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旅に出ると決めてから二日後の朝
「えー、だめー」
「ダメよ。あっちじゃ目立つわよ。その髪も」
「いいもん。それに髪はどうしろと」
「ルカよ、わしにも言っているのか?」
朝餉のとき母さんから「その格好でいくの?」と聞かれた。
私は落ち着くから着物のまま行こうとしていた。横に伸びている髪は生まれつきだからどうしろと……。
「あ、そうだ!試着してもらおうと思っていた新作があるの。それを着てきなさい」
「合えば何個か持ってく」
母さんは着物や和風な小物を作ることが趣味だ。私の幼少のころから3分の2は母のお手製だ。
◆◇◆◇
母の私室
「これ着て」
「は~い」
着せ替え人形中
「お似合いですよ」
「ええ」
そして、雪女と毛上臈もいる。
「なんで、いるのさ」
「だって、千歳様は旅に出られてしまいます。顔も当分見られません」
「雪女の言うとおりです」
「そっか。てか、母さんこれでも普通に目立つよ」
「まあいいじゃない」
新作は着物風ワンピだった。
「あと、これを」
「え!」
渡してきたものは制服風の洋服だった。
「あってそんじゃないわよ」
「ありがとう!」
親子(父抜き)の旅前の団らんだった。
◇◆◇◆
最終的に上は着物、下はスカートにニーハイ、下駄という服装になった。
「いってらっしゃいませ。千歳様」
「道中お気をつけて」
「約束守れよ。千歳」
「わかってるよ。父さん。皆も少し間行ってくる」
「はい/おう」
私は妖刀 夜明と名刀 桜吹雪を持って旅に出た。