18話 もう一人、ララの妹リリ・ゴランを孤児院へ
もう一人、現地調査に向かいました。
私リリ・ゴランは、5歳の身体で、朝早くにシャイン孤児院の前に倒れることにしました。横には黒猫のローザがミャーと心配そうに覗いています。じっと助けが来るのを待ちます。
待つこと10分。アンネと言う巫女見習いが、倒れていた私を発見し、中に入れてくれました。
そして、近くのソファに寝かせ、”神官のヨハン”を呼びに行きました。
「あなたの名前は? 」とアンネが問います。
「リリ・ゴラン」
「お父さん、お母さんは? 」
「わからない・・・」
大方の容姿は、ホーソン星の人間に似せました。但し、髪はピンクがかった銀色でストーレート、瞳はブルー、肌は白く、ちょっと美人なんです。黄色のジャンバースカートにピンクのブラウス、足には赤いズック。一緒にいる猫のローザはアンドロイドで、リリの護衛として移民星から貸し出されたものです。もちろん、孤児院の前で倒れた時も一緒で、孤児院でも泣いて離さなかったので、アンネも条件付きで認めてくれたのです。
孤児をどのように扱っているかを知ることによって、その星の人々の魂が見えてきます。何の環境にも浸っていない、空白の魂なのか、陰陽のどちらかに偏りがあるのか。
大部屋に5歳から12歳の15人の女の子が寝起きしています。
「リリちゃーん。顔を洗いに行こう」
ローリーと言う、一つ年嵩の子が私の面倒を見てくれることになりました。赤毛で活発な子です。顔を洗って、食堂に向かいます。女の子が15人、男の子が20人が席に着いています。そこで、私の紹介がアンネからありました。私は小さな声で”よろしく”と言いました。それだけです。おとなしく、おどおどしたイメージで、もちろん猫かぶりです。
「それから、この黒い猫はローザと言って、リリちゃんの友達です。可愛がってくださいね。いじめちゃだめですよ」
一応、皆より一歩引いたところでの生活を始めました。そのような私を見て、アンネが心配していました。
(ちょっと心配してくれるアンネに申し訳ないです。様子見なので、おとなしくしています)
私は魔法が使えます。この星にも魔素が少しだけあります。レベル1程度の魔法は発現できそうです。でも孤児院では、魔法は使いません。子供の時代を経験して、この星を子供の目から見てみようと思い、また子供だから、楽しめることがあると考えていました。
このホーソン星の一日は24時間、7日間を一週間、30日が1カ月、12カ月で1年らしい。
お金については、まだ5歳だからよくわからないふりをしています。
ローザは、女の子に人気で、皆が可愛がっています。男の子には、クロと言う犬がいます。クロは、ローザを見ると、ひれ伏す格好をするので、皆が不思議がっています。
孤児院の横には、ヤシロがあって、多くの人が参拝しています。ヤシロには、ホーソン様とサクラ様が祭られています。ホーソン星では、ホーソン教以外にも多くの宗教が存在しており、基本は多神教です。
ここは巫女の控室。リリの持ち上げ話で賑わっている。
「今度来たリリちゃんね。しっかりしていて、本当に5歳? って思うことがあるよね」
「そうそう、あの人見知りで引きこもりのカレンちゃんがリリちゃんの袖を掴んで離さないのよね」
「小さい子の面倒をよく見ているわ。ビックリしたのはおしめを交換していたの。きっと兄弟がいて小さな子の面倒を見ていたのだわ。感心、感心」
「そうね。小さな子を引き連れて、お庭の草取りや水やりをやっていたわ」
「それにね。文字が読めるらしくて、絵本を読んであげていた。カレンが離れないのも、それだと思うの」
「5歳で、文字が読めるの!。びっくりだわ」
「それと、あの子はアルビノじゃないみたい。でも、ドクターが首を傾げていたわ。何でも血液がどうのこうのって・・・」
「『だるまさんがころんだ』と言う遊びを、やっていたわ。初めて見る遊びで、小さな子から大きな子まで遊べて、皆楽しいそうだった。何かしら新しい風が吹いて、とっても良いわ」
「そうそう、リリちゃんの歩き方。背筋がピンと伸びて、どこかのお嬢様かなと思うほど優雅なのよね」
持ち上げ花火は、大盛況。リリの可愛い耳には、全て聞こえています。盗み聞きは悪いことですが、自然に聞こえてくるのは仕方ないです。それに、お褒めの言葉ばかりで、ちょっとむずがゆいです。
(ララさーん、聞こえていますか? 子供たちの中にいると、とても純真で温かい感じがしますの。今日は赤子を抱いたご婦人がお見えになりましたのよ。遠い昔の約束通り、真っ白な魂の赤子でした。このシャイン孤児院の隣にあるヤシロはホーソン教でした。敬虔な巫女や神官たちで神事が行われていましたわ。)




