37話 サクラ神の決断 魔素物理の世界へ移行する
ここは、サクラ神の神殿。15人ほどが座れる長いテーブルに、ホーソン神、サクラ神、ララ・ゴラン、とパラレルワールド管理局からゲランとアッカが加わっています。それと、ララの重鎮ペドロ・カガク、エルフ、森人、わらし、妖精の4種族の代表とトパーズ族の代表カラムジが座っています。
「万策、尽きたというところです」とサクラ神。
「ドドーンとやってしまっても良いのだけど、一応この星は僕自身でもあって、ドンは痛いのだよ。それに、地上のガヤガヤがいなくなるのは寂しい。でもサクラちゃんが言うように、僕も万策尽きたよ」
とホーソン神がいつになくしょんぼりしています。
「我々が、なぜ魔素がこの星に少ないのか調査しました。あの太陽は魔素をたくさん発生していますが、この星には届いていません。なぜかというと、この星を包んでいるものが、魔素を阻止しているようなのです。地上、30万キロメートルの宇宙空間に、この星を包む形で小さな塵の帯があります」とペドロ・カガクが報告しました。
「なんと、それらを除けば魔素が地上に降り注ぐわけですか。では、いったい誰が何のために、そのようなことを? 」とサクラ。
「私たちが、移住してきた時には、既に魔素は薄かったです」と妖精族のソムリ。
「サクラちゃんが、移民してきたのは、そのあとだよーん」
「ひょっとして、100年戦争の時に、その魔素が地上に降り注がないようにしたのでしょうか? ホーソンさんは知っていますか? 」
「いやぁああ、覚えがないね」
「さて、私たちは東西の大陸に挟まれた、この小さな大陸を移住先として開発を進めています。私たちは魔素文明ですが、必ずしも魔素が絶対に必要ではありません。しかし、できれば魔素を充満させて魔法の国にしたいと考えています」
「私たちも、魔素が欲しいです。乏しい魔素を集めて細々と暮らしていましたが、できればもっと魔素が欲しいし、魂の修練にも加わりたいです」とエルフのマリアが言った。
「私が折れて、ホーソンさんにドドーンとやってもらえば、すっきりしそうですが。 幸せと思って暮らしている人たちの魂を壊滅させるのは忍びないです。魔素世界に転換するシミュレーションを行ったところ、世界樹に未来が見えました。しかし、文明レベルの後退が生じます」サクラが独り言のように呟きました。
サクラは俯いた顔を上げて、苦渋の決断をしたようです。
「・・・魔素物理の世界に変えることを提案します」
「壊滅を回避するための方策だと認められませんが、ララ様の移民で必要な処置として捉えます」ゲランが応えました。
パラレルワールド管理局のお墨付きをいただきました。
「しかし、このままでは壊滅は避けられないことに変わりはありませんね。壊滅を回避の方法を検討してみます」
今日はこれで散会としました。
そうそう、9億人の内6百万人ほどが、宇宙から来た宇宙人? でした。彼らはホーソン星の壊滅を察知して、早々とこの星を去ってゆきました。卑怯とは言いませんよ。宇宙の常識です。
私たちも、強力な結界を施すことで、影響を皆無にすることができます。まあ、放射能が充満した大地には当分は踏み込めないですが。できれば無傷の方が良いです。




