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王族に嫌気がさした俺は万事屋を始めました  作者: 双葉
第一章 貧乏暇なし
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第一章10  『調査は楽じゃない』




 プリュヴィオーズの王『ウィード』からの依頼により、ステレアと俺は魔石調査の為に現場へとやって来た。それの案内役としてウィードは『テレッサ・アレフ』を指名した、会って間もないからかかなり素っ気ない態度で対応してくる。


 扱いが雑だとは言わないがもう少し柔らかく話してくれれば良いのだが、そんなスキルは持っていないとばかりに塩対応気味で俺の苦手なタイプ。女性皆がそうじゃないと信じたいが、常に行動しているステレアも変わった性格をしているから女性不信になりそう。


 女って俺からすればかなり気性が荒いイメージがある、と言うのもよく分からないところで突然キレたりするし、例えるなら俺がステレアを優しくすると『気持ち悪いです』とか『何がお望みなんですか?』と斜めった返事をしてくる。


 まぁ全部ひっくるめて女ってわからんしめんどくさいなってこと、優しい、綺麗で美人の女性なんて夢のまた夢なんじゃないかな…………。




「御二方、着きました」



 お尻の痛みに慣れてきた頃には現場に到着、街からだいぶ離れた場所にある荒野は舗装とか当たり前だけどされていない、目立つものと言えば切削機械やら土を掘り返す機械くらいであとは特にない。


 見渡せばあちらこちらに調査をしている人達の姿がある、服は泥まみれの汗まみれで見ているとかなり大変な仕事だと理解した。


 と言うか俺達この格好じゃ作業できないよな、どうすりゃいいのか。



「あのアレフさん、俺達服装これしかないんですけど」


「大丈夫ですちゃんと着替えがあります」


「よかったー、さすがに汚すのはアレだとおもってたんですよ」



 適当に会話をしながら調査団が集まるテントへ向かう。テレッサ曰く調査は短くて1ヶ月、長くても3ヶ月程泊まり込んで作業をするらしい。その為野外テントは必須アイテムでいくつも三角形の即席ハウスが並んでいる、俺達も泊まり込んで作業するかはまだ知らない。


 テントで寝たりするのってちょっと男のロマンを感じてしまう、サバイバル生活見たいでなんかワクワクしてきた。調査団の中でもガタイのいい男が俺達が向かってきているのを見つけると、



「お、来たか!!」


「団長、こちら今日から参加される方達です」


「ほ! 女の子も居るのか、こりゃ花があっていいじゃねぇか! ぬあっはっはっは!」



 俺らを見るなりまずステレアに目がいく団長。筋肉ムキムキだしちょっとやそっとで死ななそうだし、何よりパワーより防御力高そう。


 なんてアホみたいな事を思っていると、作業を中断してゾロゾロと調査員が集まってくる、一人だけすっごいキレた表情をした人が団長に詰め寄って来た。



「アタシ女の子なんだけど?」


「お前は褐色でちょっとガサツだから、女の子って感じがしねぇよ?」


「団長殴るぞ」



 普通の女の子より少し筋肉質で、作業のせいか肌色が黒い彼女は団長に文句を言っている。髪も少し傷んでいるように見えるけど、男の俺からしてもかなり可愛い路線じゃないだろうか。


 戦える女戦士っぽくてポイントは高い、ステレアと比べてしまうと話し方とかは荒いけど、個人的にはめちゃくちゃ良い。これだと俺変な奴見たいになるから考察するのやめよう。


 団長は『名前より呼び慣れているから団長でいい』と言われ、褐色の彼女は『テミス』と名乗ってくれた。あと一人この調査団のサブリーダーが居るらしいが、その人は今この場に居ないと言われ、先に俺達は着替えるためにテントへ案内される。


 もちろんステレアとは着替える場所は別、団長から着替えを渡された俺はそれに着替えていく。ちなみに用意された作業着はオーバーオールで、畑仕事や汚れ仕事に使われる一般的な物だった。あとは何故か麦わら帽子が置かれていたので一応被っておく、作業するのに必要かどうかわからないけど様にはなるはず。


 着替え終わるとテントから出ていき集合場所へ戻る、俺より早くに皆の居る所に戻っていたステレアを見つけた。何故かアイツも麦わら帽子を被っていた、てかステレア作業着も似合うな。



「よし、じゃあ今日は国王オススメの二人を交ぜて作業を続ける。テミス、お前は二人に作業内容を教えるんだぞ」


「わかった。よろしく二人共」



 褐色娘テミスの指示の元、俺達は初めての魔石調査を開始した。調査のやり方はいくつかあってそれを分担して行っている、1つは『切削作業』で新たな魔石が無いかを調べる仕事。2つは『魔石研磨』で掘り出した魔石を使えるように綺麗に磨く仕事、最後は『周辺管理』で国が管理し使用している巨大な魔石の設備やらの様子を見る仕事。


 正直どれも当たり前だけどやったことないし、魔石が地面に埋まってる事すら想像できない。魔石は色々な可能性を秘めていて、加工の具合で火を発生させたり、冷気を発生させたりと暮らしには必要不可欠な存在になっている。



「よし、じゃあ二人には魔石研磨をやってもらうからね」


「どうやって磨くんだ?」


「その道具一式を持って来るように伝えたはずなんだけど、アイツ遅すぎだろ……」



 多分サブリーダーを務めてる人の事だろう、磨く道具が無ければ俺達の仕事は始まらない。何度もポケットから時計を取り出して確認し、『チッ』と舌打ちするテミスをじーっと見ている俺。


 考察とかやらない方がいいはず、自分でも分かってるけどステレア以外の女ってのはなんだか新鮮な気分になる、変な話をするが俺はあまり他の女性と関わったことが無い。ヴァンデミエールに居た頃は基本的にステレアが専属でそばに居たし、どこにいくにしろずっと女と言えばステレアしか見ていなかった。



 そりゃ廊下を歩いてればすれ違ったりとか、日常的に顔を合わすことはあるけど、こうして会話をしたのは多分初めてかもしれん。



「あ、来たね。遅い!!!」


「いやー! 悪かったわ! ちょっと立て込んでしもうてな!」



 なんか変わった口調の男がダッシュでやってきた、俺はその男が手に持っている箱に目がいく。つまりこの金髪ボサボサの人がサブリーダーなのだろう、テミスにガミガミ言われてるけど笑いながら『堪忍してーや!』と言っていた。


 しばらく様子を見ていると、サブリーダーは俺らに近づいて来る。箱を地面に置いて咳払いをした後、



「ワイは『レイヴン』や、よろしゅー頼むわ!」



 ニカッとサムズアップを決めながら、自己紹介をされた。金髪ボサボサだけど不思議な事に『隙が無い』男だ、俺の思いすごしかもしれないけど。





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