32話 東の国、西の国
東の国はエリートの国。
小さい時から、国の方針に忠実に勉強して、手柄を立てて、組織の上に認めてもらいます。どんどん、上を目指す。仲間は利用し、不要になったら蹴飛ばします。そのような社会を掻い潜って、一握りのエリートが国の中枢を牛耳ることになるのです。
「アランド総帥。最近ゴラン王国なる弱小国が、幅を利かせているそうです。私の思うに、早めに潰した方が良いかと思いますが? 」
「いや、待て!。西国が資源を目当てに、開発投資を進めているようだ。今、我々が表立って潰しにかかると、西国が黙っていまい。それより、島の周囲に観光開発と称して、埋め立て地(島)を作れ。そして、内密ではあるが、将来軍事基地にできるように手をうて」
「御意」
東国は、ゴラン王国の開発が順調に進んだところで、周囲に作った観光地を、一気に軍事基地にして、ゴラン王国を封鎖しようと考えていました。まあ、そんなことは、西国もゴラン王国も百も見通しています。
毎日、東国の浚渫船がゴラン王国の周りにやってきて、土を盛り上げて島を作っています。ララ・ゴランは、特に注意もせず、放置することにしました。しかし、面白くないのは西国のメディア。
西国からの非難を聞いた東国は、
「観光地を作っている。ゴラン王国も了解している。いらぬ難癖をつけるな!」と。
(ゴラン王国は了解していないよ、嘘言うな。)
西国の政府も、確かに公海上のことでもあり、ゴラン王国も何も言わないのであれば、これ以上騒ぎ立てるのもエネルギーが必要です。西国の大統領も、いずれゴラン王国は自国の物になるものとして皮算用をしていました。
西の国は愚者の国。
「東のやつらめ!、軍事訓練といいながら、ゴラン王国を囲んで封鎖を試みている。何か打開策は無いものか? 」
「東国は自分たちの方へはゴラン王国と交易路を開けています。ここは一応ゴラン王国と東国の間も公海ですので、我々の艦船を向かわせても問題ないでしょう。もちろん、軍事訓練と言う名目で」
ということで、単純にゴラン王国からの交易路が両国とも遮断されることになりました。ゴラン王国の東側には西国の戦艦、西側には東国の戦艦が軍事訓練中です。
まあ、全く頭が悪い。わかっていながらこの状態を作るとは。ゴラン王国からの穀物も、鉱石も、石油もストップしました。いつまで、持ちこたえられるのか? 突き上げに対応する西側、不満を押しつぶす東側。そして、我々ゴラン王国は高みの見物とあいなったのです。
西の国は、議会制民主主義という形を取っています。議会に出て、国政に携わりたい人は立候補して、投票によって選択されます。立候補は一般民から可能です。投票の権利はすべての人にあります。議会では国政の審議を行い施策を作ります。人々から信任された議員たちが国政を担うのです。
一見、理想的に見えますが、扇動的な要因によって予想外のことが起きる場合もあります。例えば、ゴラン王国は侵略者であると、誰かが感情的に扇動して、人々がそれに乗った場合、最悪ゴラン王国の排除に向かってゆくのです。そして『多数決の愚者』という罠にはまるのです。
東西国はお互いに敵対的であると、多くの人々は思い込んでいます。ホーソン星の壊滅に至っては、やはり、生き残りをかけた戦い(生きたければ勝て!)は避けられないと言うことでしょうか?




