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異世界を九十九と一人旅  作者: 書積 詠人
第2章 旅支度
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旅立ちは逃げるように

「諸君。見事な働きぶりだった。怪我人が出たのは残念だが、死者は0。これも全て諸君らの日頃の鍛練の成果である。ボクは支部長ではないため、君達に報償金を出す事は出来ない。ならばせめてと、自費でこの会を開かせてもらった。思う存分楽しんでくれたまえ。乾杯!!」


の音頭で祝勝会が始まった。

グラスを空け、皿を空にし、騒ぎあっている。

俺はその片隅で、


「決めた。ロビンとヨイチ、それがお前達の名だ。」

「オーライ。任せとけッス!ご主人。」

「…………。」

「「応、主。」だそうッス。」


魔導弓と狙撃弓に“名付け”ていた。

軽い性格になった魔導弓(ロビン)と無口な狙撃弓(ヨイチ)


「これからも、頼む。」


2本の弓を新たな仲間にした。

弓をキャリーにしまっていると、


「失礼。ガイ様でございますね?」


後ろから話しかけてくる。

振り替えると、見るからに聖職者な男が立っていた。


「私はこの度この町に派遣された、洗礼名イミツと申します。伝説の来訪者(トラベラー)にお会い出来て、光栄の至り。」

「その聖職者イミツ殿がどのようなご用件で?」

「はい。ガイ様には、我らが「クリシャナ教」に入って頂きたいのです。」

(布教か。面倒だ。)


俺は宗教に興味はない。


「お断りします。」

「そんな。女神の導きでこの世界に降り立ったのでしょう?ならば、貴方は女神の使徒。なぜ断るなどと。」


来訪者(トラベラー)と知ったうえでの布教。

この流れは予想していた。


(一番面倒なパターンとしてな。)

「お答え下さい。」

「ならば、言いましょう。俺は女神などどうでもいい。女神と俺は雇用関係にあるだけ。「世界を旅して下さい。」「はい。」これだけです。そこに敬う義務はありませんよ。」

「貴方は我々を敵に回すと?」

「その極端さ。益々嫌いですね。あんたが何を信じるかは自由。勝手にして下さい。だが、俺を巻き込まないように。来訪者(トラベラー)が欲しかったら他をあたって下さい。どこに何人いるか知りませんが。」


そう言って場を離れる。

後々が面倒そうだが、捕まった方が余計に面倒だと思った。


(明日、出発しよう。)


知人を探して、騒ぎの中を行く。






「お世話になりました。」


昨日の聖職者から逃げるような形だか、ちょうどいい機会だった。


「遊びに来いよ。」

「今度剣を教えて。」

「死ぬんじゃないぞ。」


どうやら、結構好かれていたみたいだ。


「大活躍だったな。なら、大丈夫だ。」

「三食取るのよ。」

「主人はあの調子だから何も言わないけど、貴方は誇りよ。私にとってもね。」

「スフィアの利権。本当にもらって良いのか?」

「お前さん。結局、店で何も買わなかったな。」

「天才の私がこんな中途半端で教え子を送り出す事になるとは。」

「ガッハッハ。留守中、とんでもない事になっていたようだな。すまんすまん。」

「君を誘えなかったのは残念だが、決闘の結果だ。不満は言うまい。あと、あのゴブリン軍だが、龍に怯えて数を増やし、龍がいなくなり食うに困ったらしい。」


知人の見送りで、俺は今日この町(リーンリット)を去る。


「ギルベルト様がお世話になりました。王都にお立ち寄りの際は、サイア家にお越し下さい。出来る限りのおもてなしをさせて頂きます。」


最後にギルベルトの側近から書状を受け取る。

決して無くさないよう厳重注意付きで。


「皆さん、お元気で。」


俺は進む。

途中振り替えると、まだ手を振っていた。




「さて、どっちに行くかな?」


町も見えなくなり、目的地もない。

(今さらながらの)プレートの地図には、


(リーンリットと周辺だけ。)


歩く事で広がる地図だった。


「まぁいい。適当に行くか。」


俺は、九十九神と旅を始める。

能力(スキル)一覧


変化なし

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