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史上最強の4匹  作者: カイワレ大根
11/52

11話 体力と相場の説明

武器屋の中は思っていた以上にきれいに整えられていた。

空調が管理され、武器ごとに綺麗に整列されており、服屋か家電量販店の商品を武器に置き換えただけの店だ。

しかし、木造の壁紙や床板、茶色を基調とした照明が、小説の中の武器屋をほうふつとさせ、非日常感も味わえる空間となっていた。


「シンジ、ソウジ、こっち来てみなよ」


宗司と真司が店の内観や雰囲気を楽しんでいると、スズキが二人を呼ぶ声が聞こえてきた。

二人が声のしたほうへ行くと、そこには多種多様な銃があった。


「いきなりオーソドックスなのが来たな」


宗司は素直な感想を口にした。一口に銃といっても、種類は様々だ。拳銃にライフル、散弾銃にマシンガン、銃にそこまで詳しくない2人からしても、この品ぞろえには舌を巻くばかりだ。

しかし、スズキがいたのはそのさらに奥、見たことのない銃が並んでいる場所だった。

銃に詳しくない2人が見たことのない銃といえば、あまり驚かないかもしれないが、その銃は、おそらくどんなに詳しい人にとっても初見のものとなる。

宗司がその銃を手に取り、スズキにたずねる。


「これ、弾が入れられないけど、魔力とかこめるの?」


それは弾丸を入れる機構がなかった。

その銃を見て、宗司が真っ先に思い出したのは将軍から渡された杖のことだった。


「う~んと、この銃は違うね。これは体力を弾の代わりにするやつだね」

「体力を?」

「そう、体力を多く込めると威力は上がるけど、その分疲れる」

「これ、試せる場所ある?」

「ちょっと待ってて」


そういうとスズキは店員を捕まえて、射撃場が使えるかを聞いた。

そしてすぐに宗司のところに戻ってきた。


「今できるって」


射撃場は宗司のイメージしていた通りの場所だった。すでに何人か銃の試し撃ちをしている。しかし、それにしてはとても静かだった。

弾が発射する音が聞こえず、遠くから的が壊れる音が聞こえるだけだった。

宗司は1番から12番まであるうちの7番で撃つことになった。

宗司は、射撃場の横にあった耳当てをつけ、的に向かって銃の狙いを定める。

後ろ手はスズキと真司が見物していた。

宗司は一度だけ銃を撃ったことがあった。

それは家族旅行で海外に行った時だった。

初めて銃を撃った時、ものすごい反動に体が後ろえ倒れこみそうになったのを覚えている。

そのため宗司は、腰を落とし反動に耐えるよう覚悟をしていた。

そして息を止め、腕にしっかりと力を込めて引き金を引いた。

しかし、いつまでたっ家も、予想していたものが来ない。

宗司は2回、3回と引き金を引いたが、的に弾が当たる音はおろか、反動すら来ない。

宗司がどうなっているのか混乱していると、後ろから声が聞こえた。


「まだ撃たないの?」

「いや、さっきから撃ってるんだけど、弾が出なくて」

「そうなの?ちょっと貸して」


宗司はスズキに銃を渡し場所をかわった。

スズキは耳当てもせず片手で銃を構え、3回ほど引き金を引いた。

すると発射する音は聞こえなかったが、引き金を引いて1秒後に的から音がした。

そしてひびの入った的がゆっくりと近づいてきた。


「弾出るじゃん」

「あれ?おかしいな」


的が元の位置に戻った後、宗司は再び銃を構え、引き金を引いたが、やはり弾が出た形跡はない。


「何やってんの?体力こめないと弾は出ないに決まってんじゃん」


横にいたスズキは宗司の様子に呆れ笑いながら注意した。

しかし宗司は、さっきからでている体力を込めるというのがよくわからない。

試しに魔力を込めようとした。あいにく杖は寮に置いてきたため、上手く魔力が込められるか分からなかったが、固有魔法を使ったときや、ステータス画面補開いたときに教わったことを思い出し、銃に魔素を入れていく。

そして再び全身に力を入れ、引き金を引いた。

しかし、弾は発射されなかった。


「いや、魔力じゃなくて体力だよ」


スズキは宗司が銃を扱う様子を見て突っ込みを入れたが、当の宗司はどうすればいいのかさっぱりだった。


「体力を込めるってどうやるの?」

「・・・もしかして、今まで体力を使ったことない?」


スズキが本気で心配した様子で尋ねたが、宗司は否定した。


「いや、走ったり運動したりはしたことあるよ」


それを聞いてスズキは「はぁ?」という顔をした。


「それは体力を”消費した”っていうんだよ。まあ、今ので聞きたいことは分かったよ。・・・もしかしてシンジも体力使ったことない?」


急に話を振られ、ほかの人が銃を扱っている様子を見ていた真司はすぐに顔を戻し、素直に答えた。


「う、うん」


その返事を聞いてスズキは、どう説明したものかと頭をひねらせた。


「・・・例えば、全力疾走するとすぐ疲れるじゃん?だけどそれは体力を無駄に消耗してるからなんだよ。使いたい体の一部に必要な量だけ体力を送れば1時間くらは全力疾走できるんだよ」


スズキの説明に宗司と真司はぴんと来なかった。二人して頭をひねっていた。

その様子を見たスズキは説明をやめた。


「ダメだ、上手く言えない。習ったの中一のときでそれ以来何となくで使ってたからな。こういうのは実際に見たり感じたりしたほうが早いかな」


そういった直後、スズキの雰囲気が変わった。今までは気のいい友人の雰囲気だったが、今はとても威圧感がある。まるで、気持ちを集中させた格闘家や、獲物を狙っている猛獣のような雰囲気だ。


「・・・と、まあこんな感じか。今のが体力をみなぎらせた状態、つまり力んだ状態だな」


そういうとスズキの雰囲気はまた元に戻った。


「す、すごい威圧感だった」

「そ、そう?いや~照れるな~」


シンジが素直な感想を言うと、スズキは嬉恥ずかしそうに頭をかいた。

そこへ、残りの3人が射撃場へやってきた。3人はそれぞれ武器を携えていた。


「お~、いたいた。何してんの?」

「いや、ソウジがこの銃の試し撃ちしようとしてたんだけど、体力を使ったことがねえらしいのよ」


それを聞いた3人は少し驚いた後、スズキと一緒に二人の出生について考察し始めた。


「じゃあ、ケミスとかエンスとかから来たのか?」

「ソウジ、遠い国から来たっていてたしな」

「あの国は科学至上主義だからな~」


4人の考えを横で聞いていた宗司が、4人が異世界という単語を出していないことに気付き、真司に確認した。


「シンジも自分が異世界から来たってこと言ってない?」

「おお、初日から変な目で見られるのは嫌だったし、信じてもらえないと思って」


その答えを聞き、宗司は再び4人のほうを見る。4人は4人で、考察もひと段落し、次のことを話し合っている。それは、宗司と真司は無視できない話題だった。


「体力が使えなくて学校やっていけるかな?」

「本格的に授業始まる前に俺たちが教えたほうがいい?」

「いや、先生に頼ったら?この学校、体力使わずにはいるには推薦しかないでしょ。そしたら体力使えないこと先生も知ってんじゃない?」

「なあなあソウジ、シンジ、この学校って誰の推薦で入った?」


ソウジは、ここで噓を言ったら、余計に混乱すると判断し、正直に答える。


「今、ナガツカ将軍に世話になってるんだけど」

「あ~、え!?へぇ~、そうなのか」

「お~将軍に、じゃあ一回将軍に相談してみたらいいんじゃない?」


4人の中で結論が出たらしいが、真司と宗司は理解できていない。

体力を扱うとはどういうことで、扱えないとどうなるのか。

その疑問に4人は改めて答えてくれた。


「体力を扱うってのはさっき言ったとおり、必要な部分に必要なだけの体のエネルギーを送ることだね」

「この国ではたいてい親から何となく教わって、中一の授業でしっかり習う感じだね」

「体力が扱えるようになると単純に持久力や筋力とかの力が上がったり、体のエネルギーをビームみたいに打ち出したりできるよ」

「あとは体力を込める、体力を使ってモノにエネルギーを送ることもできるね」


4人の解説を聞いてもどこか、アニメの設定を聞いているような気がして、理解ができない。

宗司はこのとき、


(数学ができない人が数学ができる人の解説を聞いたらこんな気分になるのかな)


ということを考えていた。

4人は稚拙ながらも一通りの説明を終えると、最後にこう言って締めた。


「まあ、実際に使ってみるのが一番だから、サッサと将軍に相談してみな」


宗司たち6人が射撃場を後にし、武器屋を出ようとしたとき、真司の視界に、気になるものが入った。

真司はそれに向かって歩を運び、なんとなく手に取ってみた。

5人もそれに築き、真司に近寄ってきた。


「何かいいものでもあった?」


ソウハチの問いに真司は今自分が手に取ったものを5人に見せる。


「四節棍か、扱いずらいの選んだね。こういうのが好きなの?」

「いや、なんとなく目に入って気になって持ってみたんだけど」

「そんなんだ。ステータス画面開いて調べてみたら?」

「いや、この武器についてはもう調べたんだ。これは様々なエネルギーを蓄えることができる武器だった」


それを聞いた4人は「おお~」と声を出して感心した。


「それで、いくら?これ」


スズキに言われ、値札を確認すると、4人は驚愕した。


「10万通!!」

「高っ!」

「いや、術式持ちにしては安いほう?」

「一学生が手を出せるもんじゃないよ」


この国の通貨単位に慣れていない宗司と真司は頭の中で、日本円に直した。

確か、1通が日本円で1000円くらいだったから、10万通だと、、、1億円


「高!」


4人とはワンテンポ遅れてその値段に二人は驚いた。

真司は素直にあきらめ、四節棍を元の場所に戻した。


「どっちにしろ今はお金ないし、買えなかったんだけど」

「あ、そっか、今財布家なんだっけ」


6人は今度こそ武器屋を後にした。

帰る最中、真司はソウハチが見たがっていた【名刀・春風】について聞いてみた。


「春風っていう刀にはどんな効果があったの?」

「特に何も?」


その返事に真司は意味が分からなかった。


「何もって、どういうこと?」

「だから何もないよ。【名刀・春風】には回路は刻まれていないよ」

「・・・何もないのにあんなに人気なの?」

「この国ではああゆう刀はそれだけで人気だし、何もないのに500年ああして残ってるから人気なんだ」


【名刀・春風】は元の世界でいう日本刀だった。それが500年前のものだったら、元の世界でもかなりの価値がある。

しかし今度は逆に、そんなものが武器屋にあることに違和感がある。


「あの刀って展示品なの?」

「いや?売り物だよ?」

「500年前のものって歴史的価値がすごくあるんじゃないの?いいのそんなもの売り出して?」

「ああ、魔法で昔の様子を見ることができるようになったから、研究とかは骨董品使わなくてもできるようになってるんだよ」

「そうじゃなくて、壊れたりしたら、って話」

「そしたら、復元師とか、国に頼めば最悪元には戻るから。ただめっちゃ高いけど」


科学や魔法、その他のエネルギー研究が進んだ世界では、元の世界の価値観はあまり理解されないらしい。


「ちなみに復元するのにいくらかかるの?」

「ものによるけど【名刀・春風】の場合だと、、、1000通くらいじゃない?」

「すごいな。あの刀の値札見えなかったけど、あれ買って壊したら総額いくらになるのか。考えるだけど恐ろしい」


それを聞いて、ソウハチは真司と一緒に軽く笑った。


「そうだな、【名刀・春風】はセリで落とされるから、馬鹿にならない金額だろうな」

「競売?普通に売ってるんじゃないんだ」

「あのくらい人気なものになると普通の販売はしないよ。ちなみに最低落札価格は48万通」

「よ、48万、、、笑うしかないね」


二人が談笑していると六人は駅に着いた。


「じゃあ、俺らこっちだから」


駅で別れ、電車に乗るのは宗司と真司とマブナの3人だった。

マブナは真司たちとは逆方向の電車に乗って帰っていった。

宗司と真司は電車に揺られながら、今日のことを振り返っていた。


「意外とみんな、年齢のこと気にしなかったな」

「自分から年齢言ったのか?」

「いや、怖いから言ってない」

「じゃあ誰も気にしないだろ。それより帰ったら将軍のところ言って体力とかについて聞かないと」

「そうだね、昼ごはん食べたらね」

「もう11時か」


二人が寮に着いたとき、ちょうど音楽が流れていた。

二人が荷物を自室に置き、食堂へ昼ご飯を食べに行くと、そこには凛花と正也がすでにいた。


「やあ、学校どうだった?」


自分の食事を配膳し、二人を見つけた真司は規格に座り、今日の学校について二人に聞いた。


「荷物が重かった」


凛花の感想に、3人は同意した。クラスのほかの人は自分の影や何もないところに荷物をしまったりしていたが、4人にはそれができず、重い荷物を持って帰る羽目になった。

宗司と真司は幸いにも、武器屋に行っている間、友人に荷物を何もない空間に入れてもらえたが、駅から寮までは、自分の手で持たなくてはならなかった。


「友達になれそうな人はいたけど、初日だったからすぐ帰ってきた。学校の雰囲気はまだわかんねえな」


そう言って正也は麺をすすった。

今日の昼食はラーメンのようなものだった。

面は知事れ面のような食感とのど越しだったが、噛むと牛肉のような味がした。

スープは透明だったが、飲めばあらゆる出汁の風味が口の中に広がった。

具材は大根のような根菜と、キャベツの葉を分厚くしたようなもので、食感はシャキシャキとしていたが、中からスープと野菜のうまみがあふれ出てきた。


真司は食べながら、今日の出来事、とりわけ、体力のことについて話した。


「それで、これ食べ終わったら将軍のところに行こうと思ってるんだけど、どうする?」

「もちろん行くよ」

「俺も行こうかな」


話を聞いた二人は、真司と宗司とともに将軍のところへ行くことに決めた。が、


「それで、どうやって会うの?」


凛花の質問に真司はすぐに答えることができなかった。


「・・・この間の招待状を使うか、あのビルに入る人にありあってもらうか。最悪、出待ちするか」

「まあ、そこまで不安になることはないと思う」


3人は宗司のほうを振り返った。


「将軍は『困ったことがあればいつでも頼れ』って言ってたから、とにかく行ってみれば何とかなるでしょ」


いろいろ不安は残るが、13時ごろに出発しようということになった。

4人は各々食堂を後にし、出発の時間までの暇をつぶしていた。

13時の5分前、4人は一階の管理室前に集合した。


「じゃ、行くか」


真司が出発の音頭を取り、寮からでようとしたとき、


「あ、そこの4人、ちょっと待って」


4人話呼び止めたのは管理人だった。


「はい、何でしょう?」

「13時半に将軍が君たちに会いたいって言ってるんだけど、今日無理そう?」


幸運なことに、目的は向こうからやってきた。

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