表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ



アバステリア王国の王宮内は過去最悪な状態だった。




先代国王は賢王と名高く、武においても、智においても、優秀だった。

しかし、心臓を患い、ある日突然、王は崩御されてしまった。あまりに突然だったため、貴族たちは大混乱になった。今まですべて、優秀過ぎる王だったことで、すべて頼りきりになっていたためであった。

先代国王のこどもには二人の王子がいた。正妃の長男は10歳だったが、身体がかなり弱く、寝たきりでほとんど外に出てくることはなかった。

逆に次男は7歳で、健康で武にかなり秀でており、騎士たちにも一目置かれるほど評判だった。

しかし、次男の母親は長男の乳母の小間使いという、かなり身分が低かったため、妃にすることが出来なかった。そのため、身体が弱くとも次代の王は長男の第一王子になったのだ。

しかし、身体が弱い上、まだ10歳と成人前であったので、即位はしたものの公務にはまだ早すぎた。そこで名乗りをあげたのが先代国王の弟であった、スリナム大公だった。先代国王が存命だった頃は、ほとんど政治には関わっていなかったが、正式な王族の一員ではあったので、第一王子の成人までは後継人として補助をするという本人の希望を当時の宰相たちは受け入れたのだ。けれど宰相たちは知らなかった。

なぜ、大公という高貴な身分にも関わらず、先代国王の時代にはほとんど表には出てこなかったのかを。

先代国王は有能であったが、身内に甘いという、欠点があったことを。

先代国王の即位の際、クーデターまで起こしかけた弟を、当時の王族たちが、事件そのものをなかったことにし、半幽閉状態にしていたことを。

そんな大公が、先代国王がいなくなった中、病弱で幼い新しい王を利用して、自分の権力を手にしようとするのは当然だった。

先代国王の側近たちが気づく頃には、すべてが手遅れであった。王の周りは権力と金に媚びへつらう者たちで固められ、大公の意に添わないものは皆さまざまな理由やでっち上げの罪で王宮から追放または処刑されていた。

大公が唯一優れていたのは、相手の弱点をにぎり、陥れることだったのだ。

大公が権勢を広げる中、ひっそりと自分の領地へと隠居したものがいた。

それは先代国王の忠臣であり、友でもあった元王国騎士団団長だった。

伯爵家の子息だった彼は、先代国王が王太子であった頃にその強さを見いだされ、国王となった彼を騎士として支え続けた。

またその強さは国一、さらには世界一と言われるほどであり、国王が賢王と言われたのは彼の武力があってこそとも言われたのだ。

そんな彼は先代国王が崩御した際、自分自身も団長職を辞め、指導役へと回っていた。しかし、大公が王宮内を掌握し始めるとすぐに、自分の領地へと帰り、引退したことを理由に表には一切出てこなくなったのだ。彼は先代国王の忠臣だった自分を大公が邪魔に思っていることを早くに察し、家族の身の安全のため早くに王宮を去ったのだ。元々、政治や権力にはあまり興味もなかったので、王宮から遠く離れた領地にいれば、大公も手を出してはこなかった。


そうして、王は大公の意のままに操られ、王宮は腐敗の一途を辿っていく。

先代国王のもう一人の王子を残したまま…




それから先代国王が崩御してから8年の月日が流れた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ