4話 移民星
移民星は、直径3000キロメートルほどで、外側はシェーロで覆われています。真っ黒なので宇宙が背景では見えません。内部には太陽があって、陸地と海もあります。その中には、よく似た人種が住んでおり、総人口は約2000万人です。そして、A地区は大統領ユーリ・サナダ、B地区は大統領マリア・サラン、C地区は大統領ガラム・タンクが取りまとめています。
外殻のシェーロは、星間行商人のルーレット・カガクから購入しました。このシェーロの機能は素晴らしいです。星間には、色々なものが浮遊しています。岩の塊や液体、宇宙船やその残骸などなど。光速に近い宇宙航行には非常に危険です。シェーロは、それらを柔らく受け止めて、進行方向の横に弾いてゆきます。もちろん、大きな障害物はこちらの軌道を修正して、回避します。その他、有害な電磁波やガスなども反射します。さらに、可視光線を吸収するため真っ黒で、外部からは見え難くなっています。
シェーロは、小さい住民が作るハニカム構造の黒い構造体で、非常に強いです。なかなか手に入りません。ルーレット・カガクが製造元と専属契約をしており、彼だけが、その真っ黒な星との商いができます。というか、他の人が行こうとしても着陸できないし、出来たとしても真っ暗な世界で何も見えないらしいです。
この移民星にも、シェーロを作る小さい住民が住んでいます。ルーレット・カガクとその妻フェアリーと、その子孫です。妻のフェアリーは小っちゃい5ミリほどの社会性昆虫の集合体なのです。彼らの子孫が、この星のシェーロを作って、保守を担当しています。
そんな真っ黒な移民星は、ホーソン星と同じ軌道にあって、ホーソン人からも見える位置に停泊しています。移民星のTOPはララ・ゴラン、私です。レベル10の社会性昆虫の集合体です。
ララの父はルーレット、母はフェアリーと言います。ルーレットとフェアリーの二人は3000年前に魔女の星イベリスで再会し、アレン、サム、ローラ、キャサリン、トモエの5人の子供たちを得ました。そして5人の子供たちは、イベリス星で頑張っています。
暇を持て余していたルーレットは、あの宇宙収縮災厄で帰還する星を失った人や、孤立した人々を救うために移民星を建造して旅に出ました。そして、今はホーソン星の惑星軌道にその移民星を停泊させています。2000年の旅路の間にルーレットとフェアリーの子供は、8人になりました。子供と言っても、小さな子供たちの集合体ですから、ミニフェアリー20万人で通常の子供一人になります。
ミニフェアリーズは、さらに小さくなることができ、ナノフェアリーズになります。移民星の保守管理は、このミニとナノフェアリーズが担っています。
フェアリーズから、ホーソン星への移民責任者を選出しました。
「それでは、ララ、よろしく頼む」とルーレットが指示しました。
「ララちゃん。無理しないようにね。不測のこともあり得ますからね」
ということで、ララは移民計画を立てたのでした。