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女騎士『んほぉぉぉぉ!!』シリーズ

ゴブリン(♂) 女騎士になる。

作者: しいたけ

出オチには……させない!!

「うがぁぁぁぁ!!!!」


 洞窟内に木霊する野太い悲鳴。ゴブリン盗賊団のお頭であるボスゴブリンは大人気アプリ【女騎士コレクション】のガチャで爆死していた。


「何でやんす!?」

「何事でげす!?」


 手下二人がボスゴブリンの部屋へ駆け付けると、そこには布団にくるまり泣くボスゴブリンが居た。


「SSRのンホォォルちゃんが出ないーーーー!!!!」


「あーあ。またいつもの病気でやんす」

「懲りないでげすね……」


  ―――ガバッ!!


 ボスゴブリンは布団から勢い良く飛び出ると、手下の肩をガッチリと押さえつけた!


「お前ら今身に付けてる装備を売ってこい!! 単発ガチャ位回せる筈だ!!」


「嫌でやんす!!」

「横暴でげす!!」


 手下二人は激しく首を振った。ボスゴブリンはガックリと項垂れ布団へと戻った。


「女騎士は俺の全てだ!! 俺の全ては女騎士とも言える!!」


「……アホでやんす」

「……聞こえるでげすよ?」


「はっ!……俺は女騎士なのでは……???」


「は? でやんす」

「はぁ? でげす」


「女騎士は俺の全て、俺の全ては女騎士。つまり俺は既に女騎士だ!! 俺はンホォォルちゃんだーーーー!!!!」


「凄い暴論でやんす……でも」

「筋は通っている……でげす!!」


「お前ら! 俺は教習所へ行くぞ!!」


「何処のでやんす?」

「嫌でげすよ?」


「決まってる! 『女騎士教習所』だ!!」




 ―――ここは女騎士教習所。


 女騎士になるための必要な免許を交付している施設だ。ボスゴブリンは気合い十分で教習所の扉を開ける。


「いらっしゃいませ♪」


 俺好みの受付嬢がやたら可愛い声と笑顔でボスゴブリンを歓迎した。


「女騎士免許を下さい」

「はい♪ オートマ限定ですか? マニュアルですか?」

「どっちでも良い! 俺は既に女騎士だ! 免許を寄こせ!!」


 戸惑う可愛い受付嬢。俺と結婚してくれ。


 冗談はさておき、何やら不穏な来客の臭いを嗅ぎつけた責任者がサングラスをクイクイと上げながらボスゴブリンへと迫った。


「お客様……如何なされましたか?」

「女騎士は俺の全てだ。そして俺の全ては女騎士。つまり俺は女騎士だ! 免許を寄こせ!!」


 近年まれに見る気迫! あまりの圧に責任者は大きく仰け反った!


「凄まじい暴論! しかし筋は……通っている!!」


「そこの君!」

「は、はい!?」


「このゴブリンに【女騎士免許(仮)】を……」

「は、はい~っ!」


 慌てて手続きに移る受付嬢。そして僅か10分足らずでボスゴブリンは女騎士免許(仮)を手に入れた。


「おい、これでアヘっても良いんだな?」


 ボスゴブリンは女騎士になったので記念にアヘろうとした。しかし、それは叶わぬ夢……


「ダメだ。アヘりは『女騎士道交流法』略して『道交法』で禁止されている……違反すれば1点の減点だ」

「な、なにーー!!」


  ―――ガクッ!


 ボスゴブリンは膝を着き大きく項垂れた。アヘる為に女騎士になったと言うのに、女騎士になった途端にアヘれなくなってしまったのだ!!


(アヘる為には女騎士にならなくてはならない……しかし女騎士になればアヘる事が出来なくなる……!! 俺はどうすれば良いんだ!?)


「教えてくれ、ンホォォルちゃーーん!!!!」


 哀しみの涙が教習所に零れ落ちた。その背中を見つめる二人は何と声を掛けるか見付からず、唯々呆然とするのみだった……。


(……誰も応えてはくれないか…………)


(……)


(…………!!)


「そうだ! ンホォォルちゃんは俺だった!!」


  ―――ガバッ!


 勢い良く立ち上がるボスゴブリン。涙の跡が何とも切ない。


何時(いつ)! 何処で! どうアヘるかどうかは、俺が決める!!」


「お、お客様?」


「俺は……王都へ行く!!!!」




 ―――ここは王都。女騎士を取り纏める女騎士協会がある由緒正しきアヘスポットだ。


「たのもーーーー!!」


 女騎士協会の扉を勢い良く開けたボスゴブリン(仮免許)はこれまた俺好みの受付嬢へと詰め寄った。


「俺は女騎士だ。だから俺は女騎士の頂点へと登り詰める!

責任者を呼べ!!」

「は、はい~っ!!」


「何事ですか!?」


 運良く女騎士協会の会長『シュゴイノォ・モウダメェ・オチルゥ』がボスゴブリンの前へと現れた。


「良く聞け! 俺の心は女騎士と共にある! 女騎士の心は俺と共に!……つまり俺は女騎士の中心だ!!」


「なっ!! ……凄い暴論だわ。…………けど……悔しいけど……筋は通っている!!」


 仮免許とは言えボスゴブリンの女騎士力に平伏した会長は、ボスゴブリンを名誉ある女騎士の頂点へと認めざるを得なかった。こうして、ボスゴブリンは女騎士の頂点へと登り詰めた―――!!




 ―――年に一度行われる女騎士協会の集い。


「これより、新たに配属になりました女騎士長様よりご挨拶を賜ります」


  ―――パチパチパチパチ


 壇上へと静かに歩むボスゴブリン。客席には手下二人と教習所の二人も居る。皆がボスゴブリンの女騎士長任命に涙していた。


「……私は、この日を待っていた」


 ボスゴブリンは大きく息を吸った……


「行くぞ!!!!」




「んほぉぉぉぉ♡♡♡♡」



  ―――ガタン!

  ―――バタバタ!


「警察だ!女騎士道交流法違反、略して道交法違反で女騎士長を逮捕する!!」


 ボスゴブリンは逮捕されたが、一生悔いの無い清々しいアヘを見せてくれた―――

読んで頂きましてありがとうございます。

皆様のお陰で女騎士シリーズは今日も快調でございます(笑)


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― 新着の感想 ―
[良い点] 意味が分からなすぎ(褒め言葉)。 今回もぶっ飛んだ発想で大好きです。
[一言] 最近前書きの『出オチには……させない!!』を見るだけで笑うようになってしまいましたw いやあ、筋通ってましたね~w そして『女騎士シリーズ』というシリーズが出来ていたことにも笑いましたw
[良い点] 「凄まじい暴論! しかし筋は……通っている!!」←全然通ってねえ!(笑) 現在のなろうにおいて、女騎士の存在意義とは? アへる事しか能が無いジョブなのか? 「教えてくれ、ンホ…
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