異世界ウグイスでの戦い方
前回、吹っ切れる事も大事ですねという感じの事がおきました。
「ティナルー。岩吹っ飛ばして。」
冷静な声でとんでもない事を言い出すノユキ。
「オッケー。」
平然とゴーサインを受け取った彼女は蹴りの体制に入った。
「ちょっ、そんなことをしたらモンスター達が雪崩れ込んでくるんじゃ・・・!?」
「おりゃあああ!!」
小鳥の焦りは何処吹く風、岩は見えない速さの脚で粉々に砕け散って・・・
破片1つ1つが弾丸となってゴブリン達を貫いた!!
「さぁ、行くよ!」
そのティナルーの一言で1人と1匹も中に突入した。
「もう相手は完全に私達をロックオンしてる、不意打ちは使えない。油断しないで。」
「こんな雑魚相手に正面突破は何時ぶりだろうな。」
「油断しないで」と言われた割に相手を「雑魚」を割り切るティナルーに一抹の不安を感じざるを得なかったピヨとノユキにはお構いなしで彼女はさっさと壁を走り登りだしている。
ノユキはゴブリンの膝目掛けて
「カタストロフィ。」
そう言って放たれた矢はみるみる巨大化し、当たると同時に爆発してそのまま脚ごと粉砕してしまった。
「今だ!」
ノユキの怒声と共にティナルーが壁を蹴って首を刎ねようとした時。
「ウオオオオオオオ!!」
生命の危機を感じたゴブリンが全力を振り絞り身体を捻ってを回し殴りをティナルーに向けたのだ。
「え・・・。うわぁ!」
真っ正面から喰らった彼女はそのまま壁にめり込む速さで叩きつけられた。
「いってぇ・・・。」
無事そうだが身動きが取れないと見えるティナルーに止めを刺そうとゴブリンは動き始めた。
「ノユキさん!?今度こそ本当まずい感じですよ!!?さっきの魔法を早くした方が!!」
「さっきので暫く強力な魔法は使えないの!」
彼女は普通の矢を何発も打ち込むが、最早ゴブリンの眼中にはティナルーしか見えていないのか歩みを止める事無く前進している。
「(やばいやばいやばいやばい。何か僕に出来る事はないのか???)」
ふと彼の頭に先程のティナルーの説明が流れた。
(「手で持った物に魔法を付けるんだ。
物理的かつ一文字の単語での表現が可能な魔法を術者の魔力の許す範囲で引っ付けれる。」)
視界には至る所に石の破片が落ちている。
「(これだ!)」
完全な直観であったがなりふり構っている場合では無い。
すぐさまそこそこの大きさの破片を掴むと大声で叫んだ。
「爆発!!!!」
すると石は紅く染まり、心臓の様に脈打ちだした。
それを彼は全力でゴブリンに投げつける。
しかし、一切届かず30センチメートル程のところにポトリと落ちた。
「わああああん力と握力と筋力が足りないいい!!!」
足りていないのは腕力でも握力でも筋力でも無く、物を投げるための身体構造だが、目の前に爆発物が有る今の彼には関係は無い。
そんな彼の号哭に気付いたノユキが素早く駆け寄った。
「危ない!!」
先程よりも脈打つ速度が速くなっている石を素早く危険物と認識した彼女は、それを思いっきりゴブリンに投げつけてピヨを護る為に自分の身体の影に置いた。
ゴブリンの背に命中した石は信じられない爆発を引き起こした。太陽が現れたと勘違いする程の炎と熱、嵐が来たと見まごう程の爆風がゴブリンを襲った。
「っっつ・・・。」
十分に離れている彼女も風で押されている。
爆発が収まるとゴブリンがゆったりと倒れだした。が、膝を付いただけで未だに息がある様だ。何としてでもティナルーに止めを刺そうと足掻くゴブリンに再び狙いを定めるノユキだったが、その必要は無かった。
「首刎ね一文字。」
爆発の影響か動ける様になっていたティナルーがそのまま頭を落とした。
「無事だったのね。」
1人と1匹の前に着地した彼女に、ノユキは微笑みながら安堵の言葉を贈った。
「ゴブリンの図体がデカかったおかげだ。」
ゴブリンが壁となったお陰で、爆発の影響を細かな欠片に依る傷と煤ける程度に済ましていた。
「しっかしすげぇな!ピヨ!!」
彼女は何処か興奮気味だ。
「あんなすげぇの私初めて見たぞ!」
「確かに凄かった。裏返して言えば威力が狂ってたけどね。」
ノユキも彼女の意見には賛同の様だが、やはり威力の制御が出来ていないことに言及した。
「制御、出来る様になる事を祈るわ。」
と言って彼女はゴブリンの死体に近づいた。
「何処を持って帰る事にする?」
歩み寄りながら彼女はティナルーに話しかけた。
最初の狼とは桁違いの大きさのため、部分的に持って帰る様だ。
「そうだな・・・。胆石か髪の毛か皮膚か・・・。いや皮膚は炭になってて使い物にならないか。」
ナイフを手で遊ばせながらティナルーも近づいていく。
ピヨもそれに合わせて死体の上に乗ろうとした時。
「ヒューッ。」
風を切るような音と共に死体が羽の中に吸い込まれた。
数十メートルの物が数センチの羽に吸い込まれたのだ。
「うぁ!」
留まるところが急に消えたせいで彼は間抜けな声を上げて地面に落ちた。
「いたたた・・・。」
身体についた砂埃を羽で払っているピヨをまじまじと見ながらに二人ほ呟く。
「こいつ、私が思っている以上に有能かもしれない。」
「奇遇ね。私もそう思ってたところ。」
レースゲームが楽しかったり高校が忙しかったりして投稿出来なかったんですけど復活します。