吸血鬼との出会い
私のお屋敷には秘密がある。
誰にも言えない大きい秘密。
そして、私は決して入ってはイケナイ部屋に足を踏み入れた。
『いい?絶対に地下の部屋には入ってはダメよ。』
「なんで?」
『それは秘密なんだよ。いつか分かるけどね。もし、悲しい事があって寂しい時は地下に行きなさい。』
「はい!」
6歳の私の記憶より
地下の秘密それは私の運命を変えるのでした。
16歳になったばっかりのある日私の部屋のドアがいきなり開いた。
『お嬢様っ!お母様たちが…お亡くなりに…。』
死んだ?
嘘…旅行に行くって言ってたのに…。
「どうして…?」
『大嵐で船が沈没しました…それで。』
「ううっ…お母様お父様っ!」
その日はずっと泣いていた。
お葬式は2日後。
いろんな国から貴族が集まって来た。
お葬式の時でも私は泣いていた。
旅行に行かなきゃよかったんだよ。
私を置いてかないでッ。
『お嬢様…。』
「寂しいよっ!悲しいよっ…。」
ひとりボッチだ。
私はこの家の当主になってしまうんだ。
16歳でなるんだ。
お葬式が終わっても涙が溢れて来る。
「寂しい…悲しい…。あっ。」
思い出した。
幼い時にお母様が言っていた地下の存在を。
深夜に部屋を抜け出して地下室に走った。
何があるのかは分からない。
でも、行けばいいんだよ。
「何…この魔法陣…。」
目の前には血で書いたような魔法陣があった。
恐る恐る魔法陣に触れた瞬間だった。
ドアが開いた。
「生臭い…。」
ドアには階段があった。
地下までは何キロあるんだろう。
階段を駆け下りるとドアがあった。
「これも開けるの?」
ドアが硬くて開かない。
「開かないじゃん…。」
その瞬間。
『血ヲヨコセ…。ドアニ血ヲツケロ。』
気味の悪い声が聞こえて来た。
「血って私の…。」
ガラスの破片が落ちていた。
「これで血がだせる。」
プツッと皮膚が切れる感触。
血が出て来るとドアに付けた。
するとドアが開いた。
「何っ!?」
目の前には拘束された人が居た。
しかも体が腐敗しているような。
『血ヲヨコセ…。』
気味の悪い声の持ち主はこの人らしい。
「血…。」
拘束されてる人に近づくと血が出てる指を舐めて来た。
すると拘束器具が壊れた。
『初めまして。私の当主。』
気味の悪い声は美しい声に変わっていた。
その瞬間不安の糸が切れて気絶をしてしまったらしい。
「っ…わ、私…。」
床のひんやりした感触に意識が戻った。
確か昨日、誰かに血をあげたような。
『大丈夫ですか?当主。』
「あ、貴方は昨日のっ!」
『俺はジェイヌカイロ。30年前からこの屋敷を待って来た。そして、眠りを覚ます二には当主の血が必要だったんだ。』
「私はメイラマリン…。両親が死にました…。」
『だからか…。泣きながら此処に来たのは。早く、地上に戻ろう。』
手を引かれて地下の階段を登る。
カイロって呼んでいいよね。
悪気はないから。
「カイロは何者?」
『吸血鬼だ…。』
吸血鬼…。
あのいろんな御伽話に出て来る。
私はこのお屋敷の当主よ。怖がってはダメ。
お母様のお約束だから。
「吸血鬼…私は怖くはありませんよ。」
そんな会話をしてると地上に着いた。
『お嬢様っ!探しましたよ!』
「リリィ…ゴメンナサイね。」
メイドのリリィが私に抱きつく。
友達みたいな関係だから平気だけど。
『!?ジェイヌカイロな何故此処に!?まさか…お嬢様が封印を解いたの?』
名前を知っているリリィに驚いた。
「何故…知って?」
『元当主からお聞きいたしました。吸血鬼が現れたらお嬢様の過保護となると。』
すると無言だったカイロが口を開いた。
『これからよろしくお願いします。それじゃ俺は出かけて来る。』
と言い残し姿を消したのだった。
日記
【新しい家族が増えました。ジェイヌカイロと言います。吸血鬼と人間は敵同士と聞きましたが私は違うと思います。優しいから!また、明日。】