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史上最強の4匹  作者: カイワレ大根
13/52

13話 知識欲がある宗司 遊びたい正也

4人は昨日と同じようにけたたましい音楽に起こされた。

4人は眠い目をこすりながら朝食を済ませた。

そして4人は自分のロッカーから、昨日までに注文しておいた衣類と日用品を回収し、各自の部屋に戻った。

このロッカーは寮の十人一人一人に与えられ、本人でないと開けられないものとなっている。管理室の横にある扉の中にあり、かなり広いスペースにロッカーと管理室に入るための扉のみがある。

宗司が身支度を済ませ、学校に行こうとすると、寮の出口に真司が立っていた。


「何してんの?」

「ほかの3人を待ってる。あ、来た」


宗司が振り返ると凛花と正也がそこにいた。

ただ、正也の歩き方がどこがぎこちなかった。


「どうした?」

「筋肉痛」


真司が心配そうに正也にたずねると、正也はしゃべるのもつらいらしく、簡潔に答えた。

駅までは4人は歩調を合わせていたが、学校の駅で降り、駅から学校までの道のりを歩いていたとき、宗司は正也に合わせて歩くのに疲れたらしく、ため息一つついて先に行ってしまった。

真司と凛花が呼び止めようとしたが、正也がそれを止めた。


「このままいけば始業時間ギリギリだし、二人も、無理に俺に合わせる必要ないよ。俺も一人のほうが気楽だし」


そう言って正也はぎこちない足取りで歩き続けた。

真司と凛花は正也の言葉を聞き、正也と同じ速度で歩き続けた。


「・・・あの、マジで遅れるかもよ」

「赤信号 みんなで渡れば 怖くない ってようく言うだろ」

「ここでおいていったら、人としてどうかと思う」


凛花と真司はそう言って歩き続けた。

しばらく歩いていると、学校のほうから、誰かが手を振って走ってきていることに気が付いた。


「おっす、ここにいたか」

「マブナ、なんで学校のほうから?」

「ソウジがお前らが筋肉痛で遅れるかもしれないから助けてくれって」

「一条が?」

「まああいつ、ツンデレだから、もうちょっと厳しい言い方だったけど、俺ほら、あいつのダチだから、すーぐ分かっちゃったっと、そんなこと言ってる場合じゃねーな」


そういうとマブナの足元を中心に4人が入るくらいの魔法陣が展開された。

その魔法陣が一瞬光ったかと思うと、目の前には白波専門学校が現れた。


「え」

「すご」

「まじか」


3人が一連の現象に驚いていると、マブナが3人を呼んだ。


「何やってんの、早く入ろうぜ」

「あ、ああ」


真司が教室に入ると、宗司は何食わぬ顔で着席していた。


「今朝はありがとう」


真司がさっきのことの感謝を伝えると、宗司は何のことかわからないといって表情を浮かべた。


「何が?」

「マブナ呼んでくれたでしょ」

「あ?ああ、うん」


宗司は歯切れの悪い返事をすると、そのまま前に向き直った。

その直後、教室のドアがガラガラと開き、一人の男性が入ってきた。

肌が黒く、整った顔立ちの細マッチョで、どこか、普通の人間ではない雰囲気のある人だった。


「おはようございます。1限目の歴史を担当するアークです。よろしくお願いします」


そして学校生活2日目から、本格的な授業がスタートした。


真司と宗司は目を輝かせながらノートにメモを取っていた。

宗司はもともと歴史が好きだったが、真司はそうではなかった。

高校卒業後すぐ働きに出る決断をしたのだって、家が貧しいのが大きいが、真司自身が勉強が苦手だったことも後押ししている。

しかし、この授業は歴史を勉強してるというより、小説の解説を聞いているようだった。

この世界が元の世界とは違う、異世界ということもあるだろうが、何より先生の話し方がうまかった。


「今日はここまでとします。ありがとうございました」


そういうと先生は教室を後にした。

時計を見ると90分たっていた。

この学校の時間割は1限が90分の3限構成となっており、これを知った時の4人は授業についていけるか不安だった。

しかし、歴史の授業では時間を忘れて没頭していた。まるでドラマかアニメを見ていたようだった。


(この調子なら、学校生活は余裕(大丈夫)だな)


そう考えていた宗司と真司は、2時間目からの科目で地獄を見ることになった。


     ―――――――――――――――――――――――――


全ての授業を終え、4人は帰路についていた。

その表情は憔悴し、足取りは重たかった。皆、同じ歩幅で歩いている。


「ど、どうだった、授業」


真司がほかの3人を心配し、声をかけたが、皆疲れているのは明白だった。


「む、難しい」

「何を言っているか分からなかった」

「不登校になるかも」


返ってくるのはそんな感想ばかりだった。


「『翻訳』で言葉は聞き取れるけどこの世界の固有名詞とか常識とか説明なしで授業が進むから理解ができない」


そう言っているのは4人の中で最も頭の良い宗司だった。


「自主学習しないと。特に子供向けの絵本とか読んで常識を身につけないと」

「そうなんだ。私は『意思疎通』のおかげでその辺は大丈夫なんだけど、数学が難しくて」

「数学があったんだ。どんなことやったの?」

「いや、数学っていう教科じゃなかったんだけど物理や魔法基礎に出てくる数式が解けなかった」

「そうなんだ、はあ、今から怖くなるよ。正也は?」

「そもそも勉強が苦手です」

「そ、そう」


正也のはっきりとした返事に何と言っていいか分からず、真司は言葉に詰まってしまった。

そのとき、4人に将軍からのメッセージが届いた。


《昨夜は寮まで送らずに済まなかった。帰りは問題はなかっただろうか、もし何かあれば次から送迎をする。また、訓練は1日おきに行うので今日はしっかり体を休めるように。》


このメッセージを見た正也は小さくガッツポーズをし、宗司は少し残念そうだった。


「今日これから用事ある?」


現在の時刻は午後2時半を過ぎたところ。昼は学校から給食が出たため真司は今日の予定はない。

そしてそれは凛花と正也も同じだった。


「ないよ」

「ない」


しかし宗司はそうではない。


「僕はさっきも言った通り自主学習」

「うん、だからさ、4人で一緒にやらない?そのほうが理解も早いと思うし」


それを聞いた凛花は賛成し、正也も渋々ながら賛成した。


「一条はどう?」

「ああ、まあ、いいけど」


4人は寮に帰る前に近くの本屋や図書館に寄り道し、そこで様々な本を手に取った。

4人が選んだ本はそれぞれジャンルが異なり、宗司は図鑑、真司は小説、凛花は参考書、正也は漫画だった。

しかし、いきなり多くの文字を読むのはハードルが高いため、最終的に正也が勧めてくれた漫画や、宗司が呼んでいた図鑑などを読むようになった。


次の日

まだ体が痛む正也を考慮し、4人はいつもより30分ほど早く寮を出た。

しかし、さすがに30分は早すぎたらしく、教室にはほとんど人がいなかった。

眠い目をこすりながら登校していた凛花と正也は机に突っ伏して仮眠を取り、真司と宗司はそれぞれ教科書を取り出して暇をつぶしていた。

宗司が一人で黙々と読書をしているのに対し、真司はほかの人に積極的に話しかけていた。


「ねえ、昨日の授業のことなんだけどさ、、、」

「ここがわからなくて、、、」

「ここはこういう意味で、、、」

「つまりこういうこと?」

「そうそう」

「ここはどういう、、、」

「そこはそういうもんって覚えたほうが、、、」


などという話声が静かな教室の中、いやでも耳に入ってくる。

9時になり授業が始まった。

担当する先生はオルカ先生で、教科は「学級活動」だ。


「今日お前らには委員会を決めてもらう」


オルカ先生監督の下、生徒が主体となって各委員会、学級委員、体育委員、風紀委員、選挙管理委員、学園祭実行委員、の委員長と副委員長、一般委員を決めた。

決め方は生徒がまず立候補し、立候補が定員多いときは投票をする、立候補が出なかった場合は後回し、もしくは推薦をするというやり方だった。この決め方も生徒が決めた。

全員何かしらの委員会にある必要があり、90分の2/3以上を委員会決めにつかってしまった。

その結果

学級委員長 アシロ

副学級委員長 アミキリ

体育委員長 マブナ

副体育委員長 イサザ

体育委員 スズキ カジキ カジカ ツチフキ シロワニ ヤマメ ユウゼン ヒラマサ マダイ チヌ

風紀委員長 カイワリ

副風紀委員長 シイラ

風紀委員 エンゼル テトラ コトヒキ チカ ネオン ハッカク シラウオ オイカワ

選挙管理委員長 カワヒラ

副選挙管理委員長 タカベ

選挙管理委員 宗司 カラス ハクレン

学園祭実行長 マーリン

副学園祭実行委員長 ルリハタ 

学園祭実行委員 ソウハチ 真司 サヨリ タカサゴ チョウハン トウジン プリステラ ヒイラギ カイチ

となった。

残りの時間は各委員会の人とのあいさつと、いまさらながらのクラス全員の自己紹介に使われた。

2時間目は今宗司と真司の中で最も重要な科目「体力基礎」の授業だった。

この授業以降、少しだけ体力修行の効率が改善した。


「体力とは食事や呼吸などによって外部から得た物質、エネルギーを体内にて人体に有効なものに変換したエネルギーのこと」

「体力は運動や防御、食事でも消費されるが、そのおおよそが無駄に消費されている」

「体力は本来、筋肉のように自分の意志で操ることができるが、長い間それを怠るとほとんど操れなくなる」


真司と宗司は自分に言い聞かせるように凛花と正也に教えていた。

現在4人は学校を終え、体力トレーニングのためにあのジムへと向かっている最中だった。


「へ~そうなんだ」

「何か、トレーニングをする上でのコツとかは?」

「その辺は分からなかった。でも、なんとなくでやるより体力を操ろうって意識が大事かもしれない」

「なるほど。それで、そっちは今日は学級活動と体力基礎、それと国語があったんだ」

「そうそう。国語はなんか内容は難しかったけどやることは元の世界と変わらなかったな。感想と筆者の言いたいことを書く。そっちは?」

「こっちは『精神力基礎』『歴史』『物理』をやったよ」

「『精神力基礎』?それは何をやるの?」

「うーん、これはたぶん体力をものにしてから習ったほうがいいね。内容的には、漫画とかでよく見るオーラとか『みんなの声援が力に』とかそういう内容」

「なんで体力をものにしてから?」

「同時並行での修業は大変そうだから」

「そうなんだ」


4人は今日あった授業や出来事を話しながらジムに向かっていた。といっても、話しているのはもっぱら真司と正也だった。宗司は自分にくる質問以外あまり対話しようとはせず、凛花は二人の話を聞いているだけで楽しそうだった。

そうして話しているうちに4人はおとといと同じジムにたどり着いた。

中では将軍が暇つぶしにトレーニングをしていたが、4人に気付くとそれをやめ、4人の指導を始めた。


「将軍、今それ分身ですよね?」

「ああ、そうだが?」

「トレーニングって意味あるんですか?」

「あまりないが、目的は暇つぶしだからな」


トレーニングをしていた将軍に疑問を抱いた宗司が訓練中に質問した。


「それより集中しろ」

「いや、分身が使えたら訓練効率が良くなるかなと思いまして」

「分身による体力の訓練の効率改善はできるが、それには分身を体力で作る必要があるぞ」

「そうですか」


宗司は残念そうに返事をし、再びトレーニングに集中した。

真司のトレーニングは一昨日とは異なるものだった。


「このように攻丸を作り出し、維持させる。それが今日から行う修行だ」


将軍の手の上にはバスケットボール大の光球が浮いていた。

真司はなんとか手のひらに光球、「攻丸」を作り出すことはできるが、蠅ほどの大きさで、持続時間も数秒と短い。


「まずは攻丸をこの大きさにするところからだ」


将軍の監督の下、真司はトレーニングに励んだが、10分ほどでばててしまった。


「少し休憩する。攻丸を作り出すときのことを頭の中で反芻しておけ」


そういうと将軍は攻丸を的に向かって放ち、近くの椅子に腰を下ろした。的は粉々に砕かれ、新しい的とすぐに自動的に交換された。

真司はそれを見て、一昨日と同じようにあおむけで倒れこんだ。

3分ほどたって呼吸が整った後、真司は将軍に話しかけた。


「そういえば、一昨日聞き忘れたんですけど」

「どうした?」


体を動かしたわけでもないのに体に思うように力が入らない。はっきり言って暇だ。暇つぶしのために、真司は話し続ける。


「一昨日クラスの友人と武器を見に行ったんですよ」

「それはよかったな。しかしそなたは金を持っていなかろう」

「そのときは見るだけだったんですけど、友人たちは買う気だったみたいで」

「そうか。年頃だな」

「中には銃もあったんですけど、この国は武器の所持は合法なんですか?」

「ああ、そうだ」


その答えに真司は少し驚いた。いったい何のために持ち歩いているのだろうか。


「町の人は、なんで武器を持ち歩いているんですか?」

「武器の使い道など、何かを守るためか、何かを殺すこと以外になかろう」

「こ、殺し、ですか?そんなに、治安が悪いんですか?」

「いや、この国では殺しは合法だ」


その返事に真司は思わず「えっ!」と声が出てしまった。

そんな真司を安心させるためか、将軍は説明をつづけた。


「この国では殺人は合法だ。だが国民は好き好んで殺し合いを行ったりはしない。事実、ここ10年はどの死者数は他の国とも比較しても少ないほうだ」

「武器が持てて殺人がいいのに、ですか?」

「これは推察だが、おそらく逆だ」

「逆?」

「他人に不快な思いをさせる年の危険がある、そのため他人にやさしくする。弱く愚かなままだと死の危険がある、だから強く、賢くなる。結果、心に余裕が異まれる。だから治安が良いのだはないかと思う」

「・・・なるほど、考えられているんですね」

「この法を制定したのは我ではないから、その真意は不明だがな」

「そうなんですか」

「・・・この法が発布されたのは80年も前だ」

「そんなにですか」

「さて、そろそろ休憩も終わりだ。再開するぞ」

「ちょ、ちょっと待ってください。私たち武器持ってないんですけど、殺されたりしませんか?」

「そなたらには杖を渡したであろう。まさか、持ち歩いていないのか?」

「ええ、すみません」

「あれは子供用だがれっきとした武器だ。あれで魔法の訓練をするだけでも、ある程度の賊には対応できる。また、寮の警備も上級だ。寮ほど夜、安心して寝られる場所もない」

「わかりました。それから―――」

「今はここまでだ。あとは我に質問するだけでなく暮らしていくうえで知ったほうがよい。そのほうが忘れずらい。今はとにかく、訓練に集中しろ」


それ以降、何を質問しても将軍は答えてはくれなかった。

真司は仕方なく訓練に戻り攻丸を大きくすることに集中した。

そうすると将軍はちょくちょくアドバイスをくれるようになり、真司は今日の修業が終わるころにはピンポン玉サイズのものを作り出すことができるようになった。


     ―――――――――――――――――――――――――


「ほかの地を担当していた諜報員からの通信が途絶えた。これでこの星に潜入捜査しているものはお前を含めて10人、当初の10分の1だ」

「そうですか」

「お前も気をつけろ。して、何か情報はあったか?」

「未だ確証は持てませんが、それらしきものの存在が確認されております。現在調査中のためしばしお待ちください」

「頼んだぞ。もうここしかないのだ」

「1年後までにはよいご報告ができるよう努めてまいります」


この会話は4人が将軍指導の下、体力捜査のトレーニングを行っていたころ、上空遥か1万キロメートルで行われていたものだ。

そこには真司、宗司と同じクラスのカイチの姿と、頭を抱える数人の人影が映し出されたモニターがあった。

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