【第0話:崩れた人生、転生の幕開け(サイコロ・詫びガチャ完全版)】
――キキキ――キィィィィ――――ドガァァンッ!!
信号は青のはずだった。
次の瞬間、視界の端で光る巨大なトラック。
(あっ……)
時間が引き伸ばされたような静寂。
身体が浮き、遠ざかる街、回転する視界――
世界が音も色も失い、闇に沈んでいった。
*
闇の中、光が浮かぶ。
懐かしい顔――父、母、友人たち。
「……これが、走馬灯、か」
静かに自分の人生を見送るような感覚。
不思議と、恐怖はなかった。
「やっば……やっちゃったー……」
突然、軽い声が響く。
銀髪ボブの少女――妙に軽薄で、妙に浮世離れした存在。
「えーと、ごめんね。ちょっと転生管理の手順ミスで、君にヒットしちゃった」
「……お前のせいか」
「まあ、そうとも言う。けど、転生対応はしっかりやるからさ!」
彼女はぱちんと指を鳴らすと、空中にきらめくUIウインドウを展開した。
「はい、今回は“神の特別詫び”付き。まずは“超特別ユニークスキル(SSR~LUSS固定)”を君に保証するよ」
「え……?」
「それだけじゃ不公平でしょ? これ――サイコロ3つ、運命のガチャ券!」
差し出されたダイスは、掌の中でやたらと冷たかった。
「この3つのサイコロの“和”が、追加でガチャ引ける回数。“ぞろ目”ならボーナスで+1か+3。最高で19連だよ」
「しかも、合計が高いほど、固有特典の“覚醒度”や“進化可能性”も上がる仕組み。主人公補正ここに極まれり、って感じ!」
俺は無言でサイコロを見つめる。
(運命を決める一投……これが人生最後の“運試し”かもしれない)
「深呼吸して……どうぞ!」
掌の冷たさ、指の震え、胸の鼓動がドクンと響く。
「行くぞ……!」
サイコロを一気に振り下ろす。
カラカラカラ――コロコロコロ……
やたらと長く感じる“転がる音”。
止まった。
「おっ、6・6・1! 惜しいね! 二個ぞろ目は+1回、だから計14回ガチャだよ。なかなかの運、持ってるじゃん!」
神様はまるで実況者のようにハイテンションでウインドウを操作する。
「まずは“詫び特典”から。これね――“インフィニット・ストリーム”。異世界の現実を世界中に配信できる神スキル、しかも覚醒度MAXに近い!」
(配信スキル……俺の声が、世界に届く――?)
「さあ、残りのガチャ……気になるでしょ? これは本編でゆっくり解説していくから、お楽しみに!」
神様はウインクしながら、にやりと笑った。
「ちなみに、この運命ガチャの結果は、君の人生を大きく左右する。使いこなせば、誰よりも面白い“異世界配信”ができるはず!」
「……分かった。
今度こそ、好きなことで生きていく。
“本当に、俺の人生をやり直す”って、今なら思える」
「それじゃ――転送先は“静かな森の奥”。モンスター少なめ、空気もきれい、初心者におすすめ。
それじゃ、行ってらっしゃい!」
ウインドウが消え、足元から光が噴き上がる。
*
まぶしい光。
静寂。
見上げれば、紫がかった巨大な樹木。
葉のざわめき、未知の花の甘い香り。
現実には存在しないはずの景色。
足元の苔、遠くで小動物の気配。
鳥のさえずり、風の音。
――まさに“異世界”だ。
「……俺は、神酒秀直。しがない社畜だった男だ。
だが、これからは違う。
異世界で――俺は『好きなことで、生きていく』」
拳を握り、初めて“自分の声”が世界を震わせる感覚を味わった。
その瞬間、誰もいない森で、“どこか遠くの世界”が俺の姿を見ていた――。
(※14回分のガチャ結果、詳細は本編をお楽しみに!)




