神々の語らい
「せやから、アリスが最強やで。」
「そんな事は無い!我らが主、ユウシこそ最上。アロンダイトも何かこの人形に言ってやれ!」
いつもは静寂に包まれる俺個人の作業部屋は、喧騒の渦に呑み込まれている。
「良いわ。九十九神が語る暴露トーク。世間を賑わす交流会メンバーの素顔。良いわ!」
「でしょでしょでしょ!何でも聞いて。答えられるだけ答えるから!」
ちょうど良いから一斉メンテしようと集めた事を、少し後悔する。
「当主様。時間は有限でございます。」
「その通り。患者がドクター・スノーを待っているんです。」
「そうだな。始めるか。」
気持ちを立て直し、作業を始める。
メンテと言ってもそう難しい物ではない。
パッと状態を見るだけだ。
自己修復などのエンチャントがかかっているため、酷い損傷など付きはしないからだ。
「賑やかになったわねー。おばちゃん、楽しいの大好きよ。」
「これは騒がしいって言うんスよ。」
「だが、思えば私達“具足衆”とキャリーさん、そして、リブラとラニ。トラットリアにタタラもいたな。たったこれだけだったのだな。」
最初の町を出発した時の事だ。
確かに、増えたものだ。
「オイラは興味無いな。キャプテン達と海を進めれば満足さ。」
「「「自分で自分が最強だと思えれば十分。」って、旦那様が言ってた。」」
「判決。原告の発言は、全て主観に基づく物であり、拘束力は無い。」
トリトニック号は今、ゴテン内部にあるドックの中にある。
ゴテンに頼めば、間取りの変更から映像・音声のやり取りまで可能だ。
「ハジメ様が戦う相手は人の心なの。それはどんな敵より強くて怖いの。だから、ハジメ様は誰より強いの。」
「ちょっと待った!ホタルのヒロイン力を甘く見ない事ね。魔法バカの特急娘との女子力の差を思い知るが良いわ!」
「オウカ、その辺に。ホタル殿の良さは、キョウヤ殿が十分承知している。」
主自慢はまだ続いている。
(譲った九十九神にとって、今の主が一番。俺の言う事はあまり聞かないな。)
もう、させたいようにさせている。
「そんなに楽しいんですか?外って。」
「キヌは引きこもりだからな。景色が変わるぜ。」
「タタラもあまり違いがない。」
「それを言うなよ、トラットリア。」
「外のお話、この爺めにも聞かせて欲しいですな。」
「僕は、いらない。調薬出来れば、それで。」
「ヒマー、ヒマー。」
「確かに。最近退屈だな、キンコジ。」
「ボスにさー。農地買って貰おうぜー!」
「ゴテンが変わって、仕事の効率はいかがですか?」
「問題ありません、グリニッジさん。」
「そうですか。これからもお願いしますね、ビカさん。」
家政班の中でもグループが出来ているようで、かたまって話している。
「ほんと、壮観だね。個性も姿もてんでバラバラ。」
「お気楽ね、リブラ。」
「そりゃもちろん。皆、僕らの仲間だからね。」
「悪いが。俺は同胞以外を仲間と思っちゃいないぜ。」
「火の。口が過ぎるぞ。」
「良いよ。君らは特別だもんね。」
“破軍”はその輪の中で完結している。
その特性上、他と馴染めないのは仕方のない事かもしれない。
「良し、終わり。ゴテン、全館案内。」
「は~い。」
全ての九十九神をチェックし終えたと言うアナウンスを流す。
海賊達はトリトニック号に、他はクウジに誘導する。
その間、返すために九十九神を回収する。
「ガイ。さっき【看破】がランクアップした。」
「ほう。て事は【交渉術】と【計算】と合わせて……、」
「そう。【神算鬼謀】に進化した。」
俺はまた一つ人外に足を踏み入れた。
能力一覧
天職:豪商 技能:神算鬼謀D(evol)、 黄金率A、 量産S(max)
加護:九十九神 技能:人格投与S、擬人化S、具象化S
能力:縮地B、幸運S(max)、武士A、射手S(max)、覇気A、隠密C、木工技師S(max)、料理人B、罠設置A、悪路歩方B、鍛冶師A、エンチャンターS(max)、鋼の心B、魔具師S(max)、仕立て師A、薬師B、応急措置A、薬物耐性A、千里眼C、漁師D、解体A、教育B




