41話 ホーソン人が見た戦争
私は、アマカゼ放送局の国際部の部長だ。朝起きると、東の空が明るい。一つ二つと、銀色の線状が真上に上がってきた。そして、光は四方八方に弾けていった。流星だろうか? 、それとも衛星の落下物? しかし、それらは地上すれすれのところで消失したように見える。
(この現象は東国でも西国でも、多くの人が見ることができた)
そして、手持ちのスマホから、突然警報が鳴り、
「広報です。みなさん、緊急事態です。空から飛来物がたくさん落ちてきています。速やかに家屋や地下に避難してください。状況は10分ごとにお伝えします。現在のところ、いかなる損害もありませんが、安心はできません。速やかに家屋や地下に避難してください。」
テレビやラジオ、広告塔などからも同様の警報が発せられている。そうだ、これは以前見た映画『核戦争』の一幕ではないか。確かに一触即発の状況であると日頃感じており、昨日もそれらの情報収集に明け暮れていた。やはり、やったのか! 馬鹿な!
社屋に入り、情報を得ようとパソコンを前にすると、ネットが繋がっていないことがわかった。部下たちも同様で、コーヒーカップを持ってたむろしている。
「やあ、みんな集まってくれ。情報を共有しようではないか。この白板に、見たこと聞いたことを順次書いてみてくれ」
多くの人が情報を欲している。しかし、通信ネットワークが不通では、目に見えるものだけに限られた。電車もストップしたので、人の動きも止まった状況である。スマホも雑音が多くて、機能していない。
しかし、不思議だ。核戦争が始まったならば、この場も私たちも存在していないはずだ。なぜか生きている。緊急回線が生きているのも不思議だ。核爆弾の応酬は一時間ほどで終わる。間髪を入れずに発射するので一時間ほどで玉切れになるらしい。そのあとは生物兵器、人殺戮ロボット、電磁波爆弾と、もうあらゆる破壊兵器が投入される。一旦トリガーが放たれると、もう、その間に人為は入れなくなる。最後になっても。
13時30分。ゴラン王国から緊急放送回線を使って次のメッセージが送られてきた。
「我々、ゴラン王国は、この星のすべての国を掌握した。従来の政府や軍部は消滅した」と、それだけ。
(この星の、すべての人がこれを聞いた)
16時30分。ゴラン王国の外務省が緊急放送回線を使って次のメッセージが送られてきた。
「ゴラン王国の外務省より通達します。東国はケラン州、西国はミラン州、その他の国は国名を町名に変えます。現在進行中の混乱は、ゴラン王国の警察が逐次沈静化してゆくので、ご協力ください。この先3日間は全世界、戒厳令を敷きます。外出せずに家で待機してください。不審者は即刻捕縛します」
(この星の、すべての人がこれを聞いた)
一夜明けると、いつもの暗騒音はなく静かだ。風の音と小鳥の囀り以外は何も聞こえてこない。車の音も、電車の音も、飛行機も飛んでいない。
「ゴラン王国の外務省より通達します。明後日の8時に戒厳令を解除します。ただし、治安のため治安員を配備していますので、青い服のアオシ、ピンクの服のモモコの指示に従ってください。疑義を申し立てる者や反抗する者は即刻捕縛します。くれぐれも騒がないよう沈着冷静に行動してください」
30日後、大方鎮静化し、日常が戻った。いや、電気が供給されない生活、自動車も走っていない、静かな世界だ。水は出ないので、どうしよう? 真っ暗な夜はいつまでつづくのだろうか?
一方、戦争に関与した政府や軍部の要人は、ゴラン王国に強制移住させたと、ゴラン王国の外務省から広報があった。町の人々は安堵したのか、はたまたゴラン統治を危惧しているのか?
一方、従来からのアミューズメントパークは開園中です。復興の合間を縫って、人々は娯楽を求めることができます。楽しい笑顔は、神様にとって・・・・嬉しいです。




