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異世界を九十九と一人旅  作者: 書積 詠人
エピローグ
296/302

幸せはここに

「ただいま。」


俺が暮らすアパートの一室。

大学の頃から、変わらずここに住み着いている。


「おかえり。」


変わったのは唯一つ、


「久しぶりに仲間に会ってどうだった?」

「変わってなかったよ、皆。」


共に暮らす恋人の存在だ。


「一緒に冒険した仲なんだって?良いわね、そういうの。」

「その冒険も本物かどうか分からないけどな。」

「でも、共通の体験なんでしょ?それならそれで良いじゃない。」


彼女は来訪者(トラベラー)ではない。


星羅(せら)、何も言わずこれを受け取って欲しい。」

「もう!やっと言ってくれたわね。待ってたんだから!」


でも、夢で会ったあの娘によく似ていた。

よく似ていて、よりいとおしい。

幸せはここに……。











「クローンを送るのよ!安心しなさい、万能細胞も真っ青な安全な製法だから。通行料やらで体の一部を持っていかれる事も無いわ。あたしの手にかかれば向こうでの幸せは保証されたも同然よ!」

(なんだろう?向こうで幸せにやり直す風景が見えたぞ。)


神の後継ぎにはなったが、今の俺に神がかった力はない。

向こうに行く俺に幸多からんことを……って願いが見せた幻と俺は決定付ける。


「ほらほらシェンロン!帰還希望者はそのまま送り返すんだからリストを作る!クローン作るのに必要だから、細胞と向こうでの情報を頂戴!スノーが適任でしょ?」


アリスがてきぱきと指示を出す。

俺達はそれに従い、準備を整える。

大多数の来訪者(トラベラー)は帰還を望んだが、交流会(サークル)メンバー以外にも残留を選ぶ人がいた。

シャッガイを気に入ったメアリーとノア。

ジョンの側を離れられないアイリなどがそうだ。


「結構高性能になりそうだから、引き継がせたい能力(スキル)を選びなさい。あくまで不自然でない範囲で!」


準備が終盤に差し掛かった頃、アリスが俺達交流会(サークル)にだけこっそりと教えてくれた。


「そういう事なら、僕は【カリスマ】を選ぶぜ!」

「ボクは【悪意察知】かな♪」

「【一心同体】よね。」

「うむ。」

「meは【審美眼】をselectするわ。」


さっと決まる奴が次々要望を出す。

ちゃんと生活で使えそうな能力(スキル)ばかりだ。

他は悩み悩んで、能力(スキル)を選ぶ。

ユウシは【勇気】、シェンロンは【矛盾指摘】、ハジメは【シミュレーション】、タケルは【スタミナ】だ。


「向こうじゃオレ、病弱少女だしな……。」

「その点は大丈夫。奇跡の快復!ってなるから。あたしなんて魔法関係ばっか。」


結果、スノーは【カウンセリング】、アリスは【錬金術師】から派生した【素材理解】を選んだ。

ちなみに俺は、【神算鬼謀】だ。




「本当に宜しいのですね?この者達を送ると言う事は、あちらに皆さんの居場所がなくなると言う事ですよ。」


眠る分身達の側で、女神が最後の確認をする。

だが、俺達の答えは変わらない。


「俺達の幸せは、ここにあります。向こうの幸せはそいつらの物です。」


聞き届けた女神は分身達を地球に送る。

光となって消えていく彼らにとって、こっちの出来事は全て夢物語になる。


「行っちゃったね。」

「達者で。もう一人のぼく。」

「それではステラにガイ。また会う日を待っていますよ。」

「そう簡単に行かないので、気長に待っていて下さい、お母様。」


分身を見送る俺達と、女神を見送るステラ。

その全てが空に消え、俺達も解散の時が来た。


ここからは、それぞれの人生だ。

これをもって、シナリオエンドです。

あと、後日談的な話をいくつか挟んで終了となります。

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