1/4
プロローグ
今上帝が崩御した。その情報は瞬く間に大陸中を駆け巡る。
魔導会話通信機、魔導撮影機など様々な画期的な発明をし、それを自ら広めて行った英雄帝以降もっとも弱いと言われた帝王だった。テルラ帝国だけでなく諸国からも悲しみ、嘆く声が聞こえてくる。
だか、そんな喪に服している空気とは逆に、ここテルラ帝国の古都アルカディアは祭のごとく賑わいを見せていた。
帝王の崩御と共に伝説の男が100年ぶりに城の窓からその姿を現すという慣わしがあるからだ。テルラ帝国の民のみならず、諸国の王族、貴族などを筆頭に数多の数の人々が城の前の広場のみならず、街中溢れかえっている。その姿を一目みようと。
崩御から一週間。ちょうどその日に窓は開かれる。城の中は通常時は見学も可能だ。だか、崩御から一週間は何人たりとも入ることは許されない。いつもはその城に彼はいないのだ。
そして、一週間が経った今日、ついに城の正面の巨大な窓は開かれた。