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今世こそは幸せな結婚を目指します! ~前世を思い出した元聖女は生まれ変わった魔王様に溺愛される~  作者: 乙原 ゆん


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29.元婚約者からの手紙


 ノエル様から指輪を贈られてからも、日々やることは変わらなかった。

 けれど、ふとした時に目に入る指輪の輝きに、ついそちらに視線を向けてしまう。

 その時に、どうやら無意識に頬が緩んでいるようで、シンディや使用人から微笑ましげな視線を向けられてはっとするということを繰り返していた。

 そんなある日のことだった。

 シンディが一通の手紙を届けてくれた。


「シャルロット様宛に手紙が届いたそうです」

「お父様かしら?」


 けれど、受け取って差出人を見ると、そこには元婚約者のフェネオン侯爵家のご子息の名前がある。

 しかも、元の伯爵家の私の名前が記載されている。


(お父様はノエル様と結婚したと知らせてくださったと聞いていたけれど……)


 何か行き違いがあったのだろうか。

 それ以外は普通の手紙に見えるのだが、なんだか嫌な予感がする。

 読みたくないけれど、開けねばならないのだろうか。


「どうしようかしら……?」


 なかなか手紙を開けようとしない私を、シンディが心配げに見つめている。

 いつまでもこのままではいられないと、覚悟を決めた時だった。

 取り次ぎの侍女が来て、ノエル様の来訪を教えてくれる。


「シャルロット、元婚約者から手紙が届いたと聞いたんだが」

「もうノエル様のお耳に入ったのですね」

「不審な点があったとトーマスが知らせてくれた。何が書いてあったのだ?」

「今、開けるところでした。よかったら、側にいてくださいませんか」

「いいのか?」

「ノエル様に誤解されたくありませんから」

「こんなことくらいで誤解はしないが、同席を許してくれるのは嬉しい」


 ノエル様の微笑みに勇気をもらい、手紙にペーパーナイフを入れる。

 読み進めると、中に書かれてある言葉は眉を寄せるようなものだった。


「シャルロット?」


 不安そうに名を呼ばれ、私は思わずノエル様の方を仰ぎ見る。


「ノエル様に対して、とっても失礼なことが書いてあります……。けど、読まれますか?」

「もちろんだ。シャルロットが許してくれるならば」


 手紙を渡すと、ノエル様は静かに読み進めていく。

 その眉がどんどん寄っていくのが申し訳ない。


「これは……酷いな……」

「ノエル様への不敬が酷いですよね」

「それもだが、シャルロットに対してもかなり上からな言葉ばかりだな」


 不快な様子を隠さないノエル様に私は首を傾ける。


「婚約時代もこのような感じでしたから……。あっ! 誤解が無いようにいいますが、私はこの地に来られて、ノエル様と結婚できて、今、この上なく幸せです! なので! この手紙に書かれている言葉は、全くのでたらめですから!」

「シャルロット、わかっている。落ち着いて……!」


 話をするごとに怒りが燃え上がっていく。

 手紙には私が今もフェネオン侯爵子息を想っているという前提で、婚約解消は愛を確認するための試練だったという、意味がわからないことが書いてある。そして、追伸で今まで私が準備していた浄化魔術を込めた装飾品を準備して欲しいというようなことが書いてあった。


「だいたい、私が真実愛する相手は、ノエル様だけなのに……!」


 怒りまくる私に、ノエル様が言う。


「私から抗議を送ろう。どうやら、侯爵子息は少々錯乱しているようだ。我々が相手をするのではなく、侯爵に対応してもらうべきだろう」

「できるのですか?」

「問題ない。この手紙の写しを同封し、妻となったシャルロットに、嫁ぐ前の名前で手紙を送ってくると言うのは侯爵家として私達の結婚に含むところがあるのかと言えば、侯爵も対応をせざるを得ないはずだ。だいたい、王族である私への不敬がはっきりと書かれている。侯爵も流石にまずいと気が付くだろう」

「社交に差し障りませんか?」

「先に非礼を働いたのはあちらだ。フェネオン侯爵家と辺境伯家は直接取引もないし、問題無い」

「ですが、そんなことまで頼んでしまうのは……」


 本来なら私の問題だ。そこをノエル様に対応させてしまっていいのだろうか。

 悩む私に、ノエル様は薄く微笑む。


「こういう時こそ王族の肩書きを使うべきだ。どうか、シャルロットのために私が動く許可をくれないか?」

「そんな言い方はずるいです」

「妻を守るのは、夫の重要な仕事だ。それに、どんな内容であれ、これ以上、シャルロットの瞳に元婚約者からの手紙を写したくない。もし今後同じような手紙が届けば私の方で処理していいだろうか」

「……お願いします」

「よろこんで。今回に限らず、何かあれば遠慮なく頼って欲しい」


 ノエル様に悪いと思いつつ、婚約時代を思い出して、私はその申し出に頷いた。婚約していた時でさえ、私の言葉はフェネオン侯爵子息には届いていなかった。それを思えば、私ではどうやっても元婚約者の思い込みを解く術を見つけられない。

 そして、フェネオン侯爵家子息からの手紙をノエル様に預け、私はこの問題を手放した。

※ロミオメールも載せておきます。

不快になりそうなお方は読まれない方がよろしいかもしれませんが……ご興味ある人はどうぞ。




*-------------------------------------------------------------------------*


親愛なるシャルロットへ


そろそろ絶望を超えた先にある私からの愛に気が付いてくれた頃だろうか。

希有なる浄化魔術の使い手である君が、忌むべき闇の魔力に目覚めた辺境伯の元へと行かねばならなかったのはつらかっただろう。

もしかしたら、毎日泣いているかもしれないね。

けれど、その試練こそが私達の愛をより輝かせてくれるはずだ。

この愛を知るために、私達は一度は別れを経ねばならなかったんだ。

でも、安心して欲しい。

今も私の心に君はいるんだ。

いつだって戻ってきていいんだ。

君が「助けて」と私に願ってくれるのならば、私はいつだって、君を迎え入れる準備はある。

どうか意地を張らずに、君の本心を教えてほしい。


君が真実愛するジェレミーより


追伸

君がいつも準備してくれていた装飾品に込められていた愛に今更ながら気が付いたよ。

ひなびた辺境では準備は難しいかも知れないが、私への愛の証明として、是非とも君の愛の籠もった装飾品も、この手紙の返事と共に送ってほしい。

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