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フェチ×フェチ  作者: 兼平
第1章 僕ともこもこ
13/29

少女のターン

・・・・・・・・・・


太一との作戦会議が終わった喫茶店は既にレーザーの連射を暗い続けたために燃え上がり、店内にいるとその炎が巻き上げる煙が目にしみた。


勢いよく立ち上がったものの、私は考える。


正直に言って、このまま白衣男から逃げても良かったのかもしれない。

あの眼鏡美人は正直に言って強かった。


戦ってみて分かった。地力が違う。


私一人じゃ勝てない。


でも、私は一人じゃない。太一がいる。


今は太一の言葉を信じて、やるべきことをやるだけ。


ふと頭をよぎった弱気を打ち消すために、

「はあぁぁぁぁぁ!!」

と気合を込めた声を上げて喫茶店から飛び出す。


店の外では、白衣男と眼鏡美人がこちらに体を向けて立っているのが見える。

ここからが本番だ。


身体を傾け、全力で相手に突進する。

近づいて再度アタックをかけるようとするが、レーザーが撃ちこまれて来る。

それを右へ、左へと身体を傾けてかわしていく。


そして相手の懐に潜り込むと、相手の顔をめがけて左のジャブを入れる。

もちろん、簡単に当ててくれることはなく、トンファーでいなされた。

が、そこからラッシュを繰り出す。


電光石火のようにシュ、ババババっと左で連打をする。


最初は片手で対応していた眼鏡美人も、スピードについてこられなくなったのか、両手を使ってジャブに対応してくる。


接近戦でのスピードならなんとか私のほうが上らしい。

しかし、スピードだけだ。


私のジャブの軌道は見切られているようで、数で押しているものの、きっちりと入ったものはひとつもなかった。


それでも集中砲火の中ではガードに専念するしかないらしく、相手が身体を縮こませる。

その瞬間、顔面のガードに意識を集中させてトンファーをクロスさせてガードした時を狙い間髪いれずに右のフックをボディに打ち込む。


ひたすら左のジャブを連発したために、意識の中で慣れが生じた眼鏡美人は、ふいの右フックに対して、一瞬の間ができる。


決まったと思い、右フックを振りぬこうとする。


すると眼鏡美人はガードが間に合わないと判断したのか、身体を思い切り右フックに向かってぶつけてくる。


なんだこいつと、思いながらも右フックを振りぬいた。


だが、おもいがけないメガネ美人の行動のおかげで綺麗に決まるはずだった右フックはインパクト瞬間をずらされ、力を入れきれず中途半端な位置で相手に被弾する。


フックを食らった眼鏡美人は一瞬苦痛の表情を浮かべるが、即座にトンファーを私の左肩に打ち下ろす。


ガツンと衝撃が走った。

激痛に顔が歪む。


カハッと息が漏れる。


だが、そんな私にお構いなく即座に次の一撃が顔面をなぎ払うように襲ってくる。

肩の痛みに意識がいっていたため、危うく顔面を襲うトンファーの直撃を食らうところだったが、頭を下げなんとか紙一重でかわす。


ここで間合いを取られたらまたさっきの状況と変わらなくなってしまう。

私は後ろに下がりたい気持ちを抑え、右のストレートを相手の顔めがけて打ち込む。


相手は私の肩の動きから先読みしていたのか、簡単にトンファーで受け止められる。


が、そこで私はにやっとすると、思いっきり身体に力を入れると私の体が輝きはじめる。


相手は危機を感じたのか、後ろへ逃げようとするが、眼鏡美人は後ろに下がることができず、訝しげに自分の右腕を見る。


もう遅い。


私の右ストレートをガードした際にしっかりとその腕を掴んでいた。

眼鏡美人は腕を振りほどこうとするが、その甲斐むなしく、輝く私の体から炸裂する電撃が直撃するのだった。


眼鏡美人は電撃を食らうと激しく身体を痙攣させ、その場に崩れ落ちた。

しかし、そこはさすがと言うべきか、意識は残っているようだった。


この隙にすかさず私は白衣男のところへと足を進める。

このまま白衣男を叩きのめして、まいったと言わせてやれれば御の字だ。


直進してあと数歩で白衣男に手が届くというところ、後ろから殺気を感じて歩みを止める。

ジュッと踏み出そうとした地面の上で嫌な音がする。


振り返ると立ち上がってはいないものの、眼鏡美人がこちらに向けてレーザーを撃とう構えているのが見えた。


私はバックステップをとって白衣男から距離をとると、追うようにレーザーが飛んでくる。


敵とは言えこれだけやるとは賞賛に値するだろう。


このまま放っておけば眼鏡美人の体のしびれも回復し、元の木阿弥といったところだ。

しかし、次のレーザーを発射しようと構えている眼鏡美人の方向を見つめている私は心配などしていなかった。


そう、これでいいのだ。


私の視界の端では勝利へと進むための切り札が迫ってくるのがしっかりと見えていたから。


その切り札、こちらに向かってくる影に向かって心の中で私は声を掛ける。


「後は頼んだわ。太一」

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