25話 移住検討会
私は、この移民星を率いるララ・ゴラン。レベル10の社会性昆虫の集合体です、通常は15歳ぐらいの少女の格好をしています。ホーソン星では20歳で通しています。まあ、昆虫の定義は? と問われると、多くのところで違うと言わざるを得ないですね。
外殻あり、骨格あり、胎生ありなど、その環境次第で形態が変わります。いや、変えられます。
今日は、移民星の主要メンバーに集まってもらって、ホーソン星に移住する検討会を開いています。左から、宰相のペドロ・カガク、A地区の大統領ユーリ・サナダ、B地区の大統領マリア・サラン、C地区の大統領ガラム・タンクの4人。右から、第一副総裁のカトリーヌ・ゴラン、第2副総裁のルーカス・ゴラン、船長のジョブズ・クック。総裁は、私ララ・ゴランです。そして、彼らが、移住検討会の常設メンバーです。
もっとも本当の父と母、ルーレットとフェアリーは、ご隠居です。
今日は、そのほかに一般視聴者向けに、この様子を放送しています。変な解釈をされても困るな? とも思ったのですが、後からでも意識修正ができます。なにより、ホーソン星の事実を知ってもらうことが重要です。
どの時点から干渉してゆけば良いかの議論がありました。ホーソン星の現在は、レベル6です。人間に近いロボットが開発され、実用化に後一歩です。通信は世界がネットワークで接続されています。輸送手段は主に内燃機関と道路、鉄道、飛行機が担っています。もちろん、全て電子物理がベースになっています。
ただ、重力制御は、まだは発明されていません。
ララとリリ、移住検討メンバーが、この3年間現地に赴き集めた調査結果を、会議のメンバーと移民星の皆さんに見てもらっています。
「ホーソン星人の種類は、この一種類でしょうか? 」
「確かに、髪や皮膚の色、体格などに差はありますが、一種類のようです。しかし、星外人もいます」
「魔素や魔法の存在はわかりますか? 」
「あの太陽からの光には多量の魔素が含まれています。しかし、地上において、魔素が少ないのです。調査が必要です」
まあ、質問に答えてゆきました。そうそう、メディアも20社ほど来ています。適切な情報提供を望みます。
何はともあれ、望遠鏡の中から臆測するには限りがあります。
「これからも、実地に調査したいと思っています。重要と思われることはその都度お知らせすます」
人間の定義は、下肢で直立歩行し、手は物をつかむために発達しており、地上生活を営み、道具を使用し、さらに大脳の著しい発達によって、言語、思考、理性の能力、また文化的創造の能力を有するに至ったもの。
この宇宙では、およそ形態と社会性において、人が定義されています。
もっとも重要なのは周囲の状況を素早く探知することであり、その神経を集中させることが進化の要となります。それらを保護する身体を形成し、地上での移動は、体重を左右に振りながら前に進みます。無駄を少なくすると多くの原人は2足歩行へ進化し、その最上部に頭を乗せたのです。手は物を掴むために進化し、3本指や5本指となりました。そういうことで、宇宙の標準形態の人型が出来上がりました。
8本脚のタコみたいな宇宙人は、あり得ないのです。ファンタジーではOKですが。
まあ、人ならざる者も、いますので、一概にこれだとは定義すべきではありませんね。
この話の主人公である私、ララ・ゴランも人ならざるものです。
「ここが拝殿です。この世界の神様が前方の段に祭られています」
「参拝の人たちの目的は、どのようなものでしたか? 」とA地区の大統領ユーリ・サナダ。
「社殿に向けて崇める人も少なからず居りましたが、大抵は願い事ですね」
「若者が来て『試験に受かりますように』とか、『赤ちゃんがほしい』とか、『良い人に巡り合いますように』とか、ちょっとどうかと思うのは『商売繁盛、お金ザクザク』というのもあります。この世界の神様も大変ですね」
「この子たちの寝顔を見てください。可愛いでしょう」とリリ・ゴラン。
私が、ホーソン星に降りてからの動きを掻い摘んで、皆さんに見てもらいました。
「ララ様、最近ホーソン星から探査機が飛んできます。無人の場合は撃ち落としていますが、有人の場合は拘束して冬眠装置に収容しております」
「そうそう、ジョブズさん。年月日と時計をホーソン星に合わせてくださいね」
「先日完了しております」
「今日、お見せした映像は、皆さんの裁量で公開してくださいね。移民星の人たちも知りたいでしょうから」
移民星は、およそ2000年前にスタートして、ララ・ゴランが遥か宇宙の彼方から移民を希望する人々を集めてきました。ララ・ゴランは、ピンクがかった銀髪に赤い瞳と白い肌の約15歳ぐらいの少女の姿を好んで使っています。




