10話 ララはこの星の神様を探しに行きました
ナナミ・サクラが世界樹の前でため息をついて、20年が経ちました。
そして、私ララ・ゴランが率いる移民星がやっと、ホーソン星が属する太陽系に着いたのです。ホーソン星の壊滅まで、あと10年になります。
その星は青くてみずみずしい惑星でした。大きな大陸が2つあって、その間にちょっと小さな陸があります。その小さな陸はほとんどが土色で緑の部分がわずかに見える程度でした。左の大きな大陸は、経緯方向に5000キロメートル、赤道を中心に緯度方向に8000キロメートルほど。右側の大陸も同様です。いずれも緑豊か大地と見受けられます。
この星にも、神様がいます。通常は、レベル10の高精神体で、基本的には観察者です。パラレルワールド管理局にも手伝ってもらって、神様を探しにきました。
居ました。東西の大きな大陸に挟まれた小さな陸の南200キロメートルに位置する、周囲50キロメートルほどの島に居ました。
着陸艇を出して、現地に向かいました。
「こんにちはー」
道の両脇に2本の石柱が立っています。その向こうに、崩れた神殿らしきものがありましたので、声をかけてみました。
「そのまま、まっすぐね・・・きてね」
この星の神との出会いでした。
「あれ!。あなたはララなの? 」
「そういう、君はナナミなのですか? 」
「久しぶりー。ララ。あなたが来てくれて、とても嬉しい・・・」
「というより、どうして弱っているのよ。私のパワーを分けてあげる」
「うん。ありがとうね。・・・だいぶ頭がすっきりしてきたわ」
私は、ナナミの話を聞いて、協力することにしたのです。
そのかわり、ララ・ゴランが率いる移民星の人々の移住をお願いしました。
引き続き、ホーソン星の今までの経緯を聞きました。
「そう、私も6万年前に、500万人を率いて、このホーソン星に移住してきたのですわ。現地人との交配もうまくいって人口も増えました。5000年後には8000万人、6万年後の現在は約13億人!に。繁栄しましたね・・ハハハ」
「その昔、人の魂の修練は輪廻の度に、持ち越される理でした。すなわち、生まれ来る赤子には、修練された心が宿ります。修練と言いましても、善ばかりではなく、悪に染まったものもあるわけですわ。光あれば、闇も然りですわ」
「悪といっても相対的なものですが、その魂を繰り返し取り込むことで、悪を増幅させた者がいましたの。それが魔王サタンです。その配下に多くの悪玉を率いて、魔族を構成しました。一方、同様に善を繰り返し増幅させた者も現れ、善を率いる人族と相対して、世界を2分したのですわ」
「魔族は、畑を耕すことや家畜を飼うなどの育成の心を持たないので、あるものを奪うということになります。やがて、周囲は不毛の地になってしまい、ついに人族の豊かな領域に侵攻したのですわ」
「100日戦争の始まりですの。
そして、魔族は滅び、人族は2割まで人口が減少しました。
人族も、田畑が荒れたせいで作物ができず、遂に3万人ほどになってしまいました。
悲しくも、愚かな出来事ですわ」
「今回の原因は、生まれながらにして善か悪かが決定されていることにある、と生き残った人々は思ったのでしょう。人々は、この星のホーソン神に『生まれ変わる魂は真っ白にしてほしい。育てる過程で善に導くことを誓います』と願ったのですわ」
「ホーソン神は、悲惨な状況を憂いて、民の願いを聞き入れましたの。それは、ある意味、魂の在り方が神の手から離れることになることになりました。そういうわけで、赤子は真っ白な魂で生まれてきます。そして、周囲の手によって、新しく魂が修練されていくのですが、死とともに修練された魂は終わるのです。これが、ホーソン星の現在の魂の在り方ですわ」
「では、現状はどうなのかと申しますとね、確かに善と悪に偏りがなくなり、平和になりました。しかし、白紙から生涯に到達できるレベルに限界がありますが、それを底上げしているのが組織や社会ということになりますの。だから、この星では魂の向上はありません。」
ホーソン神や私サクラは、自ら、天候を変えたり、山を出現させたり、人を先導したりなどの、手出しはしません。日頃のお仕事は、神ヤシロにおいて願い事を聞き、それが神様の意思に沿うものであれば、叶えることもあります。それでも小さなことに限られます。入試で合格とか、あのひとと結婚したいとか、面接で合格したいとかなど、私利私欲に基づくものは叶えられません。もちろん、金を儲けさせてくれ!などもってのほかです。
ナナミは、一気に語り終えました。
私は、静かに聞いておりました。確かに独り立ちしてくれることは、うれしいはずですが。
「さて、これからなのですが。こちらにどうぞ」
ナナミの後ろに付いて、扉を潜るとそこは、大きな光る木を見上げるところに立っていました。
「この木は世界樹と言って、ホーソン星の現在・未来を表しています。昔は、空に届くかと思われるほど茂り、広がっていました。今は、半分以下の大きさになって、枯れ枝があちこちに見えるようになりましたの」
「大きく横に広がっていた枝葉は今はなく、箒のように上の一点に集まっている状態です。これは、あの一点だけが未来であるということです。それも、年々黒ずんでおり、近い将来この星の壊滅を予言していますの」
「さて、今日はララ・ゴランさんが来られたことにより、右の前方に小さな芽ぶきが生じています。できれば育ててゆきたいと考えていますの」
要は、この星は壊滅に向かっており、ララ・ゴランたちの関与で、ひょっとしたら回避できるのではないかと思われているのです。




