15話 第2回報告会
ここは、移民星『アスナロ』にあるゴラン邸の会議室。ゴラン邸は、3つの島の中心にあって、藁葺の小さな家です。外から見ると小さいのですが、ドアを開けると、10人ほどが座れる丸テーブルがどっしりと鎮座しています。いつもの会談はここで行われます。
右のドアを開けると厨房で、その先は倉庫になっています。左のドアを開けるとそこは転移ゲートになっており、ここからホーソン星の特定の場所にダイブできます。その先のドアは、宇宙にあるララ・ゴランの別邸につながっています。真ん中のドアの先は、広い通路があって、左右に客室とララ・ゴランの自室があります。
さて、今日は2回目の報告会です。
いつものメンバーです。ペドロ・カガク、ユーリ・サナダ、マリア・サラン、ガラム・タンクの4人。
カトリーヌ・ゴラン、ルーカス・ゴラン、ジョブズ・クック、そして、私ララ・ゴランです。
「さて、今日はホーソン星の妖精たちを見てください。これは、『座敷童』と言って、古い屋敷などに住んでいます。ホーソン星人には普通見えません。が、稀に見える人がいるそうです」
アマチ家で体験したことを報告しました。皆の反応は良好です。
明後日、現地調査に行こうと話がまとまりました。
それまでに必要なものを揃えるということで、研究員のアズミ・アマミヤと打ち合わせを行いました。
「みなさん、社会が充実しているところでは、身分を表わすものとしてシステムがあります。ターゲットの地域を考えて、身分証とシステムへの追加をやっておきました。アズチ町のアズチ小学校の5年生という設定です。ララ様は中学生です。野外社会勉強で冬葉原に来たということにします」
「きっと、町では『補導員』と言う人が近づいてきて『なぜ学校に行っていないのか? 』と問うてくることが想定されます。その時は、この学校名と校長印のある証明書を見せてください。補導員が裏を取るために学校に電話連絡することがあると思いますが、それも対応済みです」
「それから、お金とカードをお渡しします。町での買い物、飲食などの支払いに使ってください。無駄遣いはダメですよ!」
ながながとアズミの説明を、調査員ともども聞きました。ワクワクしますね。
下準備は十分過ぎるほどやっても、無駄はありません。ちょっとしたボタンの掛け違いで、移住できなくなるのは避けたいです。調査隊の募集? そんなものはしません。ララの独断です。
移民星の主要メンバーが、そのまま調査隊です。
宰相のペドロ・カガク、A地区の大統領ユーリ・サナダ、B地区の大統領マリア・サラン、C地区の大統領ガラム・タンク、第一副総裁のカトリーヌ・ゴラン、第2副総裁のルーカス・ゴラン、船長のジョブズ・クック、そして、ララ・ゴランの8人です。
メンバーは、魔法でホーソン人の10歳ぐらいの子供に似せました。子供8人。子沢山ですね。学校の市場勉強ということで、ララが率いる生徒たちです。まあ、私も中学生なんです。
移民星から要人が出払う形になりますが、問題ありません。優秀な副官がいますから。
早速、飛空艇に乗り込み、西の国にある大きな都市にやってきました。目立たないように不可視の魔法を飛空艇に施して、目標の公園に降り立ちました。傍から見ると何もない芝生の上に、次々と子供が出てきたように見えたでしょう。しかし、気が付く人は誰もいませんでした。
「さて、皆下船したかな? 」
「「「おりたよー」」」
やってきました、ホーソン星のある都市の、ある街角。
「みんなー、離れるんじゃないよ! 」
ララ・ゴランと8人の子供たち。今日は、タロウィンという、お祭りの日で仮装行列が街に繰り出しています。私たちも、それに交じって、調査をしようという算段です。
公園から、通りに出ます。ワイワイガヤガヤと賑やかな一団です。誰も、こちらの本当の容姿には気が付かないようです。実にタロウィンの仮装で紛れていますね。
(えぇ!、この星の人以外の宇宙人が歩いているわ!。これは、母船に報告せねば)
やはりね。知らぬは、自分の足元。よくよく見ていると、3種類ぐらい確認できました。ふっ!とこちらを見る宇宙人もいるが、知らぬ顔で通り過ぎます。
市場には、いろいろな野菜が並んでいます。トマトやニンジン、ピーマン、カボチャ、豆類などなど。メンバーは自分が気に入ったものを買って行きます。
「ねえ、おにいさん。このトウモロコシはいくらなの? 」
「100グラム、20円で良いよ」
1キログラムを買いました。移民星に戻ってポップコーンを作ってみましょう。
ホーソン星の、あるメディアの放送です。
「お昼のニュースをお伝えします。タロウィンもたけなわです。しかし、その中にちょっと変わった子供の集団を見かけたと、視聴者のひとから連絡がありました」
「こちらを、見てください。冬葉原の駅で見かけた映像です。そして、こちらは奈古屋の駅で見かけた子供たちです。さらに、大樽でも同様です。若干服装は異なりますが、同じ集団のように見えます」
「里山さん。この子たちを見かけた時刻が午前中の3時間内なのですが、同一とは言えないでしょうね」
「確かに、よく似ていますが、同時イベントの可能性が高いですね」
「でも、この子たちのリーダは名前を、『ララ・ゴラン』と言っていますし、こちらに顔を拡大して比較していますが、そっくりですね」
このニュースを見た人たちからは、発見場所は500から1000キロメートルも離れており3時間では移動しきれないとか、画像処理で背景をかえているとか、複数のアカウントを使っているとか、いろいろ否定する声もありました。そして、時間が経つと忘れ去られたのです。ただ、『ララ・ゴラン』の名前だけは、記憶の片隅に残ったようです。




