追憶2
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高校一年生になり、周りが頭のいい子に囲まれて中学よりも競争社会が激しくなることが予想された。ゆづきの中学からは26人も富士見高校に合格し、320人いるクラスで26人も知り合いがいることが恐怖だった。その中には自分のことを冷ややかにバカにする同級生なども存在していたからだ。
「私はただ姉と同じ高校に行ければよかったのに…」
そんな言い訳を心の中でこれからの学生生活に希望が望めなく心の中でこぼす。
この高校は入学式での在学生の言葉によると文武両道を掲げているらしい。勉強をたくさんさせられることは覚悟していたが、部活も頑張らなくてはいけないのか…と思いながらまだそれがどんな意味なのか自覚せずになんとなく聞いていた。
入学式を終えて担任の先生がいかにもスパルタ教師というような雰囲気をだしていた。40人ほどが一クラスの単位で、真面目そうな人もいればチャラそうな人もいる、個性があるクラスだった。ゆづきは杏と同じクラスがよかったが、この高校には普通科と理数科という二つにクラスが分別されるため普通科のゆづきと理数科の杏が一緒になることは三年間絶対に無理なことであった。いままで杏の力があって友達がいたのだと痛感せざるを得なかった。幸いにも自分のことをからかっていた同級生はいないことにほっとしたゆづきだが、やはり自分の容姿からして似たような人と仲良くするのが賢明だと悟った。
入学して二週間ほど経った。そろそろ部活を決めなくてはいけない時期だった。杏には何回も一緒にバトミントン部に入ろう?と言われたが運動部に入る時点で文武両道は見込めないとゆづきは感じていた。というよりもどちらも破綻すると感じていた。ゆづきはバトミントンよりも高校に入ってもピアノを弾きたいと考えていた。ピアノの教室が同じである一つ上の富士見高校の先輩に相談したら、それは音楽部という部活だったらできるかもしれない、という答えが返ってきた。そのためゆづきは音楽部の方が興味があったのだ。
音楽部という部活は名前は音楽部だったが、ほぼ軽音部だった。先輩のバンドを聞いて胸が高まったのを覚えている。ピアノを弾きたかったゆづきはキーボードを担当したかった。しかし先輩の話によるとベース、ドラム、ギターしか選択権がないらしい。なぜ?と思いながらゆづきはドラム担当になることを決めた。理由は一つだ。上の姉二人が私立大学で親の家計が切羽詰まっていたのだ。そのためギターもベースも買ってくれるわけなかった。当然親に話したらそんなお金はないし無理だと言われた。これでドラムを叩くことになった。
その選択によりどんなことが起きるかも気づかずに。