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フェチ×フェチ  作者: 兼平
第1章 僕ともこもこ
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生き違い

一日の日課である今日の授業も終わり、そそくさと教室から立ち去っていく同級生の後ろ姿を目線で追いながら僕は朝から気になっていたアゲハのことを考えていた。

今日のあいつはどうにもおかしかった。

元から変な生き物が好きでちょっと変わっているところはあったけれども、それ以外の点に関しては日本全国にわんさかといるどこにでもいる女子高生達の一人だ。

幼馴染ということで顔を合わせる機会も多かったから、何かあればいやでも気づいてしまう。

今朝がたから気になっている手の包帯もそうだが、行動や言動もいつもの様子からはずれていた節があった。

ずっと見ていたわけではないけれど、授業では先生にあてられてもすぐに気づかずに(と言っても4回は名前を呼ばれた)最後はしびれを切らした先生から注意を受けていたし、運動神経のいいはずの彼女が体育の授業で頭にバスケットボールをぶつけて保健室に運ばれるという珍事も起きていた。

心ここにあらずという言葉がしっくりくる。そんな様子だった。

さすがに何かあったんだと鈍い僕でも気づいてしまう。

僕だってできれば何か力になりたいと思う。そりゃあ苦楽を共にしてきたなんていうのは大げさかもしれないが、それでも10年近くご近所様としてやってきた。困っていたら力になってやりたいと思うのは自然な心の成り行きだ。

朝に違和感を感じてから僕は実は何度も話そうとアプローチをかけていた。しかし、一向に話す機会が作れなかった。正直避けられているんじゃないかというくらいだ。休み時間や昼食の時間にも期を見計らってみたけれど、僕が近づこうとするとクラスのほかの女子と教室から出て行ってしまったりしてうまく捕まえることができなかった。

そのうちまあ機会は来るだろうと思っていたら結局一日終わってしまったというわけなんだけれど。

今だって帰りがけのタイミングで一緒に帰ろうと誘おう思っていたのに、本日最後の授業の終わりを告げるベルが鳴るが早いかアゲハは鞄をつかむとさっさと小走りで廊下に出て行ってしまった。

こうなってくるといよいよ怪しい。

何か気を悪くするようなこともでしたかと思ってしまう。

「いったいどうしたもんかな。これは」

困っていて答えが見つからないときはどうすればいいか。

そんな時は誰かに相談するのが一番はやいものだ。

しかも、こんな時は同性の知り合いに相談したら的確な答えが返ってくるものだろう。

僕には女の子の知り合いが多いわけでないけれど心当たりがないわけではない。

ちょっと聞いてみるかな。

机の上に広げた教科書を鞄にしまうと、そんなことを考えながら家に帰ることにした。

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