6話 ホーソン星の神様は悩んでいる
移民星がホーソン星に進路変えたその頃、ホーソン星の神様、ナナミ・サクラは、庭の世界樹を見てため息をつきました。
ホーソン星に災厄がやってくると。
(ララ・ゴランが率いる移民星は、20年後に、この星ホーソン星に到着します)
『生きたければ勝て!』
有機体から生命になり、融合して複雑に進化してゆきます。アメーバは有機物を捕食して成長します。カエルは、共食いもします。オオカミは、その鋭い牙で小動物を狩ります。
人は道具を使って、全ての生物を食料として捕えます。人はこの世界の食物連鎖の頂点です。
競い合って次第に大きくなって弱肉強食の頂点に達したのが人類です。より多くの肉を食らい、より多くの子孫を残して増えてゆきました。そして、足りることを知らない欲望は文明を発展させて、文明レベル6の上位に達しました。さらに、他者より多くのものを手に入れるために大量破壊の道具を手に入れたのです。
この星の生命の成り立ちは、言うなれば、『生きたければ勝て!』の言葉が然りです。なんと殺伐とした上に文明や文化が、また魂があるのでしょうか?
宇宙は広い。ここに異なった生命の成り立ちがあります。あるものに光が吸収されてゆき、そして、ひとつの生命体になりました。エネルギーは無尽蔵に降り注ぐ太陽の光でした。したがって競争はありません。その生命体の名を『チ』と名付けましょう。『チ』は、至る所で発生し、進化してゆきました。互いに意思疎通を育み、高精神体となったのです。
高精神体であるナナミ・サクラは、この星の食物連鎖を緩やかなものに変えて、できれば大量破壊の未来を避けてあげたい。しかし、宇宙の理に照らし合わせれば、やむを得ないことなのです。
大量破壊兵器は、日々発明され、その規模が増大しているのが現実です。救いようがないのかな? ほとんどの一般の人は、大量殺害兵器の増大を知って知らずか、楽しく過ごしているのです。
やっと見つけました。ずーっと昔から居る神様、ホーソン神を探していました。そして、彼はヒール岳の麓で寝ていたのです。まあ、自由な神様ですからね。
「やあ、サクラちゃん。久しぶり。顔色が悪いけど、どうかしたのかな? 」
10歳ぐらいの、短パンとTシャツの男の子がアラン・ホーソン神です。
サクラは、近い将来、この星で大量殺りくが発生し、ほぼ壊滅状態になるとホーソン神に説明をしました。
「うん。そうなるかもって予感がしていたよ。まあ僕に取って、この星の地上が壊滅してもさほど気にならないし。また、一から新しい命を育む機会が得られるのだから、楽しみが増えるだけだ。うーん、でも約束は守らないといけないね。100年戦争の反省から、人々は『生まれ変わる魂は真っ白にしてほしい。育てる過程で善に導くことを誓います』と約束したのに、自爆するようなことになっているなんて。まったく度し難いね」
「ホーソンさん。壊滅してもいいなんて、聞き捨てなりませんよ!」
「おっっと。サクラちゃん・・・怖・・・い!!!」