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『沼』との付き合い方。作品をガンガン生み出す方法(私見)

作者: 稲荷竜

これから『素早く多くの物語を書いていくためのコツ』を、『性癖はノーマルなのに女装が趣味で女装状態だと女の子と見分けがつかない少年』の視点でつづっていきます。


この時点で四割の人は『なんで?』と思い、違う四割がスルーし、残る二割が『それもうエッセイじゃねーよ』と思ってブラウザバックしたと思う。


冗談です。やりません。


では、なんでいきなり『女装少年』とか出現したかと言えば、私がひらめいたからです。


そして『ひらめき』を『おそらく読者に望まれないから』『おそらく無駄な要素だから』『伝わらない』『絶対すべってる』と削ることを無意味だと思っているからです。


このエッセイでは終始『ひらめきを入れることをためらうな』というエールを送り続けます。


では『なぜ、ひらめきを入れることをためらわなくてもいいのか?』という話ですが、それを説明する際に、『創作ってどういうこと?』をわかりやすく示しておく必要があります。


以下、小説創作のフローチャートです。



1、立案


2、企画


3、執筆


4、推敲


5、完成



異論はあると思いますが私はこのように『創作』を分類しております。



まずは1、立案。


ここは『作品の中核となるアイディアを思いつく』段階です。


あなたは『勇者パーティーに追放される話をやろう。ちょっとひねって勇者がパーティーから追放される話をやろう』と思いついたとします。


これが立案段階であり、これで立案段階は終了です。



2、企画


『勇者がパーティーから追放されると言っても、それだけじゃ物語の方向性があいまいだ』


『じゃあ、勇者は強いけど、あんまりにも遊び人だったから、みんなからパーティーを追い出されたことにしよう』


『主人公最強を好む読者にウケるような話にするんだ』


企画段階終了です。



で、ここからが本題。



3、執筆。


『勇者が遊び人すぎてパーティーから追放された。ただし主人公は最強だ』というところまで決定しているのですから、このまま執筆したらいい。


しかしあなたは思いつきます。



『勇者は男だけど、バニーガールコスを愛用していることにしよう』



なぜひらめいたか、それはあなたにもわかりません。


論理的に理由を語れる人もいるでしょう。

その人は論理的に考えて入れるか入れないか判断すればいいんじゃないでしょうか?

(筆者が論理的でないのでわからない)


しかし理由なく思いついてしまったあなたは、きっと考えるでしょう。


『でも、主人公最強、追放された勇者っていう条件で、バニーガールコスを主人公にさせるのは、明らかにマイナス要素だよなあ』


『でもひらめいちゃったんだ』


『どうしよっかなあ』


この時点であなたは『思考の沼』にはまっています。



この時、あなたはおそらく頭の中に『正しい物語』を描いています。

その正しい物語は、換言するに『とがった要素を入れない物語』≒『嫌われる要素を排除した物語』です。


ようするに『誰かの期待を妄想し、脳内で読者を作りだし、その要求に応じようとしている』状態です。


無駄なのでやめましょう。


ここで『入れようかどうしようか考え中』を続行すると、けっきょく結論が出ずに、『うーん、保留w』となって、『永遠に書かない物語リスト』のページが増えます。


思いついた要素は、どんなに無駄に思えても、どんなにマイナスに思えても、入れます。

あっさり捨てられる『ひらめき』なら捨てたらいいんですが、なぜか捨てられない『ひらめき』なら、捨てるべきではありません。


正しくは、捨てるべきタイミングは『執筆』の段階ではありません。

では、いつなのか?



4、推敲。


書き上げた物語をブラッシュアップする段階がここです。


多くの創作者は、『完成前の文章の完成図をつぶさに描くこと』がなかなか難しいものと思われます。


特に『このひらめき、入れてみるか、除いてみるか』を悩むような方は、『入れた場合の完成図』と『除いた場合の完成図』を描けていないはずなのです。

(描けていたら執筆前に脳内で比較して検討したらいい)


なので、『ひらめきを入れて書いたもの』を見て、『やっぱりいらない』『これ必要』を判断するのはこのタイミングでいいのです。



しかし創作者の行く手には『推敲沼』という沼も存在します。



『いくら直しても次々修正点が見えてしまって、いつまでも推敲が終わらない』状態のことです。


〆切を切りましょう。


『○○時で終了。どんなに修正点が見つかってても即終了。以降誤字脱字修正以外しない』


あと一つだけ……あと一つだけ……とやっていると永遠に推敲し続ける妖怪と化します。

推敲やめますか? 人間やめますか?


推敲をやめたあなたの小説は完成しました。


あとは勇気を出して発表するなり、賞に応募するなり、『完成させた』という誇りを胸に生きていくなり、好きにしてください。



大事なのは『沼』から素早く抜けること、です。

『沼』から抜ける速度が、そのまま作品の完成速度になります。



思考の沼。推敲沼。文章表現沼、比喩沼……

あとアイディアがわかないという『アイディアの枯れ沼』、気に入った表現が出ない『文章の枯れ沼』があります。


これら沼の対策は、



湧く……『全部推敲で直す前提でとりあえずやってみる』

枯れてる……『〆切を作って時間内に結果が出なければとりあえず先に進む』


過剰に湧く……『〆切を作って決めた時間がきたらとりあえず先に進む』

なんにも出てこない……休め。



となります。



大事なのは『迷う時間を減らすこと』≒『ためらわないこと』です。

そして『迷わない、ためらわない』ためには、『完璧』を志さないことです。


瑕疵のない物語はありません。

きっと『これを入れたら読者が減る』『この表現は受け入れられない』とかあなたの頭の中でイマジナリー読者がギャーギャー騒ぐと思いますが、無視していいです。

頭の中のイマジナリー読者より、実在する読者のが大事です。


また、多くの創作者の頭の中にいるイマジナリー読者は、意見の精度がそんなんでもないです。

あなたがヒット作をコンスタンスに飛ばしているような方の場合、あなたの頭の中の読者は相当現実の読者に近いのでしょうし、その声に耳をかたむけ作品を作っていくのは、いいことだと思います。

しかし多くの人は精度の高いイマジナリー読者を持っていないと思うので、基本的にイマジナリー読者の言論の自由は弾圧してください。



これを読んだかたが迷わずガンガン創作をしていけるよう願っています。

そして連載作品多すぎィ! ってなって悲鳴あげてね。

あなたの悲鳴をお待ちしています。

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