助太刀
新たな来訪者と出逢います。
「やあぁぁ!」
前方では、少年と魔物が一騎打ちをしている。
身に合わない大剣に振り回されながら、魔物の攻撃を防ぐ少年。
(大剣が盾として機能している内は大丈夫だが…。)
アリスと別れてから町を一つ経由した、その道中。
魔物と少年、そして少年に護られている行商らしい猫の獣人の親子を見かけて、立ち止まっている。
(助けないのですか?主君。)
(請われてもない。ピンチでもない。故に手を出す必要がない。)
これは、あの少年の問題だ。
「そこ行くお方!どうか助けて下さい。」
行商人(親)に声をかけられ、側まで近付く。
「彼が危機に陥るまで、助ける気はありません。」
予め宣言しておく。
「そんな!凄腕の冒険者なのでしょう?」
「その凄腕を雇えないから、彼に護って貰っているのでは?」
そう、組合に依頼を出せばそれなりの冒険者を雇える。
それをしないのは、後ろ暗い事をしているか、十分な報酬を払えないかだ。
「その通りです。組合を通せば仲介料を取られ、個人的に頼める相手もおらず途方に暮れていたときに、彼に助けてもらったのです。」
行商人が提示した金額は、確かに護衛依頼を出すには不十分だった。
(それで受けるあいつは、よほどのバカか正義感か。)
前に目を戻すと、少年の大剣が弾かれ宙を舞っていた。
(しゃーないか。)
(創造主よ…。)
ザンキを抜き、手を出す予定を切り替え、キャリーから剣を1本取り出し、
「そいつの銘は、銀。それを使え!」
少年に放り渡した。
能力一覧
変化なし




