39話 攻撃が始まった
結局、戦争の火ぶたは切られることになりました。
ここは、ゴラン王国のモニター室。全世界の様子がリアルタイムで画面に表示されています。ホーソン神、サクラ神、そしてララ・ゴランが中央にいます。周囲には、妖精族長の4人、トパーズ族の代表カラムヂ、ホーソン人の証人として5人、ゴラン王国の要人らが同席しています。皆は、まんじりともせず、画面を見入っています。
ミサイルの発射が確認されました。
西国の一小国から、核爆弾を搭載したミサイルが発射されました。それを、探知した東国の急進国が反撃したのです。それからは、もう何万発ものミサイルが東西を行き来することになりました。
無慈悲な一発です。
「「「おぉ!!」」」
「「「なんてことだ!」」」
「ホーソンさん、大丈夫? 」
ホーソン神は、静かに佇んでいます。ときおり、『ぴくりっ』と身体が動きます。そして呻きと。
モニター室の皆の目には、発射された核弾頭ミサイルが、豊かな大地に着弾するのが映ります。しかし、着弾しても爆発がおきません。なぜに?
ミサイルの応酬が一段落すると、次は生物兵器、人殺戮ロボット、電磁波爆弾と、もうあらゆる破壊兵器がミサイルに乗せられ、あるいは飛行機などで投下されてゆきます。準備されていたとはいえ、相手を素早くやっつける情熱? には感嘆します。
着弾すれば、地上は阿鼻叫喚に埋もれ、人も、犬も、木々も全てが地上から壊滅するのです。残念なことに、それは自分たちではなく相手だと思い込んでいるのです。いや、死なばもろともだと思っているのかしら?
私とホーソン神、サクラ神は事前に対策を取っていました。大量破壊兵器の投入と被弾は避けてはいけません。ホーソン星の壊滅は宇宙の理なのです。じゃあ、どうするか? 着弾と同時に、亜空間に飲み込ませる対策を取りました。着弾しても地上で爆発することはありません。発射と着弾の事実だけが残ります。これで回避できたのです。ホーソン神の犠牲で着弾と同時に亜空間を通して太陽の中へ 『ぽいっ』としました。
モニター室の皆は、ホーソン神の御業をしかと見届けたのです。
一時間が経過しました。ホーソン神に疲れが見えてきました。顔色も悪くなって時々よろけます。私たちも、あの太陽の中に『ぽいっ』する手立てを持って待機していましたので、交代を進言しました。
「ホーソンさん、休みましょう。あとは私たちが受け持ちます」と
「うん。あぁぁ・・・、たのむよ~ん」と言って、ホーソン神は椅子に深々と座ったのです。
取りこぼしなく、完璧に達成しました。
さて、地上はどのようだったのでしょう?
地上の人々は、空に光る物体が飛んできて落ちる様を目にしたのです。しかし、爆発などのダメージがあったとの報告がありません。
「広報です。みなさん、緊急事態です。空から飛来物がたくさん落ちてきています。速やかに家屋や地下に避難してください。状況は10分ごとにお伝えします。現在のところ、いかなる損害もありませんが、安心はできません。速やかに家屋や地下に避難してください。」
テレビやラジオ、SNS、スマホの緊急通達などから、同様のメッセージが流れ続けています。
「なんだ! なんだ!」
巷では、『神ヤシロに行くと助かる』という噂が流れました。続々と家族ずれの人たちや学校の生徒たちが、神ヤシロに集まってきています。そう、ララが用意したシェルターに。
一日戦争の始まりと終結です。
あっけない最後でした。阿鼻叫喚ではなく、うなだれる多くの人々が見えます。




