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百足地の影となる
「…ネェ、なにこれ?」ショートカットの女の子が言う。
いかにも幼いパンツをこちらに見えるようにしながら女の子が言う。
巨人族と言っても差し支えない巨大な人間が地面を指差して言う。
「あーそれだんご虫っていうのだぁ。」
ポニーテールを真っ赤な紐で結んだ女の子が言う。
「触ると丸くなるからお団子みたいになるんだよ!」
おもちゃのようにいじられただんご虫。
大きな掌の上に乗せられただんご虫はまるで釈迦の掌の上にいる孫悟空だ。
岩影に隠れてた僕はなんとか助けてあげたくて身を投げ出した。
巨大な人間は面白半分でだんご虫を野球ボールのように壁に投げつけるかもしれない、そう思ったからだ。
「やめろ!」そう思った瞬間二人の女の子と目があった。
「キャッ!気持ち悪い!!」
言うが早いか否か掌の上のだんご虫は草の中に落ち、コロコロ転がるのが見えた。ホッとした僕は次の瞬間視界が暗くなり、大きな岩に潰され短い命の幕を閉じた。