フローナ「この子は?」

水龍「俺の妹さ、ミリアって言う名前でね

生きていたらちょうど今の君と同くらいの歳になるかな」

フローナ「生きてたらってことは・・・」

水龍「亡くなったんだ、7年前に

妹は体が弱くてね、長年患っていた病である日突然

治療したり俺の血を分けたり、手を尽くしたけどダメだった」

フローナ「そっか・・・それで似てる女の子を探してたの?」

水龍「いや、それは単純に俺が女の子大好きなだけ」(しれっ)

フローナ「あ、そう・・・」

水龍「でもフローナちゃんは違うよ、一目見て妹に似てるなって思ったら体が勝手に動いて声をかけてた」

フローナ「なるほど」





会計時。

フローナ「あの、お金・・・」

水龍「女の子はそんな事気にしなくていいの」

フローナ「ありがとう・・・」

店員「良かったらこちらどうぞ」

水龍「ん?チケット?」

店員「はい、このお店から少し離れたところに植物園があるんです

このチケットを持っていくと半額で見られるのでぜひ」

水龍「そう、ありがとう」(ニコッ)

店員「キューン・・・」(イケメン・・・)





お店の外。

フローナ「水龍君、ごちそうさま」

水龍「どういたしまして」

フローナ「植物園のチケットもらっちゃったね」

水龍「うん、植物園か、ミリア好きだったなぁ・・・」

フローナ「水龍君、行こう!植物園」

水龍「え、でもいいの?」

フローナ「私も花好きだから」

水龍「そっか、妹が生きていたらフローナちゃんと話が合っていたかもしれないね」





植物園へ向かう途中。

水龍「フローナちゃん!危ない!」

フローナ「え」

立てかけてあった鉄パイプがフローナの方へ倒れてきた。

ガシャーン!!

水龍「大丈夫?」

フローナ「うん・・・!水龍君、手!怪我!」

水龍「あー、ただのかすり傷だよ、これくらい放っておけば大丈夫、それにほら、俺、半妖だから」

フローナ「ダメだよ、ちゃんと手当しないと!

ばい菌が入ったらどうするの?

怪我にね半妖とか関係ないの

はい、絆創膏!」

フローナはカバンから絆創膏を取り出し、水龍の手の甲にぺっと貼った。

水龍「ありがとう・・・」






過去。19年前。水龍3歳。


ミリアが産まれてくる少し前。

水龍が腕に怪我をして帰って来た時の事。

水龍の母(人間)「水龍は強い子だからこれくらいの怪我ヘーキよね?痛かったら自分で手当てしてちょうだいね」

水龍「うん」

水龍の父(妖怪)「お前は人より体が強いんだから妹を守ってやれよ」

水龍「分かったよ、父さん」


自分の部屋。

水龍「いたた・・・まだ血出てる、自分で手当てしよう」

水龍は利き手じゃない左手で右腕の消毒を終え、たどたどしく包帯を巻き始めた。

水龍「ちょっとガタガタだけどないよりはマシか」

その後ろ姿はまだ小さく、幼かった。





それから3年後。

ミリア「お兄ちゃん!怪我したの!?大丈夫?」

水龍「ちょっと指が切れただけだよ」

ミリア「血が出てるじゃない、すぐに手当てしないと!」

水龍「これくらい放っておけば治るって、兄ちゃん人より体強いから大丈夫だよ」

ミリア「ダメだよ!体が強くたって怪我は怪我なんだから!強いとか弱いとか関係ないの」

ミリアは絆創膏をバッグから取り出して水龍に貼った。

水龍「・・・ありがとうミリア」



今まで俺の心配をしてくれる人なんていなかった。

半妖だから。人より体が強いから。

周りの大人達には俺が怪我をしても熱を出してもお前なら大丈夫だろうと言われて放置されることが多かった。

でもミリアだけは違った。

自分の方が体が小さいのに。自分の方が体が弱いのに。

いつも俺の心配をしてくれた。



水龍「なぁ、ミリア、兄ちゃんは大丈夫だから、ミリアは自分の体の心配をしてくれよ」

ミリア「私のことはいいの」

水龍「いや、そういう訳にはいかないんだよ」

ミリア「だって、私のことはお兄ちゃんが心配してくれるから

だから私はお兄ちゃんの心配をするの!」

水龍「!ミリア・・・」

水龍はミリアを抱き締めた。

ミリア「お兄ちゃん?よしよし」


ミリアは水龍の頭を初めて撫でた。


水龍「・・・」


水龍は黙ったまま、しばらくミリアを抱き締めていた。





それから一年後、両親はたまたま遭遇した強い妖怪に殺された。

両親が最後まで俺とミリアを守ってくれたおかげで何とか二人生き残る事ができた。



水龍の母親「ミリア、あなたは体が弱いんだからお兄ちゃんにしっかり守ってもらいなさい」

ミリア「うん・・うん・・・」


ミリアは涙を必死で堪えていた。

その震える肩を水龍が支えた。


水龍の母「水龍」

水龍「何?・・・」

水龍の母「水龍、あなたは妹に守ってもらいなさい」

水龍「え?」

水龍の母「私達は体の弱いミリアのことばかりであなたのことを放置し過ぎたわ、ごめんなさい」

水龍「そんなのいいんだよ母さん、俺は人より強いんだから」

水龍の母「あなたは体は強いけれど心はそう強くはないでしょう?だからこれからは二人で支え合って生きていってちょうだい」

水龍の父「水龍、ミリアを頼んだぞ、ミリア、水龍を頼んだぞ」

水龍「母さん、父さん・・・」






現在。

フローナ「水龍君、どうしたの?」

水龍「ちょっと昔のことを思い出しちゃってさ」

フローナ「昔のこと?」

水龍「うん」

フローナはそれ以上の事は聞かなかった。

フローナ「植物園、行こっか」

水龍「そうだね」

 




帰り際。

水龍「今日は付き合ってくれてありがとう、楽しかったよ」

フローナ「うん、私も楽しかった、色々とありがとう」

水龍「フローナちゃん」

フローナ「何?」

水龍「またデートしてくれる?」

フローナ「うん、いつでも」

水龍「ありがとう」

水龍はそう言って切なげに微笑みながらフローナの頭を優しく撫でた。

フローナ"優しい撫で方・・本当に妹さんのことを大切にしていたのが伝わってくる、

そして今も大切に思ってる"



水龍「じゃ、俺はそろそろ行くよ」

フローナ「うん、またね」


水龍「じゃあね、チェリー君♪」

シェル「その呼び方辞めろっ」

シェルは顔を赤くしながら小声で反論する。

水龍「フローナちゃんに好きって言えたら呼ぶの辞めたげるよ

」(ニヤニヤ)

水龍も小声で話を続ける。


シェル「な、なんでお前にそんなこと言われなきゃならないんだよ」

水龍「へぇ、好きって言わないってことは君の気持ちも大したことないんだね」(煽)

シェル「あのなぁ、俺はちゃんと好きだっつーの」

水龍「あのねぇ、恋なんてただでさえ曖昧なんだから

好きなら好きって伝えないと、好きじゃないのと同じなんだよ?」

シェル「う、そ、それは・・・」



 

水龍「フローナちゃん、あの半妖君が好きなんでしょ?」

フローナ「え!?な、何でそれを・・・」

水龍「だって分かりやすいんだもん」

フローナ「///」

水龍「その様子だと告白はまだって感じか」

フローナ「言えないですよ」

水龍「どうして?」

フローナ「私には眩し過ぎて・・・」


 


水龍「あんまりのんびりしてるとフローナちゃん、他の男に取られちゃうよ?」

シェル「でも、フローナは恋愛興味ないって言ってたし・・・」

水龍「はぁ、これだからチェリー君は・・・それは現段階ではってことなの、ある日突然恋に落ちることだってあるんだからさ、

明日フローナちゃんのタイプの男がひょっこり現れて連れ去っちゃうかもしれないよ?

本当に好きならちゃんと捕まえときなよ」

シェル「う・・・」

水龍の正論に何も言い返せないシェル。


水龍「じゃ、とにかく次会う時までに告白しときなよね」

水龍はそう言うとシェルの返事も聞かずに手を振りながら去っていった。






〜水龍のガールフレンド〜

水龍のガールフレンド二人は防御能力がめちゃくちゃ高い。


フーライとユーエンは家出をしていたところを水龍に救われた。

それ以来、水龍を慕っている。


フーライ「水龍様」

ユーエン「ここは私たちにお任せを」

 

二人は黒いポニーテールの髪をなびかせながらそう言った。

ザッと二人がフローナたちの周りにそれぞれ立って攻撃を防御している。

戦闘服顔負けのカッコ良さだ。


水龍「分かった、フローナちゃん達は任せた」

シェル「水龍も一緒にいなくて大丈夫なのか?」

水龍「この二人は防御能力がめちゃ高い、問題ないさ」

シェル「分かった!じゃあ二人ともこいつらを頼む!」


二人が頷く。


水龍「行くよ、シェル君」

シェル「ああ」






〜イカ焼きコンビ〜

とある祭りにて。




水龍「お、あそこにいるのはフローナちゃんじゃないか、おーい!フローナちゃーん!」

その声に反応したフローナとシェルが振り返る。

すると・・・。

 

水龍「って二人ともイカ焼き食べてんの!?」

フローナ「もぐもぐ、ごくん、あ、すいりゅーくん」

シェル「もぐもぐ、よお、すいりゅー」

水龍「二人とも口の周りイカ焼きのタレで凄いことになってるぞ・・・」

 

水龍"なんちゅー色気のないカップルだ・・・"

 

メリサ「ほら、フローナちゃん、口の周り拭かないと」

メリサはティッシュでフローナの口の周りを拭う。

フローナ「ありがとうございます」

レン「隊長、あなたもですよ」

レンはメリサからティッシュをもらうとグイッと口に押し付けた。

さっさと拭けという合図だ。

シェル「ぶっ・・・さんきゅレン」



フローナ「はー!イカ焼き美味しかったぁ!!」

シェル「なー!美味かったな!!」


水龍「フッ」

水龍"ま、フローナちゃんが幸せそうだからいいか"






〜謎解きとドラゴン〜

二人の後ろ姿を見た水龍は話しかける。


水龍「やぁ、フローナちゃん、シェル君、久しぶ・・・り・・って二人とも何食べてんの??」

フローナ「もぐもぐ、あ、水龍君久しぶり!イカ焼きだよ」

シェル「もぐもぐ、美味いぞ、水龍も食べるか?」

水龍「いや、俺はいいかな」

 

水龍"なんちゅー色気のないカップルなんだ・・・

まぁ、フローナちゃんが楽しそうだからいいか"




シェル「それで、何で水龍がここにいるんだ?」

水龍「あ、そうそう、隣町で謎謎やっててさ、参加券もらったんだ、商品が植物園のチケットなんだってさ、フローナちゃん見かけてちょうどいいかなと思ったんだ、どう?」

フローナ「行きたーい!」

シェル「彼氏の前で誘うか普通」

水龍「何言ってんの、君たちも来るだろ?」

シェル「え?」



水龍は手に持っていた参加券をスライドさせた。

水龍「俺たちも見たんだけどてんで分からなくてね、

こういうのはフローナちゃんとシェル君なら解けるかなと思ってさ」

シェル「なんで俺とフローナなんだ?」

水龍「こういうのは純粋な心の目を持った人の方が解きやすいんだよ」

 

フローナ「私って純粋?」

シェル「俺って純粋か?」

二人は顔を合わせて首を傾げた。


メリサ「この二人に純粋さで勝てる人なんていないさね」

レンは静かにうんうんと頷く。


水龍「まぁ、とりあえず参加券に書かれた謎謎を見てみてよ」


 

「空を見上げてごらん赤い星が沢山見えるよ

赤い星と星の間から見えるのは四つの白い流れ星

待ち合わせの時間は鳩が知らせてくれるよ

美味しい料理を作って待っている」



シェル「なんじゃこりゃ・・・」

レン「分かりやすいような分かりにくいような絶妙なラインですね」

水龍「シリアスな感じじゃなかったから気難しく考えないでいいと思うよ」


メリサ「赤い星か・・・絵を描く場合、星っていうと黄色だし、実際見ると白色だよね」

レン「赤い星・・・人の名前とか建物の名前でしょうか?」

水龍「うーん、俺もそう思って街の人に聞いてみたんだけどそんな名前の人も建物もなかったよ」

レン「なるほど・・・」


フローナ「んー、あ!」

フローナは何やら思いついたらしく目の前の並木通りに走った。

シェル「フローナ?どした?」

フローナが指を差しながら言う。

フローナ「赤い星がいっぱい」

シェル「え?」

シェルたちもフローナの後に続く。

フローナ「ほら、上」



並木通りは紅葉で彩られている。

シェル「あ!赤い星って紅葉のことか!!」

フローナ「いや、分からないよ?ただ、何となくそう見えて」

水龍「いや、こういうのは案外そのなんとなくが重要だったりするんだ、もしかしたらもしかするかも」

 

シェル「じゃあ、とりあえず赤い星が紅葉だと仮定して

次は白い四つの流れ星と鳩だな」

フローナ「うーん」

レン「四つの流れ星と鳩・・・」

メリサ「鳩がいる場所・・・」


レン「四つの流れ星はともかく、鳩がいる場所で美味しい料理というと鳩を飼っているカフェとかレストランですかね?」

シェル「けど、カフェとかレストランで鳩って衛生的にどうなの」

フローナ「でも、猫カフェとか犬カフェがあるくらいだから飼ってる鳥を看板としてっていうのはありそう?」

シェル「野生じゃなきゃありうるか」

メリサ「鳩、はとねぇ・・・」



通りすがりの老婆「おや?あんたち鳩を探してるのかい?

レン「ああいえ、鳩がいる飲食店を探しているんですが・・・」

シェル「おばあちゃん知らない?」

 

老婆「そうだねぇ、猫カフェなら旦那と行ったことあるけど鳩はないねぇ、

あぁ、でも鳩時計があるカフェなら友人から聞いたことがあるよ、場所は確か空港の近くだったかな

名前までは分からなくてごめんね」

 

シェル「いや、充分だよ!おばあちゃんありがとう!」

フローナ「ありがとうございます!」

 

老婆「なんだかよく分からないけど見つかるといいねぇ、気を付けて行くんだよ」


フローナ「はーい!」





シェル「ところでレン、鳩時計ってなんだ?」

レン「昼の三時、おやつの時間になると時計から鳩の人形が出てくるんですよ」

メリサ「でも、今どき珍しいね」

レン「俺も母に写真で見せてもらっただけなので実物は知らないんですが」

水龍「紅葉と鳩は分かったけど、昼の3時だと流れ星は見えないよね」




キーーン!!

その時、音がして空を見上げる。

シェル「ん?飛行機、空港・・・あ、そうか、飛行機雲のことか!」

レン「飛行機雲ですか?」

シェル「たぶんな」

水龍「ああ、確かに4本の線が見えるね、四つの流れ星ってそういうことか」

メリサ「「じゃあ、まとめると空港付近で鳩時計のあるカフェかレストランに3時でいいってことかね」

 

シェル「ああ、とにかく空港に行ってみよう、あと2時間しかない」

水龍「空港なら二つ隣の街にあるよ、行こう」

フローナ「うん」





空港で聴き込みをしていると一件だけ鳩時計があるカフェを見つけた。



カランカラン。

店主「やぁ、待っていたよ、どうやらたどり着いたのは

君たちだけのようだ」

シェル「じゃあ俺らの推理は合ってたんだな」

フローナ「良かった」

店主「料理を用意してある、好きなものを好きなだけ食べてくれ」

シェル「やったー!!お腹ぺこぺこだよ」




食べ終わった後。

店主「さぁ、商品の植物園のチケットだ、受け取ってくれ」

水龍「ありがとう」

店主「それともう一つ」

水龍「え?商品は植物園のチケットと料理だけだよね?」


店主「秘密にしていたんだ、これを受け取る人を見極めたくてね」

シェル「卵?」

フローナ「変わった柄ね」

店主「これはドラゴンの卵さ」

シェル「ど、ドラゴン!?」


店主「ああ、あれは雷がこの家の近くに落ちた時のことだった

雷が落ちた場所にこの卵が落ちていたんだ

だが、ワシが持っていても一向に割れる気配がない、

これはこの子が飼い主を選びたいんだろうなと思ってな」

 

水龍「ほんとにドラゴンなのか?」(ヒソヒソ)

シェル「さ、さぁ・・・」(ヒソヒソ)


と、その時、店主の手から卵がフローナの手へふわふわと宙に浮いて届いた。

フローナが両手を広げるとその手の中にぽすっと入った。

水龍「え!?」

フローナ「あったかい・・・」

店主「ふむ、どうやらこの子は君を選んだようだね」


パキッ。

シェル「え、卵割れ始めた!?」

パリィン!!


「キィー!!」


水龍「ほ、ほんとにドラゴンの子どもだ・・・」

フローナ「か、可愛い〜!!」


店主「どうかな?ぜひこの子を育ててやってくれないか?この子も君を気に入っているようだし」


フローナ「シェル、この子連れてってもいい?」

シェル「おー、いいぞ」


レン「だ、大丈夫なんですか隊長、ドラゴンを飼うなんて・・・」

シェル「俺たちがいればなんとかなるだろ、見たところ害はなさそうだし」

 

「キィー!キィー!」


メリサ「名前どうしようかね」

フローナ「キーちゃん!」

水龍「なんて安易な・・・」


キー「キィ♪キィ♪」


シェル「ん?名前ほんとにキーみたいだぞ」

水龍「正確にはKey(鍵)みたいだね」

二人は動物の言葉が分かる。


フローナ「え、ほんとに?じゃあやっぱりキーちゃんだね!」


店主「二人とも、ドラゴンの言葉が分かるのかい?」

シェル「まぁね」

水龍「ちなみに俺ら動物の言葉も分かるよ」

店主「そりゃあすごいな」


メリサ「キーちゃんこれからよろしくね」

フローナ「よろしくねキーちゃん」

 

キー「キィ!!」


メリサ「ほわぁ・・・可愛いね」

フローナ「可愛い過ぎる〜!!」





それから。

店主「じゃあ、ここまで来てくれて感謝するよ、しかし、よく謎が解けたね?」

シェル「フローナが最初に紅葉に気付いてくれたおかげなんだ」

フローナ「シェルだって飛行機雲に気付いたじゃない」

店主「これは子どもの心を忘れないようにと作られた謎謎なんだ、二人は子どものように純心なんだねろ」

 

フローナ「そ、そうかな?」

シェル「そうなのか?」

二人はまた顔を見合わせて首を傾げる。


水龍「ね?だから言ったでしょ?二人なら解けるって」



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