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ひきたい女とひかれたい男  作者: コヨコヨ
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ギターを弾かれたい女とギターを弾きたい男

ギターを弾かれたい女とギターを弾きたい男

あの日から俺は、あの子のことが気になって仕方がなかった。

祭りであった彼女は俺がいる教室の1つ下の教室にいるらしい。

「なぁ、彼女出来たか?」

「いや、彼女はできなかった…」

「その言いようだと気になる人はできたみたいだな」

俺は何も言い返さない。

「おいおいマジかよ…それでどんな子なんだ?」

クラスメイトとこんな話をしていると…

教室のドアが勢い良く開く。

「先輩!今日、一緒に帰りましょうね!」

赤面している彼女の後ろには、祭りで見た彼女の友達らしき人がガッツポーズをしている。

彼女は恥ずかしくなったのか静かにドアを閉めようとする…

彼女が行っている先輩が俺じゃなかったら恥ずかしいが、

「分かった、正門で待ってる」

すると彼女は相当うれしかったのか、叫びたい気持ちを抑えているように見えた。


「やったじゃん!やっぱり言ってよかったでしょ!」

「うん、うん。ありがとう!勇気を出して言ってみたかいがあったよ」

それから2人は、学校が終わるまでの間ずっと落ち着かない時間を過ごした。


学校の授業が終わり、俺は急いで正門まで向かう。

名前も知らない彼女に早く会いたかった。

正門に着くと、チョコンと正門の前に立つ彼女の姿があった。

「ごめん、待った!」

「いえ、全然!でも来てくれたんですね、先輩!」

「そりゃ、あんなこと言われたら、大抵の男は来ると思うけど…」

「先輩、今日は折り入って頼みがあります…私の家に来てください!」

「へ、い、家に…どうしてまた、そんなことになったの…別にいいけど」


「いい!今日は先輩を家に連れ込みなさい!」

「へ!そ、そんなぁ、いきなりだよ!」

「良いの!それくらいやらないと、先輩に逃げられちゃうよ!」

「そんなの、いやだ。分かった、やってみる!」


や、やったー、何故か分からないけど、先輩私の家に来てくれるみたい。

あ、でもちょっと待って…私の部屋グチャグチャだ!

そんなこと考えている間に、家についてしまった。

「こ、こっちです…」

私は、先輩を部屋の前に連れていく。

「あの!ちょっとだけ待ってもらってもいいですか!」

「あ、ああ大丈夫だけど」

私はすぐさま、部屋に散らかっているものを全て押し入れに押し込む。

「い、良いですよ…」

「それじゃ、失礼します」

初めて男の人が私の部屋に…

初めて俺が女の子の部屋に…


彼女の部屋はいかにも女の子らしい部屋だった。

しかし、俺の目を引くのは一本のギターだった。

「そのギター、俺と同じ種類だ…」

「先輩もギターやってるんですか!」

彼女が食い入るように聞いてくる。

「趣味程度だけどな…」

「良いですよね、ギター!私、最近始めてんですけど…どうしても上手くいかないところがあって」

「そうなんだ、いったいどの部分?」

「ここなんですけど…」

そう言って、彼女はギター用の楽譜を見せてくれた。

「なるほど、確かにここは難しいね。ちょっと、そのギターを持ってみて」

「はい、持ちました。」

「それじゃ、一回ひいてみてくれる」

「分かりました」

そう言って彼女はギターを弾き始めた、中盤までは上手くいっていたのだが、最後の方で失敗してしまった。

「やっぱり…何度練習してもここまでしか行けないんです」

俺ならここ多分弾けるけど…いいのか図々しくないか。

先輩がギターを弾けるのはリサーチ済みです、私のためにギターを弾いてくれるのか…でもいきなり、ギターの話になっちゃった、もう少し普通の話をした後で切り出そうと思ったのに。

俺はギターを持った彼女の後ろに回り、彼女の右手と左手の位置を修正する。

「これで弾いてみてくれないか」

「わ、分かりました」

そう言って、彼女はまた同じ部分を弾き始めた。

すると、最後まで詰まらず弾き通すことが出来た。

「や、やりました先輩!ちゃんと引くことが出来ました」

彼女の喜ぶ顔は、心から喜んでいるのが分かるほどうれしい気持ちが伝わってきた。

「先輩、実はもう一本ギターがあるんです」

そう言って、彼女は押し入れから、彼女が持っているギターの色違いを持ってきた。

「一緒にこの曲を弾きませんか!」

確かにこの曲はデュエットの曲だが…

彼女がギターをぐいぐいと押し付けてくる。

「分かったから、押し付けるのをやめろ」

一緒にギターを弾けるのがうれしいのか、俺がギターを持って座っていると、彼女は俺の背中に背中をくっ付けてきた。

「いつかこうやって誰かと弾いてみたかったんです」

「そうか…」

そして、俺たちは彼女の指定した曲を弾いた。

「先輩、うまいですね!」

「ま、まあな…」

そもそも、この曲は俺が昔、彼女が欲しすぎてギター出来たらかっこいいんじゃねって思いながら、適当に作った歌なんだよな…今では黒歴史と化してるんだけど、でもどうしてこの曲を知ってるんだ?


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