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史上最強の4匹  作者: カイワレ大根
28/52

28話 初邂逅

「ん、ん~、」


眠い目をこすりながら、凛花は少し硬めのベットの上で、ゆっくりと目を覚ます。

辺りをぼーっと見回すと、黒くて大きな球体がそこにあった。


「具合はどうじゃ?」

「!!」


不気味な物体が目の前にあっただけでも驚いたのに、さらにはそれがしゃべり始めたため、凛花はものすごく驚いた。

人間、本当に驚いたときは声も出ないのだと、凛花はそのとき知った。


「この反応は、、、驚いておるのかの?」


黒い球体は話しながらモサモサと動いた。

凛花はおそるおそる”それ”に近づき、ベットの縁へ移動し、下を見る。

そこにはベットに遮られて見えていなかっただけで、高齢の老人が白衣を着て立っていた。

黒い謎の球体は、老人のアフロだった。


「・・・大丈夫かの?」


一向に返事をしない凛花を心配してか、アフロの老人、ムジカ先生はおそるおそる尋ねた。


「あ、えっと、はい、大丈夫、です」

「そうかそうか、それはよかった」


凛花の返事を聞いて、ムジカはホッホッホっと笑って安心した。


「えっと、、、」


ムジカは安心したようだったが、凛花はそうではない。何せ相手が誰かも、ここがどこかも、なぜ自分がここにいるかもわからない。


「どうしたのかの?何か、お困りごとかの?それとも、体の具合が?」

「いえいえいえ。あの、あなたは?」

「ん?お嬢ちゃんと会うのは初めてかの?わしは白波専門学校の保険室を担当しておるムジカじゃ。はじめまして」

「は、はじめまして」


ムジカが丁寧に頭を下げると、凛花もあわてて頭を下げる。


「それであの、ここは?」


凛花が寝ていたところは窓のない、白く、広い空間だった。

そこに、何台ものベットが置かれており、一つ一つがカーテンで仕切られていた。

当然、凛花のベットもそのカーテンで区切られている。そのカーテンを見て、凛花は気づく。カーテンではないと。

おそらく魔法かなんかなのであろう。何もないのに、ベットの上に浮かんでカーテンのようにベットを区切っている黒くて、半透明な何か。

それらがすべてのベットについている。


「ここは第二保健室じゃ。あまり使うことはないんじゃが、体育祭はけが人や意識不明の生徒が多いからの」


何となく予想していた答えが返ってきたので、凛花は胸をなでおろした。ムジカ先生と話しているうちに自分がここに来るまでのことも、だんだんと思い出してきた。


「凛花、起きたの?」


となりのベットから凛花を案ずる声が聞こえてきた。

振り返ると、そこに寝ていたのはクラスメイトのアイナメだった。


「アイナメ!」


クラスメイトを見つけ、うれしさと安心が混ざった声で友達の名前を呼ぶ。

元気そうな声に安心したアイナメは、笑顔で手をひらひらと振る。


「友達かね?」

「あ、はい」

「そうかそうか、友達ができたか」


そう言ってムジカは、ホッホッホっと笑った。


「まあ、体育祭終了まであと6時間ほどじゃ。それまでおとなしく寝ておりなさい」


そう言ってムジカは凛花のもとを去り、別のベットへと赴いた。

それを見送った凛花は、ベットに寝転んだ。


「体の具合は大丈夫?」


アイナメは心配そうに凛花に尋ねた。


「うん、体は大丈夫なんだけど、、、あの時、何が起こったのか分からなくて」


思い出されるのは、あの嫌な感覚。心臓を握られているような、猛獣の檻の中に放り込まれたような、そんな恐怖、圧迫感。そこで凛花の記憶は途切れている。


「ああ、あれはね。あれは、単純な呪力の放出だと思う」

「呪力の放出?」


聞きなれない言葉に、凛花は起き上がり、アイナメのほうを見る。

アイナメは上半身を起こし、凛花のほうを見ていた。


「学校ではまだ詳しく習ってないけど、魂力を分解していくと、気力とか、呪力に分けられるんだよ」

「うん?」


いまいち理解できない凛花を見て、アイナメは「う~んと」とうなった。


「石油をさ、分けると、重油とか灯油になるでしょ?そんな感じ」

「へーえ!」

「それで、呪力っていうのは、負の力、恐怖とか、羞恥とか、そんな負の感情に起因するの。だから無防備に呪力にさらされるとあんな感じのいやな気分になるの」

「う、うん」


正直、凛花の理解はぎりぎりだったが、何とか食らいついていった。


「だから普通は、気力とか呪力とか魂力とかで守るんだけど、先輩たちの呪力は私たちの守りを易々と砕いてきたのよ」

「だから、気絶したの?」

「うん、そう。最後まで残れるとは思っていなかったけど、まさか参加することすらできないとは思わなかった」

「・・・そうだね」


アイナメは悔しそうに言ったが、凛花は早々に退場できてよかったと思っていた。本人ですら、あまり自覚はないが、今の凛花に、戦う勇気はなかった。


「でも気絶までさせるには普通の呪力量と出力じゃ無理だから、昔はは何かの術だと思われてて、『覇気』とか『威圧』って呼ばれてたんだけど、研究していくうちに―――」

「あ、あのちょっと!」


嬉々として語るアイナメを凛花が止める。


「急にそこまで言われても、理解できないから、ごめん」


アイナメは、やってしまった、という顔にになり、慌てて謝罪した。


「あ、こちらこそごめんなさい。つい熱が入っちゃって」

「勉強、好きなんだね」


凛花は、フフッと笑って話した。


「いや、勉強自体はあまり好きではないわ。なぜそうなるのかを知るのが好きなだけ」

「そうなの?でも私だったらわからないものはそのままにしちゃいそう」

「まあ、私のは趣味みたいなものだから。別に知ったところで、私がどうこうできるものは少ないし」


凛花とアイナメは笑いながら雑談していった。

しかし、白波生だからか、それとも海の国の国民性か、雑談はだんだんと、体育祭の話題になっていった。


「それで魂力っていうのは他の力に比べて結構不安定だから、子供には極力使わせないようにしてるから」


といっても体育祭の情報なんてほとんどないため、もっぱらアイナメ先生による魂力の講義と化してしまっている。


「だから魂力の扱い方に関しては凛花たちと同じなんだよ」


「だから自分を卑下しないで」とアイナメは凛花を慰める。

もともとなんでこの話になったかというと、凛花の「私が足手まといになったせいで」という発言が発端だ。ちなみに異世界から来たことはとうの昔にばれている。



「それより、凛花の異世界の話を聞きたい」

「え?」

「これまでこっちの世界に慣れるのに大変で、こうやってゆっくる話す機会はなかったでしょ?」


学校の勉強、新しい概念の理解、不慣れな土地での生活、思えば疲労や焦りで、あまり友達と関わることを指せていたかもしれない。

これでは元の世界での二の舞だ。

しかし、友達と話すのもいいかもしれないと思う反面、どうせ帰る、別れることが決定している人と交流を深めても、悲しくなるだけじゃないかと思う気持ちも凛花にあった。


「別れることが分かってても、私はあなたと仲良くなりたい。そう思うのは、ダメかしら?」

「え、、、」


自分の心を見透かされたような問いかけに、凛花は一瞬固まった。

そんな凛花を、アイナメは優しい目で見つめている。


「それに、人は皆いつか死んでしまうんだから、別れをこわがっていたら、何もできないわ」

「・・・そうね、そうよね」


アイナメの言葉に決心がつき、凛花は元の世界のことを話した。

好きな食べ物、好きな本、好きなテレビ、好きな映画、学校でのこと、家族のこと、片思いしたこと、勇気がなかったこと、将来やりたかったこと。

凛花が一方的に話す形となったが、アイナメは微笑みながら相槌を打ってくれたり、共感したりしてくれた。それが凛花には嬉しかった。


「こっちの世界と似ているところはあるけど、結構違うのね」

「そうなんだよ、だから最初混乱しちゃって」

「どちらかというと、ケミスとか、エンスに近いのかしらね」

「何?それ」


知らない単語に、凛花は首を傾げた。


「二つとも国の名前よ。ただちょっと思想強めで。ただどっちも科学を極めてるのよ」

「へ~!そうなんだ」


元の世界に科学しかなかった凛花は、若干の親近感を覚えた。


「いや、科学に心酔してるって言ったほうがいいかも」

「え?」


アイナメから不穏な言葉が紡がれる。


「エンスはまだマシ。魔力とか体力とかを科学的に分析して落とし込もうとしてる。この国とも交流があって、情報交換とかすることもあるし、世界的な発見もたまにしているんだけど、あの国は功利主義、大勢のためなら多少の犠牲は仕方ないみたいな考え方だから、、、」

「そ、そうなんだ、、、」


続きを言いよどむアイナメから、凛花もなんとなく事情を察し、苦い顔をした。


「ケミスはもっとヤバくて、科学以外のことを信じない、拒絶してる」

「拒絶?」

「そう。魔法も体力も魂力も、まやかし、気のせい、(自分たちにとっての)科学的なタネがある、って言って譲らない」

「そうなんだ」

「しかも、そういう研究者とか術師は処罰の対処なんだ。死刑らしい」

「え!?」


衝撃の言葉に驚く凛花。

アイナメは虚空を見上げて、「フッ」っと小ばかにするように笑う。


「そんなんだから戦争にも弱くて、あんなに小さい国なんだよ。国民は普通なんだけど、国がいかれてるね」


この言葉は、凛花に教えるというより独り言に近かった。


「そっちの世界には、科学以外がそもそもないんだよね?」

「う、うん」

「だったら、帰ったときにみんなに自慢できるね」


そう言って、アイナメはフフっと笑った。それを見て、凛花は一瞬呆けたが、すぐにつられて、フフッと笑った。


「そうね、みんなに教えようかな」

「ケミスみたいな国じゃない?大丈夫?」

「大丈夫だよ。ただ、、、」

「ただ?」


自分のベットを見るように少しうつむき、暗い笑みを浮かべた凛花を、アイナメは心配そうに見つめる。

しかし、凛花はすぐにパアっと明るい笑みを浮かべてアイナメのほうを向いた。


「ただ厄介な迷惑系ユーチューバーに追っかけられるかもね!」

「ユーチューバー?」


凛花は自分でうまいことを言ったと思い、クックックっと笑ったが、アイナメには伝わっていなかった。

アイナメを見た時、渾身のボケを理解されなかったときに現れる羞恥が、凛花に襲い掛かった。


「ユ、ユーチューバーっていうのは、個人とかグループで、動画を世界中に発信している人たちのことだよ。動画を配信するためのサイトがユーチューブっていうからユーチューバー」


顔が赤くなるのを必死に抑え、羞恥と戦いながらアイナメの疑問に答える凛花。しどろもどろにならずに答えられたのは奇跡だった。


「なるほど。迷惑系ってことは、規律や礼儀を守らないで、自己顕示のために様々なことに多を出すってことかしら。でもそんなことしたら」

「も、もういいから。そんな真面目に分析しなくても」


ボケの内容を冷静に分析されるととても恥ずかしいということを凛花は学んだ。


「そ、そうね。でも凛花の美貌と摩訶不思議な技があればだれもが虜ね」

「美貌って。ありがと」

「そこ、自虐的にならない」


ビシッとアイナメは凛花を指さす。

アイナメは美貌の部分を八割方本気で言ったのだが、凛花は冗談半分で受け流してしまった。

実際凛花は元の世界でも綺麗なほうだった。絶世の美女やクラスで一番というほどではなかったが。

例えるなら何かの漫画のヒロインの親友くらいの可愛さだ。

そのため凛花に好意を寄せていたやつは何人かいたが、凛花は自分が恋した人以外が目に入らないのと、周りの人間がヘタレだったために、それに気づくことなく成長していた。

異世界に来る直前まで通っていた学校に、とんでもない美少女がいたのも要因だが。


凛花から見れば、むしろアイナメのほうが美人に見えている。

冷静に考えている顔も、こうして笑いあっている顔も、どちらもとても綺麗で、もし自分が男性なら、思わず目で追ってしまうのではないかと思うほどだ。


(それによく話すアカネハナも―――)


そこまで考えて、凛花はアカネハナの姿を探し、周りをキョロキョロと見まわした。


「ねえ、アイナメ」

「なに?」

「アカネハナは?」

「アカネハナならそこにいるよ」


そう言ってアイナメは自分のベットの枕のほうを指さした。

指の先には、カーテンで見えにくかったが、アカネハナが眠っていた。


「あれ?」


凛花はアカネハナのベットを見て、違和感に気付いた。

アイナメのカーテンは見えにくいほど薄いのに、アカネハナのものはとても濃いのだ。


「これ、人によって違う?・・・」

「同じだよ?」


凛花が自分のベットのカーテンに触れながらつぶやいた。

すると、アイナメはこのカーテンの使い方を教えた。


「ここに、明るさを調整する魔法陣があるから」


アイナメはベットの上で立ち上がり、カーテンの頂点に触れた。

するとそこに、うっすらと魔法陣が浮かび上がった。


「ここに流す魔力を調節して明るさを変えるの」


そういうと同時に、アイナメのカーテンは徐々に明るくなり、徐々に暗くなる。まるでホテルの電気のように。

ちなみに明るくなるといってもカーテンが光るわけではなく、カーテンが薄くなり、外の光が多く透けて通るという意味だ。


「へー!すごい!」


同じように、凛花もカーテンに魔力を注いでみた。

するとカーテンは濃くなった。

ここでの生活で、魔力、体力の扱いは一般人並みになっていた。


「おお、あれ?」


カーテンが濃くなったことに喜び、魔法陣から手を離したが、するとすぐに濃さが戻ってしまった。

もう一度やってみても結果は同じだった。


「なにしてるの?」


凛花が困っていることを察して、アイナメが凛花のカーテンの中に入ってきた。


「ああ違うよ。魔力を注ぐんじゃなくて、魔力を流す量を調節する魔法陣を展開するの」

「え?」


凛花が何をしているのか分かったアイナメは、凛花の勘違いを正そうと、アドバイスをする。


「ほら、魔法陣はいくつかの要素に分割できるってやったじゃない?その中の強弱の部分の魔法陣を書き換えるのよ」

「え、えっと」


ナイル先生の授業を凛花は思い出す。あの先生は基本的に実技と講義を交互に繰り返すため、生徒によって、評価がかなり違う。学んだことをすぐ実践できるので、ありがたいという人もいれば、理解しきれていないのにやれと言われても困るという人もいる。しかしその中でも共通している評価が一つあり、それは厳しいということだった。

ちなみに凛花はどちらでもある。理解しきれてはいないが、実践の中で友達に教えてもらいながら覚えるといった具合だ。


「こ、こんな、感じ?」


凛花ができたのは滑らかに変化するのではなく、五段階くらいで明るさが変化するものだった。

凛花にとって、魔法陣の書き換えは一部でも難しく、なぜあんなに滑らかに帰らるのか不思議だった。


「慣れよ。自転車みたいなもの」


アイナメからの答えはこれだった。


ベットの上に立ってみるとわかったが、この部屋はかなり広い。全校生徒が入れるのではないだろうか。そしてその2/3~3/4くらいのベットがすでに埋っている。

そしてそのカーテンのほとんどが暗い。


「みんな寝てるの?」


そのことに気付いた凛花は、小声でアイナメに尋ねた。


「今、朝の三時半だからね」


それを聞いた凛花は、「え!?」と声に出るのをぎりぎりでこらえ、ベットに座りなおす。


「そんなに寝てたんだ」

「そして中途半端な時間に起きた」


アイナメがチャチャをいれる。

中途半端。確かに起きるには早く、眠りなおすのには悩む時間。

凛花は少し悩み、寝る選択をした。さっきまでのアイナメとの会話で、目はさえている。

しかし、やることがない。ここにあるのはベットだけ。特に娯楽となるものは見当たらなかった。

アイナメと話しているのよいいかなと凛花は考えたが、さすがにずっとは話せない。

凛花は頭を枕に預け、掛布団を自分の体に覆いかぶせた。

それと同時に、アイナメはベットから立ち上がった。


「どこ行くの?」

「ちょっとお手洗いに」


お手洗い、それを聞いて、凛花は自分がちょっとがけ尿意をもよおしていると気づいた。

別に十分我慢できるが、トイレの場所を知っておく必要はある。凛花は連れションすることにした。


「私も行こうかな。どこ?」

「こっちよ」


自動ドアを抜けると、だだっ広い空間があった。地下の高速道路、凛花はそんな印象を抱いた。


「広いねー!」

「なんか、防空壕としても使われるらしいよ」


広さに少し興奮して話す凛花に、アイナメは冷静に返す。


「防空壕?戦争、があったの?」

「なんでそうなるのよ。別に自身とか、津波とか噴火とか、自然災害だって起きるでしょう」

「そうだけど、、、そういうの、よく起きるの?」

「まさか。地理的に用心しておいて損はないってだけ」

「そっか」


凛花はほっとしてアイナメの後を追った。


「廊下を挟んで向こう側に、食堂とか、娯楽施設があるの」


そう言って凛花は向こうの壁を指さした。よく見ればところどこと扉がある。


「でこっちには寝室、治療室、お手洗いがあるの」


今度は自分たちが出てきた方の壁を指さした。


「そっか。じゃあ昼間暇なときとか夜眠れないときは向こうに行けばいいの?」

「別にさっきの部屋でも夜十一時までは外の様子見れるから、そっちにいる人もいる。昼ごはんも、今日はお弁当持ってきたし」


それを聞いて、凛花は重要なことを思い出す。


「そうだ!私のお弁当、というか荷物は?」

「ムジカ先生、あの髪の毛がすごい先生に言えば渡してくれるよ。あの人が預かってるから」


そう言いながら、アイナメはスタスタと凛花の前を歩いている。

それを聞いて凛花はほっとした。教室に置きっぱなしだったら、目も当てられないことになっていただろう。

しばらく歩いていると、見慣れたマークが見えてきた。


(異世界でも、同じなんだ)


一番手前の個室は使われてしまっているので、その隣の二つにそれぞれ入る。

夜のトイレというと何となく怖いイメージが凛花にはあったが、ここのトイレはとてもきれいで近代的だったため、そこまで怯えることはなかった。


用を済ませ、二人は元来た道を戻る。


「・・・こんなに、薄暗かったっけ?」


廊下を歩いている途中、凛花はふと違和感を口に出した。


「・・・いや、もっと、明るかったと思うけど、」


同様の違和感をアイナメも抱いていた。

無意識のうちに、二人の体は近づいていき、簡単に手が触れるくらいの距離に縮まる。

それから少し歩いていると、遠くの方から音が聞こえてきた。


キャハハ・・・キャハハ・・・

アハハ・・・アハハ・・・


ひどく陽気で、楽しげな”声”だった。

その声は、ゆっくりではあるが、だんだんと大きくなってくる。

そして、声がはっきり聞こえてくるころ、二人は確かに聞いた。


なにして遊ぶ?

十字架ごっこ!!


「?」「え?」


凛花は周りの暗さとは対照的な明るい声という不気味さと、言葉の意味不明さにただ困惑し、怯えるだけだったが、アイナメは『十字架ごっこ』という言葉に聞き覚えがあるため、つい声を出してしまった。


「十字架ごっこ、って、何?」


凛花はおそるおそるアイナメに聞いた。


「一対多数でやる子供の遊び。一人が掛け声をしている間にほかの人が掛け声をしている子に触るって遊び。掛け声をしている子はその間は目を開けちゃいけない。ほかの子は動いているところを掛け声の子に見られちゃいけない」

「だるまさんがころんだってこと?」


凛花がそうつぶやくと同時に、また声が聞こえてきた。


かんおけ♪はりつけ♪さいしょに逝くのはだ~れだ?


その声は二人の真後ろから聞こえてきた。

二人は合図もなしに同時に振り返った。


そこにあったのは三メートルはゆうに超える子供を模した血まみれの人形だった。

魔力を流す=コンセントを刺す。魔法陣を書き換える=家電の設定

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