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史上最強の4匹  作者: カイワレ大根
26/52

26話 最強。ただし、同年代の中で

魔法というと、多くの創作物では「イメージによって威力や性能が変化する技」であることが多い。しかし、しかしこの世界での魔法というのは、「空間中に存在する魔素に特定の刺激、または衝撃を与えることによって何らかしらの作用をもたらすもの」という、物理学に片足を突っ込んだものである。そしてこれは、魂力、体力についても同じである。

特定の刺激というのは、詠唱、魔法陣、掌印、固有回路などのことである。

この世界では、多くの国がこのことを理解しており、それゆえ魔法と物理が融合したような学問、研究が盛んにおこなわれてきた。そのため固有回路を疑似的に作り出すことができる。それは海の国でも例外ではない。

実は術を使うのに必要な刺激の中に、「イメージによる脳などの電気信号」があるのだが、刺激を与えることのできる絶対量が少ないため、あまり実用的ではない。そんなことをするよりも、多少のリスクを取って、手術で体内に疑似回路を埋め込むほうが効率はいい。

しかしこの疑似回路、というか、魔力、体力、魂力は、法則は分かっているが、原理が全く分かっていない。ある刺激、ある回路を用いれば火を出せることは分かっているが、なぜ火が出るかは皆目見当がついていない。たとえるなら、スマホの使い方は分かるが、作り方は分からない、といった具合だ。これを解明できたものにはかなりの賞金が出るくらい、難解で有用な問題だ。

そのため、疑似回路は固有回路の劣化版になることが多い。というか固有回路と全く同じ術が出せるのは、同じ固有回路を除いて他にない。しかも疑似回路はさっきも言った通り手術というリスクがある。よほどの酔狂でない限り、疑似回路は使わず、魔法陣、詠唱などの通常の回路を使用して術を行使する。

ここで一つ問題がある。それは術を使用するまでにかなりの隙ができることだ。

この問題を解決するにはいくつか方法がある。

一つ目は道具を使うこと。ここでいう道具とは疑似回路が埋め込まれた道具のことだ。これを使えば、ノーモーション、低リスクで魔法が使える。

二つ目は、通常回路のスピードを上げること。これも順当な方法だ。ほとんどの人間が、これを採用している。目にもとまらぬ速さで印を結んだり、詠唱を分担したりする。海の国の住人がおこなっている、魔法陣の記述省略もこれに当たる。

三つ目の方法はかなりイレギュラーだ。その方法は、回路の省略。さっきも言った通り、理論上、不可能ではない。しかしそれには、膨大なエネルギーか、すさまじい集中力が必要だ。どちらも厳しい訓練に与てえられるとはいえ、そんなことをするくらいなら新たな回路を覚えたり、道具を入手する人がほとんどだ。

四つ目はさらにイレギュラーだ。それは、己の肉体を鍛えるというものだ。つまり術に頼らない。しかしこれは、生身の肉体を鍛えて、素手で拳銃に対抗しようとするという荒業であり、常人なら発想すら至らない。常人なら。

どうやら、宗司、正也の前で戦っている二人は、常人ではなかったらしい。


「嘘だろ」


正也は、目の前で起きたことが信じられず、抱いた感想がつい言葉に出ていた。

宗司にいたっても、無言ではいたが、目を見開き、信じられないようなものを見たような顔つきになっている。

校内のほとんどの生徒が見守る中、校庭の中央にいた二人は動いた。そしてとの直後、すさまじい爆音が学校中に響き渡った。

初め宗司と正也は、それが魔法のぶつかり合いだと思っていた。

しかし、二人はすぐにそれが間違いだったと気づいた。

二人が爆音の衝撃と風圧に耐え、ゆっくりと目を開いたとき、真っ先に目に入ってきた光景は、一人が棒切れを振り下ろし、もう一人がその腕をつかんでいなした、という構図、そして、きれいに真っ二つに割れた校庭。その裂け目の始まりは、振り下ろした棒きれの真下だった。


「風圧だけで校庭を割るとか、相変わらずかけ分かんねえな」

「恒例行事だ。いまさら驚くこともない」


コバンとマツサカが話した内容、これがいつものことというのも驚きだが、さらに聞き捨てならないことがあったことを、宗司は逃さない。


「風圧だけ?魔法を使わず!?」

「さすがにそろそろある程度の感知はできるでしょ?魔力はおろか、体力、魂力も使ってないよ。噂には聞いていたけど、聞くと見るとは大違いだ」


異世界に来て数ヶ月経ち、授業と独学である程度の回路を使えるようになってきた。そしてその過程で、エネルギーを感知することができるようになっていった。とはいっても、みんながやるように、人の感情を読んだり、肉体の状態を察したりするほどの精度ではなく、エネルギーを使った後、そのエネルギーの種類を判別できる程度だ。物理現象の「火」と、魔法で作った「火」、体力で作った「火」はどれも熱いことは変わらないが、独特のにおいや、肌などのピリツキなどがある。

校庭を割るほどのエネルギーの放出があれば、宗司たち4人でも、さすがに感知できる。


「よく見とけよ。もしウツボ、あー、女のほうが勝ったら、ここにいる全員で、一斉に戦うんだから」

「「??!」」


茫然とする宗司と正也にコバンは笑いながら忠告した。

二人は驚き、コバンのほうを見た。そしてすぐに、正也はマツサカ、宗司はアミキリを見る。

あんなのと戦えば下手をすれば死ぬ可能性もある。そのことを一切教えてくれなかったことに、恨みと驚きの感情が二人の仲にある。


「だからこの前言っただろう。危険を感じたらハチマキを取れって」


マツサカは校庭の中心にいる二人を見ながら正也と宗司に話す。


「このハチマキには感知の術がかかっている。もともとだれが持っていて、誰が持っていないを先生たちは把握している。それ以外の方法でも感知しているだろうけど。そんでハチマキを一枚も持っていないとすぐに脱落部屋に送られる。だから体育祭の最初、4、5年が圧を飛ばして、実力不足の奴を気絶させてハチマキを回収して脱落部屋へ『避難』させる。善意でね」


(アミキリがコバンを「優しい」って言っていたのはそういう・・・)


宗司の中で合点がいき、コバンに目線をやる。コバンは相変わらず、ほかの人と同様校庭のほうを注意深く見ている。

宗司も倣って、校庭のほうを見ると、すさまじい攻防が起こっていた。


「ハンドウの戦いは音が無くて芸術性が高いね」


コバンが男のほうをそう評した。

ハンドウというその男は宗司が、日本刀として知る刀を持ち戦っている。対するウツボは、注意深く観察すれば、その手に持っているのは一対の木の棒、箸だった。

もはや創作の世界だ。

ハンドウは声や足音はおろか、刀を振る音すら聞こえてこない。正確無比な刀使いで、ウツボの急所をねらう。その速さも異次元で、宗司が『刀を一振りした』と認識したころには十の刀傷が校庭に描かれている。それがハンドウのものと区別できたのは、その刀傷の周りに、ヒビがなかったからだ。もし自分があそこにいれば、5、数える間にチリになるだろう。

ウツボはハンドウの静かさとは反対に、すさまじい音を轟かせている。踏み込みで校庭が割れる音、呼吸音、音速を超えたことを証明する不快な高音が鳴り響いている。あれでなぜ箸が折れないのか謎だ。ウツボの箸捌きもハンドウに劣らず正確無比だ。襲い掛かる何千もの太刀筋を、片方の箸でそらす。反らしきれなければ体を回転させて躱し、もの片方の箸でハンドウの脳天めがけて振り下ろす。その箸をハンドウは刀で防ぐ。宗司はありえないことの連続で、食い入るように戦いを見ていた。

宗司は武道をかじったことがあるのだが、攻撃をそらされたのに、すぐに防御に回れるというのはありえないことだった。少なくとも宗司の中では。攻撃をそらされ、力の向きをゆがめられ、体勢を崩されれば、どうしたって心と体に隙が生じる。なんとか防御しても、大ダメージは不可避だろう。だというのに、ハンドウは特に傷や痣ができたり、我慢で顔をゆがませたりしていない。それどころか、ハンドウは穏やかな、微笑みを浮かべていた。ウツボのほうも、口角が限界まで上がり、真っ白な八重歯がはっきりと確認できる。


「毎年思うけど、やっぱ異次元だね~」


目の前の戦いを呆然と見ていた宗司と正也はコバンの言葉で我を取り戻した。


「先輩から見ても、すごいんですか?あの二人」


アミキリがコバンに尋ねる。

コバンは「ん~」とうなり、少し考える間をおいて話しだした。


「今この戦いについていくくらいだったら、私でもできるよ。でも今あの二人、準備運動中なんだよね。こっからどんどん激しくなるよ。そうしたらもう誰も手が付けられないよね」


コバンはアミキリのほうを振り返らずに答えたためアミキリたちは気づかなかったが、その話し方とは裏腹に、コバンの目は真剣に、二人の戦いを見据えていた。彼ら、彼女らの一挙手一投足を見逃すまいと意気込んでいるような目をしていた。


「そうですか。噂には聞いてましたけど、やっぱり、百聞は一見に如かずですね」


「一年生」


感慨にふけっているアミキリに、今度はマツサカが声をかける。


「アミキリです。こっちの、戦いに圧倒されているのは一条宗司です」


ずいぶんな紹介をされているにもかかわらず、宗司は特に反応を示さない。

そもそも、他人に興味がない、人間関係をめんどくさく思っていることが知られた今、反応を示さないことは宗司にとって普通だったが、今は別の理由で反応を返せなかった。


「アミキリくん」


アミキリの自己紹介を受けて、マツサカは一年生から、アミキリと、呼び方を変更し、忠告した。


「戦いから目を離さないほうがいい。いつ斬撃や刺突が飛んでくるか分からないぞ」


アミキリは「そうですね」といって視線を校庭に戻した。しかしそこには二人の姿はなかった。

ウツボのやけにうるさい破壊の音は聞こえるが、その姿はどこにも見当たらない。

二人の姿をきょろきょろと探すうちに、宗司の姿が視界の端に入り込んだ。ふと、宗司を見ると、宗司は相変わず、茫然と、空を見上げていた。


「上?」


周りに聞こえるか分からないくらいの小声でつぶやき、宗司の視線の先を追うと、二人はいつの間にか、空中で戦っていた。

相変わらず、ウツボもハンドウも感知がしづらい。ウツボは常人では考えられないほどの魔力、体力、魂力があるが、それをすべて体内に無理やりとどめている。一方のハンドウは、すべての力がとても滑らかで静かだ。滑らかすぎて、空間との見分けがついにくい。

ウツボもハンドウも相手に自分の動きを悟らせないようにしているために行っていることだ。

コバンが言っていた通り、二人の戦いは、さらに異次元なものへとなっていく。

まず空中に浮かんでいこと自体すごいことだが、これでは終わらない。

ウツボは空を蹴り、ハンドウの真後ろに移動し、脊髄めがけて刺突を繰り出す。

ウツボの刺突はハンドウの脊髄を貫き、勢いそのままに心臓を打ち抜き、胸骨を砕き、ハンドウの胴体を貫通した、ように見えたかと思ったら、ハンドウの姿が消えた。比喩でも何でもなく、その場からパッと。

ハンドウを貫き損ねた箸の延長線上にある木の幹に大穴が開き、地面にはクレーターができる。そのときの爆音につられ、一瞬クレータのほうを見てしまった宗司と正也。空気砲の射線上にいた上級生ですら二人から目を離さず避けたのに。

二人を見続ける上級生を見て、マツサカの忠告を思い出し、宗司と正也ははウツボに視線を戻しつつ、ハンドウを必死で探そうとした。

かと思えば、いつの間にかウツボの後ろに回っていた。

ハンドウは、上下さかさまだった。手に持った刀はいつの間にか逆手に持っており、ハンドウは目にもとまらぬ速さで刀を振り上げる。この瞬間、初めてハンドウの顔から微笑みが消えた。しかし、ウツボはまたしてもぎりぎりで躱した。

そして、振り上げ切った刀を箸でがっちりとつかむ。本来片手で持つはずの箸を、両手に一本ずつ持ち、刀の側面を、箸の先端で挟んでいる。


「折るか?!」


校庭のどこかからそんな声が聞こえた。

二人の戦い、特に、ウツボから発せられる音が大きく、また、宗司と正也は食い入るように見ていたため気づかなかったが、周りで見ている上級生たちは、二人の試合を見ながら話し合い、もしくはぶつぶつとつぶやいていた。もちろん、二人からは片時も目を離さずに。そして話している内容は、皆一様に二人の分析だった。

このまま刀を折られれば、一気にウツボが優勢になる。しかしそうは問屋が卸さない。

ウツボは精密な箸捌きと常人離れした腕力、指力によってがっちりとハンドウの刀を固定している。その力はまさに万力に等しい。

しかしハンドウはそれを逆手に取り、刀を持っている手を支点にして体を回転させ、ウツボの側頭部めがけて鋭い回し蹴りを放った。

ウツボはぎりぎりでそれを躱す。その表情は珍しく、焦ったような、驚いたような表情をしていたが、それを見ることができたのはハンドウだけだった。

ウツボはすぐに、自分の白く鋭い歯を見せつけるかのように大きく口を開き笑った。

そしてハンドウを刀ごと前方へ抛った。

二人の距離は徐々に開き、双方、傍観者の上に下りそうになったが、当然、傍観者たちは二人から数メートルの距離を取る。


「終わったな」

「え?」


マツサカの突然の言葉に、正也は思わず彼のほうを向いた。ついさっき、二人の戦いから目を離すなと言われていたのに。しかし、今度はマツサカからの注意はなかった。気すけば、辺りもしんと静まり返っている。

ウツボとハンドウが着地をしたのは同時だった。学校の校舎の二回くらいの高さから降り立ったというのに、ほとんど音がしなかった。二人は膝を曲げ、腰を折り、地面を向いて、しゃがんだ姿勢になっている。そして同時に顔を上げる。互いが互いの眼を見るのも、これまた同時だった。

二人の視線が交わったとき、ウツボの額のハチマキが切れて、はらりと地面に落ちた。

そのとき、ウツボの表情はこれまでの今日戦士のような屈強な笑顔から、まるで恋人と過ごした後の少女、青年のような笑顔に変わった。


「ああ、楽しかった」


ウツボの声は、予想に反して可憐な声をしていた。

この笑顔とこの声をはじめに知ったら、多くの人が一目惚れしてしまいそうな、そんな佇まいでウツボはそこにいた。


「俺もだよ」


ハンドウのその返答と同時に、ウツボは影の中へするりと落ちた。

ハンドウは変わらず、穏やかな笑顔を浮かべて落ちるウツボを見ていた。

彼の声は、こちらも予想と少し違い、大学生ほどの年齢のものとは思えない大人びた声をしていた。

ハンドウはスタスタと、一本道でも歩いているかのようにまっすぐにウツボのハチマキまで歩き、そっと、それを拾った。

これにて、ウツボとハンドウの戦いの幕は下りた。


二人の戦いが終わって、宗司と正也はただただ茫然としていた。二人の異次元の戦いに圧倒され、ハチマキが落ちた後のえもいわれぬ雰囲気にのまれ、とどめにあの謎の影。影に落ちたウツボを見ても、ハンドウは何の反応も示さない。

様々な感情、圧巻、疑問。宗司と正也が茫然とするのは、仕方がないといえば仕方がないが、忘れてはいけないのは、今は体育祭の真っ最中であることだ。

事実、二人が茫然と立っていられた時間は、反動がハチマキを拾ってから、ほんの数秒もしない間だけだった。

すぐに二人は、意識の外から来た力によって引っ張られ、「うおっ」っという間抜けな声を出してしまった。幸いにも、二人がさっきまでいたところから発せられた爆発音によって、その間抜けな声は、二人を引っ張ったもの以外には聞かれずに済んだ。


「あ?」

「な、何が?!」


何が起きたか分からない宗司と正也は、自分たちを救った人物、アミキリとマツサカから叱責を受ける。


「ぼやぼやすんなよ、本番はこっからなんだから」

「体育祭は、まだ始まったばかりだぞ」


小脇に抱えられた宗司と、襟を持たれ、猫のように運ばれる正也は、爆炎が張れるにつれて徐々にあらわになる校庭の様子を目にする。

校庭は、先ほどとは打って変わって、武術、武器、魔術、体術、魂術が数多く飛び交い、群雄割拠のありさまだった。


「ハチマキを取ればいいんだよな!?」

「これくらいしないと、取らせてもらえないってことだよ」


奥に見える様々な戦いを見て、宗司はアミキリにぶつけるように質問に、アミキリは冷静にそれに答える。手前に佇む、上級生たちを見据えて。


「下級生からカツアゲなんて、恥ずかしくないんですか?先輩方」

「ここにいる時点でお前らは下級生じゃねえ。一選手だ。礼儀を払うのは当然だろ」


皮肉の罵倒に真面目に返され、アミキリは自分が少し恥ずかしくなった。

アミキリは息をフーッと吐き、


「わかりました」


と覚悟を決めた。が、


「いや、俺はもういい」


宗司はそうではなかったようだ。


「今の俺じゃ勝てないことは分かっている。ハチマキはやるから、俺はここで降りる」


そうして、下ろすようアミキリに伝えたが、アミキリは宗司を下ろさず、「ハッ」と煽るように笑った。


「なんだよ宗司、あれだけ心の中で俺たちを見下してたのに、お前はもう降参するのか?俺はやるよ」


しかしそんな煽りにも、宗司は冷静に返す。


「勝てない試合に挑むほうがバカだろ。死に急ぐなら一人でやれ」


今度はアミキリは、「ハーっ」と息を吐いて、


「わかったよ」


そう言って、宗司を地面に立たせた。


「体育祭を下りる方法はハチマキを取ること。そうすればオグマ先生の固有回路で脱落者は回収される。ウツボ、さっきのチョー強い女の先輩が影に落ちたのがそれ。それと、自主的に降りるときはハチマキは高く投げ捨てろ。それを俺たちが取り合うから」


それまで黙って二人の会話を聞いていた上級生たちは、アミキリの言葉が正しいというように「ウンウン」と頷いた。

宗司は、はいはい、と言ってハチマキを外し、その場で高く投げ上げた。

そして、宗司は影の中へと消えていった。


「それにしても『固有回路』なんて、真新しい言葉使うね」


宗司が消えた後、上級生が雑談を始めた。ハチマキはまだ空高くにある。


「時代は常に進歩するんですよ。いろんな研究があるのにいつまでも『生得術式』や『加護』じゃダメでしょう」


ハチマキは放物線の頂点を過ぎ、ゆっくりと落ちてくる。その速度は徐々に加速される。


「確かに」


上級生の一人は吹き出し、そう答えた。

アミキリと上級生たちは互いに目を合わせている。その視界の縁に、あのハチマキがおりてきた瞬間、みんなは一斉に動き出した。

アミキリVS上級生VS上級生VS上級生VS上級生の戦いが火蓋を切った瞬間だ。


体育祭開始から30分。この時点で、参加している二年生以下は、アミキリと正也のみになっていた。

これを書いて初めて、「青年」が男性のみを指すものではないと知りました。

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