詐欺師と探偵
「妲己で、傾国……か。枢機卿の一人が女に貢いでいた。大方、その女がそのアイリとやらなんだろ。」
「さすが♪一を聞いて十を知るとはこの事だね。」
ジョンは俺を持ち上げてくる。
「だが、なぜお前がその事を知っている?そのアイリの背後にお前がいるのではないのか?」
「ボクとあいつは仲間じゃないよ。むしろ商売敵さ。今回も、あいつが手を出してなきゃ、ボクが事態をかき回していたのさ♪」
ジョンの手が入った場合と今回、どちらが楽だっただろうかと少し思案する。
「そもそも、この世全ての悪はボクの物だ。あいつには渡せない♪」
「そういう問題ですか!?」
ハジメの側に控えていたエナさんが思わず突っ込みを入れる。
「いえ、妥当な発言よ。彼は、ジ・イビル。悪を極める者。」
「へぇ、凄い♪君、誰?どこから現れた?」
「わたしは、プレートの九十九神。名前はステラ。以後、お見知り置きを。」
ステラが突然現れるのは、いつもの事。
だが、
「ジョンは、根源持ちなのか!」
「そうさ♪だからお買い得だよ。仲間にして♪」
根源職は、根源職でしか止められない。
ならば、根源持ちは味方に引き入れた方がいい。
「分かった。アウトローにも伝手が欲しかったしな。」
「やった♪女神に頼んで、身体能力補正の分までチート力をつぎ込んだかいがあった♪」
ハジメは「仕方がない。」と一言、縄をほどき始める。
「この世の中、悪が必要な場面は確かにある。」
「だが、」と、解放したジョンを正面に見据え、
「このわたし、ハジメ・カナダは探偵だ。悪事は決して許さない。」
「良いね♪巨悪には対立する善が欲しいもんね。」
「お前もアイリとやらも、このわたし…ハジメが必ず捕まえる。根源 ザ・トゥルースの誇りに賭けて。」
「望む所さ♪」
にらみ合いはしばらく続くが、
「ジョン。お前の通話水晶だ。仲間になる以上、節度は保てよ。」
「ありがとう♪これ欲しかったんだ♪」
放っておくといつまでも続きそうだったから、話を区切る。
「じゃ、またね♪」
その言葉を残し、詐欺師は姿を消した。
「大丈夫か?手強いぞ、あいつ。」
「なに、いつまでもどこまでも追いかけるまでさ。好き勝手には、絶対させない。」
そして探偵も、新たな事件に向かう。
(探偵三世と傀儡師……いや、怪盗三世と刑事が近いか。ライバル関係が出来たな。これにシェンロンを交ぜると、正義・悪・中庸の三つ巴になるな。)
「嬉しそうね、ガイ。」
「まあね。」
ジョンの加入は、案外俺の理想に適していた。
能力一覧
天職:豪商 技能:看破A、 交渉術B、 黄金率B、 量産S(max)、 計算A
加護:九十九神 技能:人格投与S、擬人化S、具象化S
能力:縮地B、幸運S(max)、武士A、射手S(max)、覇気B、隠密C、木工技師B、料理人C、罠設置A、悪路歩方B、鍛冶師A、エンチャンターS(max)、鋼の心C、魔具師S(max)、仕立て師A、薬師B、応急措置A、薬物耐性A、千里眼C、漁師D、解体A、教育D




