武器を選ぶ
町もほぼ一周し、
「ここが、最後だ。」
そう言われて着いた先は、武器屋だった。
(武器を選んでくれるつもりだろうか?確かにナイフじゃ頼りない所だが…。)
なんて事を思いながら、ユースに続いて中に入る。
「いらっしゃい。ユースさん。」
「おう。今日は、こいつを看て貰おうと思ってな。」
と、俺の肩を押して店主の前に出す。
「ふむ。」
(武器を買いに来たんじゃないのか?)
じっと見られる居心地悪さに耐えていると、店主はおもむろに、
「お前さん、好きな武器はあるかい?」
と言い出した。
訳が分からないまま首を横に振る。
「じゃ、お前さんは片手剣に弓、そして刀だ。」
「お前の適性武器だ。これらを使えば、強さへの近道になるぞ。」
聞けば、天職:武器商人には、客に一番適した武器を看る事が出来る技能があるのだとか。
(先に言って欲しかった。しかし…、刀か。)
刀術の適性がある。
この言葉に喜びを感じない日本人はいない。
それは俺も例外ではない。
「刀を見せて欲しい。」
逸る気持ちを抑え、店主に言う。
「すまねぇ。刀は置いてねぇんだ。」
と、申し訳なさそうに言う店主。
「刀打てる鍛冶屋が少ないからな。王都ならともかくこんな所までまわってこないんだ。」
「そうか。」
ユースのフォローに納得はしたが、期待した分肩透かし感は拭えない。
「だが心配するな。鍛冶屋になら心当たりがある。」
「あの人か!確かにあの人の腕なら……。」
ユースは鍛冶屋について話を切り出す。
だが、店主は苦い顔をする。
「あの人とは?」
刀に繋がる唯一の道。逃すまいと、話に入る。
「他所から来た凄腕の鍛冶屋さ。何本かこの店にも奴の作品がある。」
「腕はオレが保証する。この剣もあの人が打ってくれたものだ。」
二人揃ってその鍛冶屋の腕の良さを語る。
「では、その人を紹介して欲しい。」
単刀直入に言う俺。
「ユースさんの顔と名前、そしてこの紹介状があれば会う事は出来るだろうが……。」
この流れを読んでいたかの様に一枚の書状を取り出す店主。
その顔は、苦いままだ。
「ありがとう。早速行ってみます。」
紹介状を手に取り、ユースに一言「すぐ行こう。」と言い店を出る。
「気を付けてな。」
店主は引き止めようとせず、送り出してくれた。
能力一覧
変化なし